辻井伸行氏、シアトル公演を大盛況のうちに終了

去る22日、日本を代表する若手ピアニストの一人である辻井伸行氏(24)がダウンタウン・シアトルにあるベナロヤ・ホールでリサイタルを開催。ドビュッシーとショパンの楽曲を約2時間にわたり演奏し、観客を熱狂させた。

辻井伸行氏、シアトル公演を大盛況のうちに終了

『Celebrate Asia』 で演奏する辻井伸行氏
©Don Pham

2歳になる前から音楽の才能を開花させた辻井さんは、7歳で全日本盲学生音楽コンクール器楽部門ピアノの部第1位受賞し、10歳で大阪センチュリー交響楽団との共演でデビュー。日本国内外のさまざまなオーケストラとの共演やソロ・リサイタルで成功を収め、2005年にはワルシャワで行なわれた第15回ショパン国際ピアノコンクールにてポーランド批評家賞を受賞、そして、2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初優勝し、一躍有名になった。2011年にはカーネギー・ホールでアメリカ・デビューを果たし、世界的ピアニストとして活躍している。

このリサイタルがシアトルでのデビューとなった辻井氏は、第1部でドビュッシーの 『2つのアラベスク』、『ベルガマスク組曲』、『版画』、『喜びの島』 を演奏。頭を左右に振り、体を揺らす様は、母親の辻井いつ子さんの著書に何度か登場する「音楽を全身で感じて楽しんでいる」時の様子そのもので、辻井氏自身が集まった観客のために心をこめて演奏しているのが伝わってくる。休憩を挟んでの第2部ではショパンの 『華麗なる大円舞曲』 『スケルツォ第2番』 『幻想ポロネーズ』 で透明感のある美しい音色を響かせ大きな拍手を受けたが、最後の 『英雄ポロネーズ』 では辻井氏の指先が奏でる旋律がそれぞれ生命を持っているかのように激しく勢いよく響いて会場の雰囲気が最高潮に達し、終わった時には熱狂的な「ブラボー!」という声とともに割れんばかりの拍手に包まれた。照れたような笑顔を浮かべた辻井氏は、何度も深くお辞儀し、アンコールには東日本大震災の被災者を励まそうと作曲した 『それでも、生きていく』 を演奏。後半に向かうにつれ、悲しく暗い雰囲気が希望を感じさせるような明るい音色に変わっていくと、会場のそこかしこで目頭をおさえる観客の姿が見られた。

辻井伸行氏、シアトル公演を大盛況のうちに終了

また、28日には、今年で5回目となったアジア音楽を楽しむフェスティバル 『Celebrate Asia』 が、同じくベナロヤ・ホールで開催され、辻井氏を含むさまざまなアジア音楽のミュージシャンが出演。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でシアトル・シンフォニーと共演した辻井氏の、実に繊細な音色と情熱的かつ迫力のある演奏には、終わった瞬間から会場が大きな拍手に包まれた。指揮者を務めたシアトル・シンフォニーの副指揮者スティリアン・キロフ氏と硬く抱擁しあった辻井氏は、なりやまない拍手に応えて何度も舞台に登場。そして、アンコールにはリストの 『ラ・カンパネッラ』 を演奏し、再び観客を熱狂させた。

閉幕後に関係者らが出席して開催されたレセプションでは、各アーティストがイベントの司会を務めた KING5局ニュースキャスター、ミミ・ジャンによる質問に回答。「どのようにして音楽の道に進むことになったのか」といった質問を受けた辻井氏は、まだ1歳にもならない頃からショパンの 『英雄ポロネーズ』 を好んで聴いていたというエピソードや、5歳の時に旅行で行ったサイパンのショッピング・モールで演奏し、たくさんの人々に喜んでもらったというエピソードを披露。「音楽はすばらしい。たくさんの人を幸せにする」と締めくくり、あたたかい拍手を受けた。

掲載: 2013年1月28日

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