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日本でも現在は生涯に1つの企業にだけ勤める終身雇用制度が崩壊したとされるが、アメリカではそもそも終身雇用制度はなく、企業は「必要な時に必要な人材を必要な役職に採用する」という個人ベースの採用システムをとっている。また、新卒枠といった新卒者のみを一定の数だけ採用するというシステムもなく、個人がより良い仕事を求めて転職することも盛んであるため、新卒者と数年の経験を持つ人物が同じ役職に応募することも十分にありえる。また、どの役職にはどんな学歴・経歴の人物が最適かという細かな条件をあらかじめ設定されており、給与額も役職・学歴・経歴・業界・地域・景気などの要素で決められた相場はあるが、年齢給(年齢とともに給料が上がる)ではなく能力給(能力に応じて給料が決定する)で、最終的な給与額は個人と企業の交渉で決定する。どちらの制度がより的確か、また経済状況・職業などによってこれらの制度を使い分けるべきだという議論はあるが、それはさておき、アメリカのシステムを理解することが先決だ。今はさまざまな就職関連サイトでこういった詳細を見られるので、就職を希望する人は "企業が今求める人材" を把握し、学問的な知識を得ることはもちろん、在学中 のインターンシップやパート・タイム・ジョブを通じて実務的な経験を積むことで、その人材に近づこうと努力しなければならない。さらに、アメリカで就職を希望する外国人の場合、米国移民法と否が応でも関わらざるをえないため、就職のハードルはさらに高くなる。

外国人がアメリカで会社に働くにあたってまず理解しなくてはならないのは、基本的な米国移民法だ。永住権保持者ではない人の場合、就労ビザの取得が必要となり、永住権保持者にはない条件が関わってくる。就労ビザには種類があり、最も一般的なものは4年制大学卒業者またはそれと同等の実務経験を持ち特殊技術や知識を必要とする専門職に就く外国人労働者に適合する H-1B 専門識者ビザ(エイチ・ワン・ビー・ビザ)。これは就職希望者が申請するものではなく、雇用主が移民法弁護士を使って必要書類を整え、しかるべき費用を支払って米国政府に申請するものだ。これを雇用主は一般的に「就労ビザをスポンサーする」と言う。
H-1B 専門識者ビザの取得における日本人留学生の競争相手は、同じくアメリカで就職を希望する日本人留学生だけではない。世界中から集まってくる優秀な人材が競争相手となるのだ。しかし、H-1B ビザの年間発給数の上限はわずか6万5千件で、うち6,800件はチリとシンガポール国籍保持者に与えられるため、一般枠はわずか5万8,200件。修士号・特別枠は2万件だ。そんなところに2009年度には4月7日の時点で上限の約2.5倍にあたる約16万3, 000件の H-1B ビザ申請があり、このうち、約31, 200件が修士号枠に該当する申請だったことが発表されている。ここから抽選が行われるが、まず修士号枠の20,000件が31,200件から抽出され、この抽選で漏れた修士号保持者の申請を一般枠に加算し、改めて65,000件が抽出される。従って、学士号保持者は修士号保持者の一部も含めた抽選に入ることになり、さらに倍率が上がってしまうことになる。
アメリカで活躍する日本人の就職コンサルタントは、「アメリカで働きたいと言う日本人は多いが、どうすればアメリカで働けるのかということを考えていない人も多い」と指摘する。正確な情報がインターネットや書籍で入手できるようになっていても、古い情報や友人・知人の不確かな情報を信用していたり、卒業直前になって「ビザってなんですか?」と聞いたりする日本人留学生も少なくないという。そんなことでは採用担当者に「仕事ができる人材になりえるのか」と、疑問を抱かせてしまうだろう。就労ビザの取得が困難になってきている現在、よほど優秀な人物ならより簡単に売り手市場に持ち込めるかもしれないが、言うなれば今日からでも働けるアメリカ人を差し置いて、雇用主が時間・労力・費用をかけてビザを取得してからでないと合法的に就労できない外国人を雇うことは、一般的に言うと簡単 ではないのだ。移民法に関する詳細は、米国移民法のページを参照。

限られた期間しか滞在することが許されない外国人がアメリカの4年制大学卒業後にする場合、最初から積極的にキャリアを検討し、ボランティアやインターンシップを通してやりたいことを固め、良い成績で卒業することが前提となる。ボランティアやインターンシップをこなすことは、知識や経験を得ることに加え、ネットワーキ ング(人脈作り)のツールともなるので積極的に取り組もう。ビザというハンデが無いアメリカ人でさえも、"It depends on who you know."(誰を知っているかによる)と言うぐらいなのだ。就職に必要な知識やスキルを現場で身につけるボランティアやインターンシップを長期間にわたってこなせば、「自己分析ができる」「英語が上達する」「友達ができる」「実務に慣れる」「紹介者(リフェレンス)となってサポートしてくれる人々に出会う」といったポジティブな結果を引き出すこともできる。レジュメの最後に書く “Reference Available Upon Request” は、自分に代わって自分の良さをアピールしてくれる紹介者(リフェレンス)がいるという意味で、外国人にとってはこれがアメリカ人以上に必要だ。また、職種や応募するポジションによっては学士号以上の学位が有利になったり、職務経験が必要になる場合がある。例えばマネジャー(部長)クラスへの就職や昇進は MBA などに代表される "Master's Degree"(修士号)を持っている経験者が対象になることがほとんどだ。

H-1B ビザの米国政府が発給する1919年に設立され、国際教育交流を推進する国際教育研究所(Institute of International Education: IIE)が2006年秋から2007年春の外国人留学生受け入れ状況をまとめた 『Open Doors 2007』によると、アメリカ国内に正規留学している外国人留学生は58万2, 984人。2005年秋〜2006年春から3.2%増加しており、1999年秋〜2000年春から8年連続で50万人、2001年秋〜2002年春から6年連続で55万人を超えている。2006年秋〜2007年春の年度での人種の内訳はインド出身者が8万3, 833人と、2位以下の中国67, 723人、韓国62, 392人を大きく引き離した。
外国人留学生の出身国別上位5位 (2006年秋〜2007年春)
| 国 |
留学生の数 |
前年比 |
| インド |
83,833人 |
+9.6% |
| 中国 |
67,723人 |
+8.2% |
| 韓国 |
62,392人 |
+5.7% |
| 日本 |
35,282人 |
-8.9% |
| 台湾 |
29,094人 |
+4.4% |
©
Institute of International Education: Open Doors 2007
国際教育研究所は、1994年秋から1999年春まで1位だった日本人留学生が4位に落ちたのは、インド・中国・韓国からの留学生の大幅増加が原因と指摘。また、もう1つの原因として日本の高齢化も挙げている。
日本人留学生の滞在している主な州
(2006年秋〜2007年春) |
日本人留学生の内訳
(2006年秋〜2007年春) |
| 州 |
日本人学生の数 |
| カリフォルニア |
7,943人 |
| ニューヨーク |
3,315人 |
| ワシントン |
1,965人 |
| マサチューセッツ |
1,435人 |
| オレゴン |
1,064人 |
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| 教育機関 |
内訳 |
| 大学 |
63.1% |
| 大学院 |
19.9% |
| その他 |
6.7% |
| OPT |
10.4% |
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©
Institute of International Education: Open Doors 2007 |
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