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第2回 : 母乳 vs 人工乳

日本とアメリカを比較するということで、まず数字を見てみましょう。ある資料によると、「混合」を含め母乳を飲ませている割合は、日本では生後 1ヶ月で92%、アメリカは退院時で64%とのことです。生後 3 ヶ月の日本では73% に対し、生後6 ヶ月のアメリカはなんと29%・・・赤ちゃんにおっぱいをあげるという行為は、アメリカでは、残念ながら当たり前ではなく珍しい、ということですね。

主人の異父弟に先日赤ちゃんができました。奥さんはキャリア・ウーマンで、産後 4週間で職場復帰、パパが家で赤ちゃんの面倒を見ているのですが(なんともアメリカらしいですね〜)、流行に敏感な彼女はできる時はがんばって(夜など)おっぱいをあげているそうです。流行に敏感な・・・と付け加えたのは、先月の布おむつでも少し触れましたが、「ナチュラルがかっこいい」風潮があって、お金のある中流階級以上の女性たちは、オーガニック・フードを買い、高価な搾乳機を買って職場でおっぱいをとって・・・というようなこともできてしまうのです。それでもシンプルに子育てができれば一番だと思うのですが、彼女のようにナチュラルそうでありながらもたった 4 週間で仕事に戻れたり、アルコールも普通に(普通以上かも?)とったり、生後 2 ヶ月の子をベビーシッターに預けてニューイヤーズ・イブのパーティに一晩中出かけたりということも、できてしまうんですね。

それでもやはり大半のお母さんたちはいまだに粉ミルク。ただ、小児科協会やその他の押しの効果もあってか、かなり母乳のお母さんも増えているようです。私は個人的にはアメリカが母乳派が少ないのは、お母さんが職場復帰をする割合が多いことと、母乳を与えるという行為に対する原始的なイメージがぬぐいきれていないことからだと思います。

逆に、日本では「母乳当たり前」が、人工乳を選ぶお母さんにプレッシャーを与えている、という面もあるようです。お義母さんも、おばあさんも、知らない人までもが「おっぱいはよく出るのか」と心配してくれます。私も一度、日本で当時 6ヶ月の息子を抱いて地下鉄に乗っていたら、隣に座ったおばさんに「あら、かわいいわね、母乳?」と聞かれてぶっ飛んだことがありました。

日本のおっぱい育児でいちばん有名なのは、「桶谷式乳房管理法」でしょう。桶谷そとみ先生という助産婦さんが始められた手法で、認定された看護婦や助産婦、保健婦さんが相談にのってくれる、というものです。基本的なことでは、授乳間隔を3時間以上あけない、食事制限、1歳代を目安に断乳をする、などがよく知られています。もともとは桶谷先生がおっぱいが出なくて悩んでいるお母さんたちをどうにか助けてあげたい、と独自にはじめられた手法だそうですが、ただひとつ残念なのは「有料」なことでしょうか。認定された看護婦さんなどにみてもらうには、初診料5、 6千円、診察料数千円がかかってしまうようで、じゃあその費用が出せないお母さんはどうなるのかな・・・と心配ですね。

それに対して、アメリカの母乳育児サポート最大のグループは、「ラ・レーチェ・リーグ」という非営利団体でしょう。グループリーダーになるには、看護婦やラクテーション・コンサルタントの資格等が必要なわけではなく、一定の訓練を受ければ認定されます。会の運営は全てボランティア・ベースですが、たくさんのプロフェッショナル(医者・看護婦や教授など)も関わっています。基本的には赤ちゃんが望むときに授乳し、断乳ではなく卒乳が基本です。また60年代〜70年代の人工乳ブームからまだ抜け出せないでいる世代への「母乳は赤ちゃんにとってベストだ」という宣伝(?)、またパブリック・ナーシング(公の場での授乳)を薦める運動なども行っています。シアトルには、全米ではロスとここにしかない、日本人のリーダーがサポートグループを行っているので、ぜひ積極的に参加してみてください。

▼ ラ・レーチェ・リーグ
www.junglecity.com/jcommunity/g_laleche.htm

赤ちゃんのおっぱい好きは万国共通のはず。授乳中のお母さんたち、気づいたらあっという間におっぱいも終わってしまいます。赤ちゃんとの楽しい時間、エンジョイしてくださいね。

(2004年1月)

執筆者プロフィール:アメリカ人の夫と息子、娘に囲まれてシアトル郊外に暮らす、平和を愛するナニワっ娘。嵐のような毎日は『フォークソング風子育て』をモットー(?)に乗り切っています。好きなものは食・音楽・映画。苦手なものは飛行機と運動。

Back Number 第22回 アメリカでの子育て 総集編
第21回 教科書なしの小学校
第20回 学校選びのジレンマ
第19回 防災の日
第18回 お行儀
第17回 パワーレンジャーを肯定する
第16回 おるすばん
第15回 敬語と英語
第14回 子連れの飛行機
第13回 性犯罪と子どもの安全
第12回 サッカー・ママ
第11回 子どもと食事(3)
第10回 子どもと食事(2)
第9回 子どもと食事(1)
第8回 安全対策 日本 vs. アメリカ
第7回 バイリンガル教育
第6回 幼稚園
第5回 メディア
第4回 予防接種
第3回 離乳食
第2回 母乳 vs 人工乳
第1回 おむつ


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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