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スティールヘッド・ダイナー オーナーシェフ ケビン・デービスさん

今年1月にパイク・プレース・マーケットに開店したばかりの 『スティールヘッド・ダイナー』 は、ニューオリンズ出身のケビン・デービス氏とその妻テレサさんが昨年オープンしたばかりのレストラン。オーストラリア・ニューオリンズ・ナパ・シアトルでシェフとしてキャリアを積んだケビンさんによる、昔懐かしいダイナー(軽食レストラン)をコンテンポラリにしたアメリカ料理が楽しめる。

オーストラリアのアデレードで出会い結婚したテレサさんと故郷のニューオリンズに戻ったケビンさんは、「フライ・フィッシングとマッシュルーム狩りができる」という理由でシアトルへ。ケビンさんはホテル・モナコにあるサゼラック、テレサさんはワイルド・ジンジャーに就職したが、またたくまにシアトルがすっかり気に入り、腰を落ち着けることにしたという。ダウンタウンにコンドミニアムを購入し、本格的にシアトルの中心地に落ち着いたが、ケビンさんが次にエグゼクティブ・シェフとして就職したオーシャンエア・シーフード・ルームが2006年に新規株式公開をすることになると労働環境が一変し、2人は新たな転機を迎えることになった。「ある日突然、新しい上司が4人も増えて、毎週レストランに来てはさまざまなことに口出しされ始めてね。当時で僕はもう40歳。ずっとシェフとしてやってきたのに、そんな年になってそこまで口出しされる必要はないと思ったんだ」。将来について話し合うようになった2人はレストランを開店し独立することを考えたものの、最初から明確なビジョンはなかったという。「でも、ちょっと店舗を探し始めて、2軒目に見たのがここ。入ったとたん、すべてが見えたんだよ。どういう店であるべきか、お客は誰か、そのお客は何を求めているのかといったことがね。そして "自分はお客と話をしたいからオープン・キッチンであるべき" とか、細かい点まで見えたんだ」

そこでできあがったのが、このコンテンポラリ・ダイナー。以前にここで営業していたイタリアン・レストランは数年で閉店してしまい、その後1年半に渡り空き店舗だったところに開店することにリスクを感じたのだろうか。「もちろん、リスクは大ありだった。ビジョンは見えても、それがあたるかどうかなんて、本当のところはわからない。僕は自分と妻だけが所有権を持つことを望んでいたから、資金もそんなになかったしね。だけど、自分のビジョンを持って、自分のゲームをプレーしなくちゃならないだろう。前のレストランが成功しなかったのは、真正面にあるカンパーニャと真っ向から競合する店だったからだと思うね。イタリアンとフレンチという違いはあっても同じジャンル、同じような価格、同じような客層。結果的に、その競争にカンパーニャが勝ったということだ。だからそれに勝つには、オリジナリティのある店にしなくちゃならないというわけだ」。ケビンさんが独立することを知った釣り仲間が紹介してくれた建築家エリザベスは、2人のビジョンをすぐに理解してくれたと語る。「彼女の経歴はおもしろいんだよ。なんとイギリスで舞台美術をやってたっていうんだ。でも彼女のおかげで僕らは予算内で計画通りの期日で開店した。この業界ではそんなことは聞いたことがないよね(笑)」。

ニューオリンズ出身ということから、ケイジャン料理を出すと思われることが多いそうだが、ケビンさんはパシフィック・ノースウェスト料理のシェフとして知られたい、それにはパイク・プレース・マーケット以外のロケーションは考えられないという。「これからのマーケットについて?うーん、まだマーケットに来て半年しかたってないから、大きなことは言えないな。でもこのマーケットは100年前からあったものだから、現代社会では完璧でないとされるところもあるかもしれない。だけど、マーケットなしではこの店は成り立たないし。マーケットで営業しているプロデューサーとの関係作りには時間がかかるけど、いったん関係ができてしまえば、店の材料のほとんどすべてをマーケットから仕入れることができるようになったからね」。そんなケビンさんが、故郷ニューオリンズの味とノースウェストの味を融合させたのが、具沢山のガンボ(写真)。ソーセージはマーケット内の有名なウリズ・ソーセージ、そして野菜もマーケットから調達している。あっさり目だが、これだけでも十分に食べ応えがある一品だ。

現在のシェフは6人。ケビンさんが面接してテストし、採用した人ばかりだという。レストラン・コンサルタントを雇えば、店舗からメニューから何から何まで考えてくれ、そんなふうにオープンするレストランは山のようにある。しかし、それでは本物じゃない、とケビンさん。「そんなのは、レストランというだけの抜け殻なんだ。自分がすべてに関わる店こそ本物だと思う」。


Steelhead Diner

95 Pine Street, Seattle, WA 98101
Phone: (206) 625-0129
www.steelheaddiner.com

火〜金 11:30am-10pm; 土 10am-10pm; 日 10am-5pm
月曜定休

(掲載:2007年8月)
 
 

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