■ 『在米心理カウンセラーが教える:留学サクセスマニュアル』
1988年に渡米してニューヨークのハンター・カレッジ大学院入学し、1991年の卒業と同時にワシントン州認定ソーシャル・ワーカーとして勤務を開始した角谷紀誉子先生が、先週末に日本で
『在米心理カウンセラーが教える:留学サクセスマニュアル』 を出版しました。10数年にわたるカウンセリングの経験をもとに、日本人留学生が留学前・留学直後・留学中という異なる段階で共通して直面しがちな問題や悩みを明らかにし、ケース・スタディを交えながら、角谷先生自身がクライアントの日本人留学生に提案する解決法を紹介しています。今回は、その角谷先生にお話を伺ってみました。
-本を出版しなくてはと思われたきっかけを教えてください。
ずいぶん前に日本人留学生のカウンセリングを始めたのですが、それを通して日本人留学生が共通の問題に直面していると気づきました。自分だけの問題と思って1人で悩みがちなので、「そうじゃないんだよ、みんな悩むことなんだよ」と伝えることで気持ちがずいぶんと楽になるものです。そして、「こういうふうに解決できるよ」と、具体的な解決方法も教えたいと思いました。当初はハウツーもので考えていましたが、やはり最初によく見られる問題を明らかにしておく必要があると思い直しました。留学についての本は留学して欲しい人たちが書くことが多いため、いいことだけを書いたものが多く、本当のことを書かない傾向があります。そういったことからも、出版社からこの内容には需要があると見込まれました。
-日本人留学生に共通した悩みや問題とは何でしょうか。
最大の問題はカルチャーショックですね。いろいろな症状がありますが、うつになる、やる気がなくなる、アメリカやアメリカ人が大嫌いになる、日本や日本人が大嫌いになる、留学の目的を失う、人に会いたくなくなるというのが一般的です。さらに、日本から引きずってきた問題が悪化します。例えば、日本で悩んでいたことがこちらではもっと大きな悩みになりますし、人見知りする人はこちらでもっと人見知りするようになりますし、日本で積極的だったらこちらでは積極的になりすぎて同じ日本人から敬遠されたりします。また、留学生なら誰でも経験する適応障害があります。これはカルチャーショックのもう少しひどい状態と言ったらいいでしょうか。人によって症状が異なりますが、パニック症・過呼吸・うつ・不安・自傷行為・摂食障害・酒や麻薬の使用などがあります。そういった症状が留学生によく見られることが伝われば、自分はおかしくないことがわかり、それらに対する具体的な対処法がわかれば、心の負担が軽減されるとっかかりとなります。
-日本人が留学するようになって久しいですが、日本人留学生が直面する問題は時代と共に変わってきているのでしょうか。
日本人留学生が直面する問題には、昔からあるものと、新しいものがあります。昔からある問題は、カルチャーショック、言葉の問題、プレゼンテーション・ディスカッションの恐怖、アメリカ人との対応、差別、実家からの問題などです。
新しい問題は、友達や家庭との関係の変化です。インターネットもなく、国際電話代も高価だった時代は、海外に来たら日本や日本の家族・友達などと簡単に連絡ができないようになっていました。そのため、留学生たちは必死に言語を学びながら適応しようと努力し、日本にいたら会えなかった人との出会いや体験を通して、「こんな人もいるのか」「こんな世界もあるのか」と、新しい世界に触れることができました。でも、今はインターネットもあれば、国際電話の送受信ができる携帯電話まであり、飛行機代も高くなくなって頻繁に行き来ができるようになっていますから、留学しているというのに
"長い海外旅行に出ているような状態" を続ける留学生が少なくありません。日本の親や友達との深い人間関係を持ったままの状態が続くため、アメリカで新しい人間関係を作ることが面倒くさくなったり、そこに価値観を見い出さないのです。そのため「留学してもいいことがない」とか、「アメリカで友達ができないから」と、留学途中で日本に帰ってしまう学生も多いくいます。また、昔は親も子供が留学してしまえば自然に子離れができていたのに、今ではそのように
"いつでもつながっていられる状態" であるために、「あなたがいないとさみしいわ、いつ帰ってくるの」と、子供にべったりと依存したままになりがちの親もいます。
