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海外農業研修プログラム (JATP) 日本の農業強化に貢献

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卒業生と職員、ホストファミリーはわきあいあい

アメリカの大学での学習と農場での実習を組み合わせた農業研修プログラム 『The Japanese Agricultural Training Program: JATP』 の修了式が8日、在シアトル日本国総領事公邸で開催された。

同プログラムは、米国の技術と手法を日本に伝え、日本の農業を改善することを目的に、日本政府と米国政府の合意で1965年に始まったもので、約19ヶ月にわたり学習と実地研修にみっちり取り組む点がユニークだ。研修生はまず、ワシントン州東部にあるビッグ・ベンド・コミュニティ・カレッジで英語の集中研修と米国社会・農業の基礎学習・研修を約2ヶ月間行った後、それぞれの希望する西海岸・中西部・東部・ハワイ州の農場へ移り、約14ヶ月に及ぶ実地研修を行う。2012年~2013年度の研修生62人はその後、提携先のカリフォルニア大学デービス校での約2ヶ月の学習・視察研修、そして半月間の最終研修旅行を終え、シアトルでの修了式に臨んだ。

国際農業者交流協会の吉川隆志・米国支部長と握手する研修生
ビッグ・ベンド・コミュニティ・カレッジのテレンス・リース学長と握手する研修生

日本から到着した研修生が最初に米国社会を体験する場となるビッグ・ベンド・コミュニティ・カレッジのテレンス・リース学長は、「48年の歴史を持つこのプログラムはたくさんの人々の力によって運営されてきたが、その成功はあなた方を迎えいれる農場経営者にかかっている。彼らはあなた方にさまざまなことを教え、学ぶ機会を与えてくれる。そして、ここに集った卒業生のみなさんは慣れた環境から出て、英語やスペイン語を学ぶなど多大な努力までし、自分自身、そして家族や支援者全員に誇りをもたらした。おめでとう」と祝辞を述べた。また、今回初めて研修生を受け入れたというショーツ・ファミリー・ファームのショート夫妻は、「研修生のおかげですばらしい体験ができた」と、いきいきと語り、大きな拍手を浴びた。

国際農業者交流協会の吉川隆志・米国支部長は、日本の農業就労人口の減少と高齢化という食料自給率の低下にもつながる切実な問題を挙げ、「現在までに受け入れた5,000人以上の研修生の60%が農業、20%が農業関連の仕事に従事している。この事実から、海外農業研修プログラムが日本の農業活性化に貢献していることがわかる」と述べ、「日本に帰国してそれぞれの道を行くあなた方が、さらなる貢献をしてくれることを願う」と研修生たちを激励した。

海外農業研修プログラムのオペレーション・コーディネーター、
アシャー・ラムラスさんと研修生の細越雄太さん

東京農業大学で途上国の農業開発による発展を学び、このプログラムを通じてワシントン州東部でオーガニック農業を営む日本人農家・滝克典さんの農場で実地研修を行った細越雄太さん(写真上・右)は、東京生まれの東京育ち。農業の経験はまったくなかったが、「持続可能なオーガニック農業について学びたい」との強い希望で、滝さんの農場で働いた。日本語を使う機会が多く、完全な英語環境ではなかったものの、オーガニック農業について数え切れないほど貴重な体験ができたという。しかし、農場の労働は想像以上に大変で、「労働者は1日8時間と決められていますが、経営者でもある滝さんは朝の5時から夜の9時まで働いていたりします。本当に大変な仕事」と振り返った。また、滝さんはニューギニアで農業を教えていた経験もあることから、「将来は途上国で農業をやりたい」と考えている細越さんが将来の方向性を固める上で大切なことを多く教えてくれたと、笑顔を見せた。

研修生たちにはこれからたくさんの可能性が待ち受けている。このプログラムで新たに見つけた興味を追究するために学校に戻る人もいれば、別の国で別のことを学ぶ人もいる。それぞれの道がどのようなものであっても、このプログラムから得た経験と自信が、彼らを勇気づけ、新しい一歩を踏み出す力をくれるだろう。

公益社団法人国際農業者交流協会(JAEC) 公式サイト

Big Bend Community College – Japanese Agricultural Training Program (JATP)

写真© HBCC/Brian Chu

掲載: 2013年10月9日

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