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Chez Shea / Shea's Lounge 井川浩一郎さん・知世さん

2004年3月にパイク・プレース・マーケット内のメディカル・ビルディング2階にある Chez Shea (シェ・シェ)と Shea's Lounge (シェズ・ラウンジ)の経営者となった井川浩一郎・知世さん夫妻。約3年半はあっという間だったというお2人だが、つい65年前まで日系人の農家が業者の大半を占めていたパイク・プレース・マーケットだからこそ、日本で生まれ育った日本人が仕事をすることは歴史の流れにすっぽりはまると言う。「マーケット自体が日本の文化を残していないのは残念ですが、私たちは日本文化の美徳である "おもてなし" と "妥協のない味" を目指しています」。

出張で何度も訪れ気に入ったシアトルで、長年の夢だったレストラン経営を実現したお2人は「味だけで勝負」というスタイルがシアトルでは受け入れられないことをこの数年で経験したと語る。「食の面で言えば、シアトルは東京や香港、ニューヨーク、サンフランシスコといった大都市よりも新しい街であるせいか、味が最優先ではなく、人気度、居心地、サービス、そして最後に味、というのがシアトルの特徴かもしれません。日本人は "おいしいのか" ということを優先すると思うんですが、シアトルでは "味についてはよく知らないまま、雰囲気がいいというので来てみたら、おいしかった" というパターンが見られます」。しかし、経営者としてこの状況に一石を投じるべく、アメリカ文化の一部にもなった日本の企業文化 "Kaizen(改善)" を繰り返してきたことは言うまでもない。ここ数年でシアトルとベルビューの外食シーンが多様化してきたことにあわせ、昨年5月からはコース料理だけでなく、一品ずつ注文できるアラカルトのスタイルを導入。「これが受けて売り上げも伸びてきましたので、これまで以上にサービスに気を使っています」と言う知世さんも公認会計士として財政面の管理をする一方で、サーバーを統括し、顧客のニーズに的確にすばやく対応するよう努めているそう。また、マーケットの特徴である素朴な雰囲気を維持しながら、シェフや顧客のニーズにあわせた改装の必要性も忘れない。「歴史のあるマーケットにはモダンで洗練されたものは似合わない。当店ではボウリングのレーンをカウンターに使ったり、バーの棚には高校で使われていた長いすを使ったりして、素朴な雰囲気を残しておこうとしているんですよ」。ワインラックやドアや壁も廃材をうまく利用して作り直したという店内は落ち着きがあり、「ロマンチックな店」と評されるのがうなずける。

また、味の面でもさらにいいものを追求するべく、この7月にトム・ダグラスの Etta's や Veil、Elliott's Oyster House でシェフとしての経験を積んだフィル・スペンサーさんを新しいエグゼクティブ・シェフに迎えた。日本人の目も喜ばせる味へのこだわりや繊細な盛り付けに驚かされたそうで、素材の味を大切にするだけでなく、「ただ単にパセリを散らすのではなく、なぜパセリを散らすのか」という理由づけを自分に求めるスペンサーさんのおかげで、味の幅が広がりそうだという。

厳しい意見を述べるのは、パイク・プレース・マーケットの一部であることにそれだけ誇りと愛着を感じているからでもあると見る。お2人に今後のマーケットに求めるものについて聞いてみた。「マーケット側は地域への貢献を謳っていますが、それは実現できているようですね。歴史保存にも賛成です。このマーケット内には床屋からスパイス専門店からレストランまでいろいろなものが揃っています。個人商店の集合体ですから組織化は難しいと思いますが、 "みんなで盛り上げよう" という意識をなんとか作りだしていきたいですね。そして、店同士の連携の強化をマーケット側がサポートし、 "パイク・プレース・マーケットにあるんだ"ということを一丸となって盛り上げ、新しい展開ができたらいいですね」

井川浩一郎さん・知世さんについては、2005年8月の 『ぶらぼおな人』 参照。

(掲載:2007年8月)
 
 

マーケット早分かり
現存する市場では最も歴史の長い
パイク・プレース・マーケットはこんなところ

パイク・プレース・マーケットの歴史
シアトル市民の台所として誕生した
100年を振り返る

アーティスト 曽我部あきさん
日系アメリカ人農家の歴史を描いた
壁画を制作

ポール・イシイさん
パイク・プレース・マーケットで働いた
祖父を持つ日系三世

Steelhead Diner
コンテンポラリ・ダイナー
パイク・プレースにあってこその店

Chez Shea / Shea's Lounge
マーケット内唯一の日本人経営店
井川浩一郎さん・知世さん

World Famous Pike Place Fish
大企業や日本企業も採用、
仕事と人生を楽しむための哲学

Taste Pike Place
パイク・プレース・マーケットならではの
"食" を味わうツアー

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8月10日から24日まで、
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