そして、留学終了直前には就職活動の問題が出てきます。昔は「留学中は日本で就職活動ができない」という前提でしたが、今では「留学中でも日本で就職活動ができてしまう」のが問題です。同じ留学生の友達から「誰々は電話で内定をもらった」「誰々はもう就職が決まった」といったプレッシャーがかけられ、せっかくの留学に集中できなくなってしまいます。留学生の中には留学中にも日本で就職活動をし、日本に帰国した翌日が初出社という人もおり、ゆっくりと心身をいたわる時間もなく、日本で適応障害になってしまう場合もあります。留学中は日本とのつながりをある程度切らないと、留学しているからこそ得られるものが得られない状態で留学が終わってしまいがちなのです。
- 留学する本人はもちろん、その親にも役立ちそうな内容ですね。
そうなってほしいと考えて原稿を書きました。日本人は日本にいるときから、映画やテレビや音楽でアメリカ文化に普段から触れているため、アメリカ文化を知っていると思いがちです。でも、実際にアメリカに暮らしてみるのとでは違います。どうもうまくいかないこと、自分を疑ってしまうことなどが出てきます。それらの多くは文化の違いから起きる「当然のストレス」なのに、適応できない自分を責める学生が多くいます。学生のカウンセリングをしていくうちに、個人の適応の問題というより、日本人だから悩むこと、日本人だから誤解されることがあることに気づきました。それを知るだけでも気持ちが楽になるし、不必要なことで悩まなくても良くなるわけです。私はできるだけたくさんの留学生を助けたいと思っていますが、シアトルにいますので、シアトルにいる人やシアトルに来る人でなければ助けてあげることができません。でも、この本を読めば、自分のことをもっと理解し、自分で自分を助ける力をつけることができます。私のような日本人のカウンセラーがいない場所に留学する人はもちろん、子供を留学に出す親御さんたちにもぜひ読んでいただきたいと思います。
- ありがとうございました。
『在米心理カウンセラーが教える留学サクセスマニュアル』
目次:
留学前のストレス
1 留学目的の設定
2 心配・迷い
留学直後のストレス
3 カルチャーショック
4 アメリカ文化入門
留学中のストレス
5 英語のストレス
6 ディスカッション・プレゼンテーション
7 差別
8 ホームステイ
9 寮・シェアハウス・ひとり暮らし
10 友達
11 恋愛
12 適応障害・うつ・不安・パニック症・摂食障害・自傷行為
13 アルコール・ドラッグ
14 家庭の問題
15 ストレス解消法
購入できる場所:
・Amazon.co.jp
・Kinokuniya
Book Web
・アルク
オンラインショップ
(掲載:2007年10月29日)
【2010年のコミュニティ・ニュース】
■ アイヌとネイティブ・アメリカンの交流プログラム
■ 全米不動産協会、日本の不動産協会を正式に訪問
■ 作家・松浦理英子氏、ワシントン大学で講演
■ ワシントン大学で 『Day of Remembrance
Program』 開催
■ 僧侶・静慈彰さん著書発売
■ 第2回 『日本酒祭』 歓迎会
■ 次期在シアトル日本国総領事に太田清和氏
■ ピアニスト/作曲家/ビジュアル・アーティストの向井山朋子さん、シアトルで演奏
■ シンガーソングライター、エミ・マイヤーさん 『パスポート』 を発売
■ John L. Scott 不動産のジェイソン・渡部氏、全米不動産協会大使に
■ 日本からの輸入食品に関する規制強化
■ 阪神淡路大震災15周年 シアトルでも追悼式
■ 在シアトル日本国総領事館新年会
>> これまでのニュースはこちら。
【在シアトル日本国総領事館からのお知らせ】
■ Seattle City Light の集金担当者を装った詐欺行為に関する注意喚起
■ なりすましメールを利用した借金名目詐欺に関する注意喚起
■ ベルビュー市での領事出張サービス実施について
■ 遺産相続を名目とした国際的詐欺に対する注意喚起
■ 安全情報
■ ワシントン州経済概況
■ 海外居住者のための国民年金加入に関する問い合わせ先
■ 厚生年金・健康保険に関する問い合わせ先
■ 旅券手数料の改訂について
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■ 在留届
■ 日本国籍の喪失などに関するお知らせ
■ 日本の運転免許証に係わる諸手続について
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