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第10回 : 初めての病気
娘も7ヶ月を迎え、今まで親(つまり私)にとってはいろいろ大変なことや心配事はあったものの、本人は極めてマイペースで健康に育ってきた。ほっぺたが落ちそうだと会う人ごとに言われるほどプクプクで、太ももにいたっては夫が失礼にも"Sumo-Chan"と呼んでいるぐらい立派なものだ。そんな娘が先月初めて病気デビュー(?)をした。
ある日突然、プシューっと、ほぼ液体に近いうんちが大量に出てきた。離乳食を始めて以来、うんちは固形状で茶色に近いような色をしているのが普通だったから、母乳一本の時代に戻ったようなうんちにびっくりしたが、それほど心配はしていなかった。しかしその後、水のようなうんちがちょろちょろと一日に何度も出るので「もしや、これは初の下痢か・・・」と思い、念のためかかりつけの小児科医のナースに電話した。ナースはちょっとした質問などに答えてくれたりアドバイスをくれるので、心配事があるとちょくちょく電話している。
ナースの質問は、
「熱はあるか?」
「うんちの中にmucus(ぬるっとしたもの)はあったか?」
「吐き気はあるか?」
「下痢をおこしそうなものを何か食べたか?」
「睡眠はとれているか?」
「食欲はあるか?」
などで、熱もないし、全て問題がなかった。ナースいわく、とりあえず私の話を聞く限りは下痢のようなので、脱水症状にならないよう十分にミルクや母乳、水を与えて様子を見、それでも続くようならまた電話するように言われた。「離乳食は止めた方がいいのか?」と訊くと、その必要はないと言う。
その後、今まで見たこともなかった育児書の下痢の項目を読んでみると、下痢が48時間以上続くようだったら医者に行くように、などと書いてあったので「そんなに深刻だったのか」とびっくりした。というのも、その時点ですでに36時間ぐらいは続いていたからだ。しかもそこには、「以前は離乳食をストップすると下痢に効果があると考えられていたが、現在では離乳食はストップする必要はないと考えられている」と書いてあった。ちなみに、りんごの果汁は下痢の時には止めた方がよいとも書いてあった。
下痢は止まる様子がなく、水のようなうんちは引き続きちょろちょろと出てきてオムツ替えは新生児時代のように一日に何度も何度もしなければならず、しかも、長時間うんちに触れているためおしりがひどく荒れてしまい、真っ赤になってとてもかわいそうだった。そのせいか、おむつ替えの度に大泣き・大暴れして、毎回一騒動だった。下痢は大人でも辛いもの。赤ちゃんも辛いのは同じのようで、ずっとぐずりっぱなしで、夜中も叫んで起きることが何度もあった。
翌日になってもまだ下痢は止まらず、再度ナースに電話すると、すぐに連れてきなさいということになった。アメリカでは診察に予約が必要なことはご存知のとおりだが、クリニックでは通常、数人の医者がチームとなって運営しており、娘のかかりつけのクリニックでは"walk-in clinic"と言って、その日の当直の先生が予約なしで見てくれる。早速すぐに連れて行った。
その日見てくれた先生は、4ヶ月の赤ちゃんがいるというアジア系の若そう見える女性で、第一声はやはり、
「まあ、大きなほっぺ!」だった。
次に、胸に聴診器をあてたり耳の中を見たりした後、口の中をちょいと見ただけで「ああ、ウィルスだわね。stomach flu(お腹にくる風邪)のようだわ」とすぐに娘の病気を見抜いた。さすがだ。というか、それが医者なんだろうけれど。
「家族でだれか最近病気になっていなかった?」と訊かれた。
「そう言えば、私が2週間ほど風邪をひいてました。でも、咳と鼻水だけでお腹は大丈夫だったんですけど」
「あらま、お母さんから素敵なプレゼントをもらったわね」
どうやら私が娘に病気をうつしたらしいことが判明。先生は、あと1〜2週間ぐらいは続くと予言した。娘に授乳しながら、「いやだなあ」と思いつつ止められない咳をゴホゴホしていたのだから、今から考えるとうつっていても不思議ではない。母乳から免疫を与えながら、一方で風邪をうつしていたら全くお話にならない。
ウィルス性の病気であるため、抗生物質を処方されることもなく、水分を十分に与えて自然治癒するのを待つしかないとのこと。それでも、原因がはっきりしただけで随分と気が楽になり、また、前日に私が作ったsnapper(鯛の一種)の煮物が原因ではなかったことが妙に嬉しかった。早速、子ども用の水分補給飲料「Pedialyte(ピディアライト)」を購入して帰った。飲みやすい「人工のりんご味」を選んだ。風邪をうつしてしまったお詫びのためにも、せめて甘くておいしい「りんご味」を楽しんでほしいと思ったからだ。
その後、先生の予言通り1週間以上下痢は続いたが、機嫌も随分と良くなりおむつかぶれもましになったある日、懐かしい「普通のうんち」が出てきた。思わず「Good girl!」と褒めると、「きゃはははは!」とおかしそうに笑っていた。
こうして、初めての病気はなんとか無事クリア。熱も出ず、比較的楽だったように思う。もっとも、これからもっと大変なことがたくさん待っているのだろうけれど。病気と言えば、もうすぐインフルエンザのシーズン。大人も子どもも予防接種を受けておきましょうね。
執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。
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