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第16回 : おるすばん

この 『ビオフェルミン事件』 はとある家庭で1970年代に起こりました。当時7歳のお姉ちゃんと2歳の弟。夜だったので2人は寝ていましたが、弟が泣き出して、お姉ちゃんも目が覚めました。しかし、お父さんとお母さんの姿は家のどこにもありません。弟は「お腹が痛い」といったらしく(2歳なのでどこまでが本当か分かりませんが・・・)、面倒見のよかったお姉ちゃんは、最初は「大丈夫よ〜」となだめていましたが、お父さんとお母さんが見当たらないことも手伝って、だんだん不安になりました。

そこで、お姉ちゃんは名案を思いつくのです。

「あ、お腹が痛い時の薬があった!」

そのうちでは、薬箱はいつも戸棚の一番上の高い所においてあるのですが、7歳の子供も薬箱をあけることができました。そして、
「そうそう、これこれ!」
と、オレンジ色の粉末で、美味しい腹痛止め 『ビオフェルミン』 を取り出しました。そして、泣いている弟に食べさせてあげたのです。おそらく、たくさん・・・。

しばらくたっても弟は泣き止まず、途方にくれたお姉ちゃんと弟は家の外に出て、両親を探そうとしますがもう真っ暗。結局、そのまま家の前で2人で泣いていました。そこに、いい気分になった両親が帰ってきてもうびっくり。子どもが寝静まったのをいいことに、近くの友達の家に飲みにいっていたそうです。一気に酔いも覚めたことでしょう。

何を隠そう、この7歳の子は私で、2歳の子は私の弟なのです。結局、私の弟がどのくらいの量のビオフェルミンを飲んだのかは定かではありませんが、お母さんが吐かせたりして、とりあえず大事には至りませんでした。でも弟は腸が弱く、いまでも冗談交じりで「あの日のビオフェルミンのせいや!」と私に言います。そして私の両親はその日以来、決して子供を寝かせたあとに出て行ったりはしなかったそうです。(当たり前でしょ!)

先月、私が日本にいた間、ニュースで見ただけで2件も、子供が両親のいない間にマンションのベランダから転落して亡くなるということがありました。他にも、火事は頻繁に起ります。でも、日本では小さい子供を置いて、親は出かけてしまうのです。

日本に帰るたびに、いつも分からなくなってしまいます。日本は安全なのか?アメリカのほうが危ないのか?それともアメリカの親は過保護なのか?日本では就学前の幼い子に留守番もさせれば、おつかいも行かせる。それを助長するような絵本やテレビ番組まである。公園に行けば親と一緒でない幼稚園生位の子がたくさん。そして、歩道もない道を、すごいスピードで車が走り抜けていくのです。

やっぱり、私は過保護のほうがいいと思います。今はほとんどの薬はチャイルド・プルーフになっていて、子供が開けることはできません。それでも子供が寝た後に外出しようなんて思いもつきませんし、1人でお使いにも出しません。難しいことではありませんよね。そうやって自分の子どもを守るのも、親の義務のひとつではないでしょうか。

(2005年5月)


執筆者プロフィール:アメリカ人の夫と息子、娘に囲まれてシアトル郊外に暮らす、平和を愛するナニワっ娘。嵐のような毎日は 『フォークソング風子育て』 をモットー(?)に乗り切っています。好きなものは食・音楽・映画。苦手なものは飛行機と運動。

Back Number 第22回 アメリカでの子育て 総集編
第21回 教科書なしの小学校
第20回 学校選びのジレンマ
第19回 防災の日
第18回 お行儀
第17回 パワーレンジャーを肯定する
第16回 おるすばん
第15回 敬語と英語
第14回 子連れの飛行機
第13回 性犯罪と子どもの安全
第12回 サッカー・ママ
第11回 子どもと食事(3)
第10回 子どもと食事(2)
第9回 子どもと食事(1)
第8回 安全対策 日本 vs. アメリカ
第7回 バイリンガル教育
第6回 幼稚園
第5回 メディア
第4回 予防接種
第3回 離乳食
第2回 母乳 vs 人工乳
第1回 おむつ


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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