
Battle in Seattle
バトル・イン・シアトル
| ジャンル |
ドラマ |
| 公開 |
2008年 |
| 監督 |
スチュワート・タウンゼンド(脚本も担当) |
| 出演 |
アンドレ・ベンジャミン、ジェニファー・カーペンター、ミシェル・ロドリゲス、マーティン・ヘンダーソン、レイ・リオッタ、シャーリーズ・セロン、ウッディ・ハレルソン、コニー・ニールセン、ツィ・マー |
| Rating |
R |
| 公式サイト |
www.battleinseattlemovie.com |
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1999年11月30日から12月3日の4日間にわたりシアトル市で行なわれた WTO(World
Trade Organization:世界貿易機関)の第三閣僚会議を中心に、市・州・国・警察・医師・政府代表・抗議運動家・一般市民などの視点から数日間の出来事をドラマ化。GATT(関税と貿易に関する一般協定)に代わって1995年1月に発足したWTO
に異議を唱える内容となっている。
国際貿易会議としては最大規模となったこの WTO 国際会議の開催地に選ばれたシアトル市。開催前から「1968年にシカゴで起きた暴動の再現となるのでは」という懸念はあったが、シアトル市や警察、そして州や国さえも、約3万5千人による大規模な抗議運動が展開されるとは予想していなかった。シアトル市の市長(レイ・リオッタ)は「暴力行為でない限り、逮捕者を出すな」と命じていたため、警察は一部の自称アナーキストらによる破壊行為も静観するしかなく、ダウンタウン・シアトルは機能不全の状態に突入。オルブライト米国務長官を含む135カ国の代表のほとんどがホテルに缶詰となり、クリントン大統領のシアトル訪問を実現させたい州知事(ツィ・マー)から圧力をかけられた市長は、ついに非常事態を宣言し、州兵の応援を請うことを決定した。
午後7時から夜明けまでの外出禁止令が解かれた2日目、新たに設定された抗議運動禁止区域内では催涙ガスがかけられ、抗議運動家らが次々と逮捕されていく。そこには、平和的な抗議運動を求めるジェイ(マーティン・ヘンダーソン)やジャンゴ(アンドレ・ベンジャミン)、ルー(ミシェル・ロドリゲス)の姿もあった。一方、会議では、国境なき医師団やアフリカの第三諸国の代表が「社会・環境のニーズよりも企業の利益を優先している」と、WTO
に異議を唱える場面も。出席者全員が WTO に賛同しているとは限らないことがわかる。その頃、妊娠5ヶ月のエラ(シャーリーズ・セロン)は、夫で警察官のデール(ウッディ・ハレルソン)から「危ないからすぐに帰宅するように」との電話を受け、勤務先から友人宅に向かっていた。騒ぎを避けようとして催涙ガスが充満する地域に入り込み、わけもわからないまま混乱に巻き込まれるエラ。現場に居合わせたテレビ局レポーターのジーン(コニー・ニールセン)は、最初こそ特ダネと喜ぶが、事態の深刻さに自分の仕事の意味を見つめなおすのだった。

29日間にわたる撮影の大半はカナダのバンクーバー BC で行なわれたが、シアトルでもパラマウント・シアター前やダウンタウン・シアトルの交差点、ワシントン州コンベンション・センター、映画館シネラマなどといった、ポイントとなる地域が撮影に使われている。また、上空から撮影されたエリオット湾などの風景や実際の抗議運動、破壊行為で被害を受けたスターバックス社
CEO のハワード・シュルツ氏のインタビュー、クリントン大統領のシアトル到着の映像などがあちこちに挿入されているため、臨場感がある。
なお、今作ではシアトル市の市長はレイ・リオッタ演じるジム・トビンという人物になっているが、実際の市長は当時62歳だったポール・シェル氏。また、この
WTO での対応で激しい非難を浴び辞職したノーム・スタンパー警察署長をゲリー・チョークがファハティ署長として演じている。シェル市長もスタンパー警察署長も実際はすっかり白髪だったが、今作ではそれよりも少し若い人物として描かれている。香港出身の俳優ツィ・マー演じる知事は、当時のゲリー・ロック州知事。米国初の中国系アメリカ人知事だった同氏はオバマ政権で商務長官に就任した。
そもそもシアトル市が開催地に選ばれたのは、ボーイング社とマイクロソフト社という大企業の本社があったことが大きな理由とされている。シェル市長は当初、クリーンなイメージを打ち出しすことを重視していたが、ダウンタウンやキャピトル・ヒルでの破壊行為は全世界に報道されてしまった上、被害総額は推定2千億ドル、逮捕者は520人となり(このうち225人はシアトル在住者)、シアトルで開催する必要性はなかったという批判が噴出。さらに、2001年2月にはマルディグラの騒ぎで男性が死亡するという結果となり、同市長は2001年に予備選挙で落選した。なお、シェル氏に代わって第51代市長に就任したグレッグ・ニッケルズ市長は2005年に再選を果たしたが、2008年冬の大雪対策の不備が影響したのか、2009年の予備選挙で落選している。
監督は1972年アイルランド生まれのスチュワート・タウンゼンド。俳優を志し、アイルランドとイギリスでさまざまな映画・舞台に出演したが、2000年のサンダンス映画祭で出演作品
『About Adam』 が上映されてからアメリカでも注目を集めるようになった。『The Lord of the Rings: The
Fellowship of the Ring』 のアラゴン役を射止めたが、撮影開始から数日内に想定年齢よりも若すぎるとの理由で降板させられたという経歴がある。DVD
のスペシャル・フィーチャーでは、「2002年にアニタ・ロディック著 『Take It Personally』 を読み、WTO
の問題について世界に知らせるべきだと発奮。脚本を6ヶ月で書き上げ、それから2年を改訂とプロデューサー探しに費やした」と語っている。初公開はカナダのトロント映画祭だったが、2008年5月のシアトル国際映画祭のオープニング作品に選ばれ、シャーリーズ・セロンと共に出席。シアトル映画祭のオープニングにこれ以上ふさわしい作品はその年にはなかっただろう。
このシアトルでの国際会議の結果、何かが変わったのだろうか。今作の最後には、WTO や G8 などの国際会議では会場から2マイルは抗議運動禁止区域が設けられることになったとの説明があるが、それに続いて2001年のドーハ閣僚会議では「必須医薬品の配布が優先されるべきであること」や「貧困国のニーズに対応する必要性」が認められたものの、2007年になっても実施されていないというオチがついている。2003年のメキシコ・カンクンでの閣僚会議は韓国農民団体代表のイ・ギョンヘさんが抗議自殺し、先進国と途上国は合意に至らないまま決裂。インドでは輸入品があふれ、農民が自殺に追いやられている現状が伝えられる。しかし、米国も例外ではなく、雇用喪失、賃金低下、汚染食品の増加が問題視されるようになっている。
参考:Seattle Times、seattlepi、HistoryLink.org
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