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米国中西部・南部の就職状況: Creo Consulting
 
Creo Consulting, LLC
就職コンサルタント 永岡卓氏


日系自動車産業の都であるオハイオ州シンシナティ市を拠点に、米国中西部・南部、そしてカナダ・オンタリオ州で採用を行う企業と就職を希望する求職者に人材紹介・派遣、人事コンサルティング・サービスを提供。2007年からは、日本国内で働く米国・カナダ人の本国での就職や日本国内での転職のための人材紹介、将来米国での就職を希望する日本人のバイリンガル人材の日本国内での就職、米国での事業展開を予定する企業へのコンサルティング事業も行っている。
米国:
Creo Consulting, LLC
4 Triangle Park Drive, Suite 401
Cincinnati, OH 45246
Phone: (513) 771-7750
www.creo-usa.com
日本:
Creo Consulting Japan, Co. Ltd.

〒150-8512
東京都渋谷区桜丘町26-1
セルリアンタワー15階
Phone: (03) 5456-5084


売り手市場と言われた昨年から状況は大きく変更していますが、今の中西部・南部の経済状況について教えてください。
もともと中西部や南部のエリアに進出している日系企業の多くが自動車関連の製造業ですので、昨年後半から景気の状況が悪化してきています。具体的には勤務シフトの削減、オペレーション担当派遣社員の契約解除、時間給社員の勤務時間削減、サラリー制社員の給与カットなどによってメーカーからの減産要請に対応しています。また、もともと日本語バイリンガル人材の比率が低い製造業ですが、今回の不況では今まであまり対象とならなかったバイリンガル社員のレイオフ・解雇なども耳にするようになりました。このように当地で大きなシェアを占める自動車関連製造業の不況の あおりを受けて、物流や商社など製造業を顧客とする業種でも同様に景気が悪化する傾向にあり、全般的に人材採用意欲は低下しています。特にエントリー・レベルの人材採用にその傾向が顕著であり、逆に企業が即戦力とできるようなポジションは少数ではあっても引き続き求人があります。これは以前にも増して企業の即戦力志向が高まっていることや、組織の中でも不可欠なポジションは退職が発生しても必ず補充されることを意味しています。


日本人はその中でどのような就職活動ができるのでしょうか。新卒の場合、職務経験者の場合について教えてください。
新卒者の場合、前述の通りエントリー・レベル向けのポジション数が減少している上に、永住権保持者でも仕事が見つかりづらい現在、ビザのサポートが可能なポジションが大幅に減少し、就職に不利な状況となっています。そんな中でわずかながらビザのサポートをする企業もありますが、当然そこには多くの新卒者が応募し、かなり倍率が高くなることを覚悟した方が良いでしょう。以前であれば普通に内定を得られたレベルの方でもなかなか内定が出なくなっています。また、昨年から新たに加わった「OPT 開始後90日以上無職の期間があってはならない」という制限も、就職活動の足かせになってきますので、アメリカでの就職を希望される新卒の方は下記のことを念頭に就職活動を行ってください。
  • 計画的な就職活動を行う
    採用する企業側にとって勤務開始スケジュールは大変重要ですから、まずは可能な限り早く OPT を申請し、いつから勤務可能かが明確な状態にしてから就職活動を開始することです。そしてもうひとつ重要なことは、上述の90日制限も考慮してアメリカでの就職活動にピリオドを打つタイミングも決めておくことです。また、ビザのサポートが可能な正社員ポジションが見つからなかったとしても、OPT 期間に限定した派遣ポジションであれば見つかるケースもありますので、正社員希望の方も一定期間就職活動を行って仕事が見つからなければ、ターゲットを派遣や期間限定雇用のポジションに切り替えて、OPT 期間を有効に使うという道も考えておくべきです。OPT 開始後90日が経過する直前になってから急に方向転換しても、今の雇用情勢で希望のポジションが見つかるとは考えづらいので、このタイミングは大変重要です。

  • アメリカと日本での就職活動どちらか一方に集中して行う
    最近はインターネットによるエントリーが一般的になったせいか、アメリカと日本両方の就職活動を並行しようとする新卒者の方も増えました。しかしながら私が知る限り、この方法で上手く行ったという方はほとんどいらっしゃいません。両方一度に行えば効果的と思われがちですが、アメリカと日本では新卒採用選考のスケジュールが根本的に異なります。経済的に余裕があり頻繁に日本とアメリカを往復できる方以外は、タイミングを決めてどちらかひとつに集中した方が良い結果が期待できます。「二兎追うものは一兎も得ず」のことわざ通りということです。

  • 情報収集の幅を広げる
    これだけ求人が少なくなり超買い手市場となれば、我々のような人材紹介会社を使わずに、公募や口コミといった方法も含めコストの安い方法で求人する企業も増えてきます。ですから、人材紹介会社に登録してひたすら求人情報を待つだけではなく、あらゆるメディアや就職イベントに注目して1件でも多くの求人情報を得られるような積極的活動をすることも重要です。

