MENU

「日本酒をもっと世界へ」 蔵元12軒がシアトルを訪問

  • URLをコピーしました!

去る2月20日、日本酒の海外展開の強化を目指す日本各地の蔵元12軒の代表者らがシアトルを訪れ、日本酒について理解を深めてもらうためのイベントを在シアトル日本国総領事公邸で開催。シアトルの食品産業関係者や批評家ら約65人が来場する盛況な催しとなった。

close-encounter-with-the-japanese-sake-01

2015年に日本から輸出された酒類の総合額は前年比133%増の約390億円で、4年連続で過去最高となった(国税庁発表)。中でも清酒は輸出額が前年比121.8%増の約140億円、輸出量が前年比111.4%増の18,180キロリットルと、6年連続で過去最高を記録。清酒の輸出先トップ10 はアメリカ・韓国・中国・台湾・シンガポール・カナダ・オーストラリア・イギリス・ベトナムで、約50億円(前年比121%増)のアメリカは全体の約40%を占める最大の輸出先となっている。

挨拶に立った大村総領事は、こうした輸出の増加について触れ、「ノーベル賞晩餐会で兵庫県の福寿の純米吟醸酒が提供されるなど、日本酒の評価が世界で高まっている」と述べた。また、取材に対して、「在シアトル総領事館としては、今回のような民間・地方主導の催しに、これからも積極的に会場を提供していきたい。それによって経済と人の交流が増えて輸出につながれば、最も望ましいこと」と語った。

close-encounter-with-the-japanese-sake-02

『Sake 101』 と題して行われたプレゼンテーションでは、日本酒造組合中央会の濱田由紀夫氏が、日本酒の基本や、日本政府が昨年導入した地理的表示(ジオグラフィカル・イ ンディケーション:GI)など、現在の日本酒を取り巻く環境について説明した。WTO 加盟各国は、地理的表示指定した商品を保護するため、産地以外の商品にその地名を使用しないように取り決めている(代表的な例としてイギリスの「スコッチ・ウイスキー」、フランスの「ボルドー・ワイン」など)。「『日本酒』 と呼べるのは、日本国内産米のみを使い、日本国内で製造されたもののみ」との指定が、日本酒のブランド価値向上や輸出促進につながることが期待される。

続いて、シアトルにある Cedar River Brewing Company 社の宮城幸子氏が日本酒を取り巻くアメリカのトレンドについて説明。健康志向でサステナビリティを考える消費者にアピールできる日本酒ならではの良さとして、グルテンフリーで添加物がなく、生産工程で無駄がほとんどないことなどを挙げた。ニューヨークやサンフランシスコでは、ピザやチーズバーガー、オイスターといった日本食以外の食べ物と日本酒とのペアリングがトレンドになるなど、新しい楽しみ方で日本酒を味わう消費者が増えてきているという。

close-encounter-with-the-japanese-sake-02

その後、参加者は各蔵元のブースをまわり、大吟醸や純米吟醸、純米にごりなど30種類を超えるさまざまな日本酒を味わった。チーズやフルーツ、ローストビーフ、野菜のトマトソース煮込みなどと日本酒の香りを楽しみながら、新しいペアリングを楽しむ参加者も多く見られた。

もちろん、日本食を味わう場合、日本酒の存在は基本中の基本。シアトルのイーストレイク地域にある日本食レストラン 『田むら』 のオーナーシェフ北村太一さんは、「日本酒はいろいろな食べ物と合うと思うが、シアトルで日本酒と言えば、まだまだ 『日本食向け』 という意識が強いと思う。これから日本食の人気のさらなる高まりとともに日本酒の需要が伸びていくのでは」と語る。この催しで出会った故郷・京都の酒蔵の日本酒を仕入れてメニューに加えたところ、すでに約10本が売れたという。北村さんは、今後の課題は仕入れ方法が複雑なことを改善することと指摘する。「テイスティングなどの特別な催しで出会った酒が、『ワシントン州でまだ販売できない』 といった理由でその場限りで終わってしまい、残念な思いをしたこともある。より簡単に仕入れることができるようになれば、さらに需要が増えると思う」。

「百薬の長」と言われ、日本の重要な食文化のひとつとして発展してきた日本酒。日本国内の清酒消費量は減少する一方であるのに対し、海外での消費は増加の一途をたどる。官民が共同で日本酒の輸出促進事業に取り組むにあたって、増えていく需要に対応しうる流通方法の改善が必要不可欠のようだ。

掲載:2016年3月 写真:Brian Chu

  • URLをコピーしました!

この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!

もくじ