第11回
: 手ごたえあり?の娘との2人旅
フロリダ州オーランドへ出張する夫に同行し、同地に住む友人と、サウス・カロライナ州に住む夫の両親に会いに行った。夫は仕事があるのでフロリダからそのままシアトルに戻ったが、私と娘はフロリダからサウス・カロライナへ飛んで1週間滞在した後、再びオーランドに戻って数日を過ごし、シアトルに戻った。これは、今から考えると子ども連れにとっては結構な強行スケジュールだった。
シアトルからオーランドへ向かった際、搭乗時にゲート直前で預けたストローラーを夫が勝手に最終目的地のオーランドまでチェック・インしてしまったので、アトランタでの乗り換え時に苦労した。アトランタの空港でトイレに行ったら子ども連れ母親用のトイレがなく、夫と交代でトイレに行こうかと思ったが、娘をスリングに入れて抱っこしたまま、車椅子用のトイレを使った。スリングに入れていると両手がフリーになるので、思ったより難しくなく、これで機内でも娘を抱いたままトイレに行けると確信した。やはり、フライト・アテンダントとは言え他人には変わりなく、親としては不安である。
10月のオーランドは気温も湿度も高く、シアトルの涼しい気候にすっかり慣れてしまっている私達にはかなりきつかった。暑がりで汗かきの娘はオーランド滞在中はほとんどいつもぐずりっぱなしで、四六時中抱っこするはめに。さらに、人見知り
(stranger anxiety, separation anxiety) が激しくなり、友人とその家族の顔を見ては「ふえ〜ん」と泣き出すことの繰り返しで、私はトイレに行くのもままならない状態。赤ちゃんとはいえ、やっぱり自分の顔を見て泣かれて気持ちがよい人はいないだろうと思うと、結構なストレスとなった。うまくいくかどうかは知らないが、こういう子どもには事前にこれから会う人の写真を見せたり、録音した声を聞かせたりして慣れさせておくという作戦もあるようだ。
オーランド滞在中はほとんどの時間を友人宅で過ごしたが、一応お決まりとして、1日だけディズニー・ワールドのマジック・キングダムに行った。しかし、0歳児と行くディズニーランドというのは、「一緒に行く」ことを楽しむだけで、アトラクションを楽しむものではない。園内にはおむつ替えから授乳など、一連の赤ちゃんケアができて、キッチンもあり、オムツやボトルなど基本的な赤ちゃんグッズも売られている施設があり重宝した(ただ、一箇所しかなかったので毎回足を運ぶのが少々面倒ではあったが)。赤ちゃんがいるとコースターなどには乗れないので、ジャングル・クルーズやイッツ・ア・スモール・ワールドなど、子どもとの雰囲気を楽しむだけのアトラクションを周ることになるが、それも、授乳やおむつ替えの合間を縫ってのことなので、結局2つしか行くことができなかった。最後にフロリダ定番のスコールにあって全身ずぶ濡れになってしまったが、友人から借りたポンチョをストローラーにかけていたので、娘だけは濡れずにすんだ。
夫が出張を終えてシアトルに戻った日の午後、私と娘はオーランドからサウス・カロライナに飛んだ。直行便で、しかも1時間ちょっとだったから、フライト自体は全く問題なし。しかし、早朝にシアトル行きのフライトに乗った夫にあわせてレンタカーを返したため、私と娘はなんと6時間以上も空港で過ごすはめに。荷物を減らすために持って行った小さなアンブレラ・ストローラーのおかげでシートを倒すことができず、夜中にたたき起こされて睡眠不足の娘は2時間ほどスリングの中で丸くなって寝た。しかし、そんな寝方は娘にとっても楽とは言えず、ずっと抱っこしている私も肩が痛くなり、かなり疲れた。サウス・カロライナに着いたときの私たちは睡眠不足で、時差もないのにフラフラ状態だった。
予想通り、娘はおじいちゃんと(ステップ)おばあちゃんに思いきり人見知りをし、私はほとんど抱っこして過ごすことになってしまい、さらに肩が凝ってしまった。しかし、それでも滞在4日目にもなると、おじいちゃんに遊んでもらっても泣かないことが少しづつ増え、徐々に新しい環境と新しい人々に順応しているのが見え始めた。せっかく孫の顔を見せるために1人で娘を連れてきた私は、この様子にホッとした。
オーランドへの戻りは、たまたま出張で同じフライトとなった義父が何かとヘルプしてくれた。私はオーランド着陸直前で気分が悪くなり、胃がムカムカして目の前が暗くなったりしたが、隣の席の義父に娘を抱いてもらってなんとか乗り切った。これが1人だったらと考えると恐ろしい。
その翌日、胃のムカムカがぶり返し、さらに立ち上がるとフラフラし、熱まで出てしまった。「明日にはシアトルに戻らなければいけないのに、こんな状態では娘と2人きりで飛行機に乗ることは絶対にできない」と判断し、帰るのを1日延期した。暑さでぐずる娘のためになかなか睡眠をとることができなかったものの、ぎりぎりの時点で気分がマシになってきた。
そして、早朝のフライトでシアトルへ。早朝のためかセキュリティがすいていたのは良かった。セキュリティは何度も通っているので、ストローラーをたたんで靴を脱ぎ、バックパックとパースをはずし、スリングから娘を出して片手でスリングをはずし、全てをX線のコンベアに載せるという作業は流れるようにできる。ちなみに、赤ちゃん連れの場合は、抱っこしたままスポッと脱げる靴が便利だ。
ダラスまで2時間半、ダラスからシアトルまでは3時間半だったので、トイレとオムツ替えは乗り換えのダラスでのみ行い、体には良くないが水分を控えて、機内ではトイレに行かないようにした。ダラスからのフライトは、バルクヘッド(先頭の広い席)の通路側に変更してもらうことができた上、隣は空席だったので最高だった。
帰りの機内では娘が今までにない行動をとったのでとてもびっくりした。なんと、あんなに人見知りの激しかった娘が、通路を挟んだ席のおばさま方に愛想をふりまいたのだ。相手にしてくれるものだからさらに調子に乗って笑いかけ、そうかと思えば今度はシートの隙間から後ろのカップルを覗いてはニコニコしている。フライト・アテンダントが通りかかるとじろ〜っと見て笑いかける。機嫌が悪くなりかけても、周りの人が相手をしてくれると機嫌がなおって、おもちゃなどで気をそらすよりもずっと効果があった。周りの人もずっと娘の相手をするのは面倒だったと思うが、「すまないね・・・」と思いつつ、かなり助かったのは事実である。娘はなんだか人が変わったようで、母親としてはなんとなく気恥ずかしい思いをしたが、それでも、にま〜っと笑う顔が「かわいい〜〜〜!」と、1人で親ばかの思いにひたっていた。
考えてみると、会う人会う人「これだともうあと1週間でハイハイ(crawling)始めるわよ」と言われながら何週間も経っていたのが、ハイハイしている子どもと一緒に遊んだのが良かったのか、オーランドから帰る前日、ついにハイハイを始めたし、帰りの飛行機では人見知りも乗り越えてしまった?ようで、いろんな意味で実りのある旅となった。
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