  • 希望条件を緩和する
    私は例え話としてよくアパート探しを持ち出しますが、場所は○○、給与は○○K 以上、仕事は○○だけ、業種は絶対○○、というように多くの希望条件がつけばつくほど仕事は見つかりづらくなります。とは言え1日1/3以上の時間を費やす仕事が何でも OK とはいかないでしょうが、勤務地や希望業種などは比較的条件が緩和しやすいはずですし、給与に関してもある程度の譲歩は必要となります。これは景気の動向に関わらず言えることですが、人材採用も需要と供給のバランスで成り立っていますので、「求人数<求職者数」という地域や業界よりも、「求人数>求職者数」という地域や業界を探した方が仕事を得られる可能性が高いということです。
職務経験者の場合、前述の通り企業の即戦力採用志向が高まっていますので、このような時期にはなるべくキャリア・チェンジなどを考えずに、できるだけ今までの知識や経験を充分に活かせる仕事を探すことが成功への近道だと思います。新卒採用マーケットと同様に圧倒的に求職者が多い状況ですが、企業側の求める経験や資質を持ったピッタリの人材というのは実は意外と少ないものです。職務経験者の転職に際しては以下のようなことに留意すると良いと思います。
  • 自分の経歴を的確に理解してもらう
    現在のような買い手市場の特徴として応募者が激増することがあげられますが、山ほど送られてくる応募書類からはじかれないためにも、まずは書類選考を通過して面接に残れるような適切なレジュメを作成することです。最も重要なことは、自分の経験してきた職務内容についての詳細を簡潔にわかりやすく表現すること。間違っても会社から与えられた "Job Description" を丸写しにするようなことをしてはいけません。職務内容を書かずにタイトルだけが羅列してある具体性にかけるレジュメや、本人にしか理解できないような複雑難解な内容も採用担当者がはじきたくなるタイプのレジュメです。採用担当者が読んで面接をしてみたくなるレジュメとは、その候補者が仕事をしている姿がイメージできるようなもの、その方の経歴を自社ポジションの要求に照らし合わせることが容易であるものと考えるとわかりやすいでしょう。レジュメに関してもうひとつ重要なポイントは、ポジション名や雇用期間を間違えずに正確に記入することです。「そんなことは当たり前」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、昔の職歴などに関して意外と勘違いしたり曖昧なまま記入する方がけっこういるのです。多くの会社では内定前に "Background Check"(身元調査)や "Drug Screening" と併せて、"Reference Check" (経歴照会)を実施し、前職や前々職の人事部や元上司の方に雇用情報を問い合あわせする場合があります。この際にレジュメに記載しているポジション名が異なっていたり在籍期間が異なっていたりすると、経歴詐称を疑われるまではいかずとも、企業に良い印象を与えることはありません。

  • 自分のネットワークを使う
    つい最近のことですが、「友人が弊社の求人情報メールを読んで転送してくれた」という求職者からお電話をいただきました。この方は弊社には登録されていなかったのですが、近々働いている工場が閉鎖されるため、お友達に良い仕事があれば教えてほしいと伝えていたそうで、偶然にも弊社が探している人材と大変近い経験を持っておられ、就職のお話がトントン拍子に進んだという、作り話のような本当の話です。もちろん現職の方はお仕事上の取引先などとの関連もありますので、声をかける相手は充分に吟味する必要がありますが、アメリカで長く住んている人ほどこういったネットワークを使うことで、思わぬところから予期せぬ仕事の話が舞い込んでくることもあるのです。

アメリカでキャリアを積むことを希望する人へのアドバイスをお願いします。
これを読んでいる方の多くは、アメリカでキャリアを築くことは「特定の分野で専門性を高めることである」と考えているのではないでしょうか。もちろんこの考えは間違いではありませんが、日系企業で働く場合に限ると、このことが就職の妨げになる場合もあります。技術系職種などの例外はありますが、一般的に日系企業においてもともと日本語バイリンガルのポジション自体がユーティリティ・プレーヤー的存在であり、「特定の分野に限って高度な知識を持っていますが、その他はまったくわかりません」という人よりも、「IT にも強いアドミアシスタント」とか、「CPA 資格を持った営業スタッフ」、「現場実務にも精通しているマネジャー」というようなタイプの方が採用側には重宝される傾向にあります。ですから、キャリアを積むということをあまり狭いカテゴリで理解せず、複数の得意分野を持つことでよりつぶしが利きやすくなり、結果として複数のキャリアを適度に伸ばすことができると考えた方が現実的かもしれません。また、就職というのは常に需要と供給のバランスで成り立っていますから、雇用市場で必要とされているキャリアと皆さんが今後積み重ねていくキャリアというのは決して無縁ではないと思います。

キャリアの話で切っても切れないのが学位や資格。弊社にも「MBA 保持者なので高い給与が欲しい」とか、「CPA 資格を取得したので会計事務所で仕事をしたい」と仰る求職者は少なくありません。ところが、アメリカでは企業側の採用に対する条件には、そのポジションに必要とされる学位や資格が設定されており、たとえば高校卒の要求しかないポジションに MBA 保持者が採用されても、原則として給与が上がることはないというルールがあります。意外に思われるかもしれませんが、新卒採用に限っては大手会計事務所が CPA 資格取得者に限定しているという話は聞いたことがありませんし、それよりも人間性や性格、コミュニケーション能力やストレス耐性といったソフト面を重視しているという話を面接担当者から聞いたことがあります。もちろん職務経験を必要とする上位ポジションであれば資格が最初から条件されることも多いので、決して高学歴や有資格がキャリアパスに効果的でないということではありません。しかしながら一昔前のように、資格や学位それ自体が待遇を良くしたり仕事を見つけやすくする効果は高くなく、それらを必要とされる専門的職務内容があって初めて活用できるものと考えるべきです。現在のような不景気で求人が減少すると、学位や資格取得で就職を有利にと考える方が増えてきます。それ自体は決して悪いことではありませんが、資格や学位の取得にかかる費用も決して安くはありませんので、その投資に見合った回収ができるかを最初に考えてから充分な吟味をして決定すべきでしょう。

(2009年3月掲載)

>> 2008年5月掲載のコラムはこちら
 
 

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