ワシントン大学ボセル校とカスカディア・コミュニティ・カレッジが2000年にオープンしたキャンパス。キャンパス内には、絵画・彫刻・写真・壁画・織物などさまざまなアートがあふれる。これらのアートは一般市民からの寄付と、ワシントン州の運営するプログラム
『State Art in Public Places』(WSAPP)によるもの。このプログラムでは州が補助金を提供して建設される新しい建物の建設費の0.5%が芸術作品の購入と設置に充てられることになっている。また、キャンパスの東側には沼地が広がり、トレイルではサイクリングやウォーキングを楽しめる。

まずシアトル市在住のパブリック・アーティストでアート・プランナーのパム・ビイェッテによる作品
『Tree Shelter』 からスタート。この地域の豊かな自然を表現しており、椅子として座ることもできる楽しい作品だ。ビイェッテはシアトル市内近郊各地の屋内外にさまざまなアートを提供している。そして、次は仙台生まれでシアトル在住の日本人アーティスト、佐藤のりえ(1949〜)によるハナミズキのインスタレーション
『Dogwood Parentheses』。ワシントン大学とカスカディア・コミュニティ・カレッジを通る散歩道の南北に設置されているが、ハナミズキの見た目を知らなければわかりにくい。カスカディア・コミュニティ・カレッジの建物や両校の共同図書館の中にはノースウェストの写真家グレン・ルドルフの作品が20点以上展示されている。その多くはノースウェスト・パシフィック鉄道付近で撮影されたもの。散歩道の右手にはマイケル・デニス作の
石像群 『Ancestors』 がある。そして、同キャンパス最大の作品は、ワシントン大学とカスカディア・コミュニティ・カレッジの間に設置された『Bothell
Codex』。前出の佐藤のりえによるもので、敷石が開いた本のように設置され、遺伝学とコンピュータ・プログラミングという2つの現代技術分野で使われるシンボルが彫られている。キャンパスの東側に移動すると、前出のパム・ビイェッテによる作品
『Wetland Silhouette』 を設置したバス停がある。沼地の動植物がモチーフになっているが、その背後にはその沼地が広がり、奥行きのある作品だ。さっさと見て回るなら1時間、じっくり見て回るなら2時間をみておくといいだろう。

ワシントン大学ボセル校とカスカディア・コミュニティ・カレッジは58エーカーの広大な沼地に面している。1800年代に白人が入植する前は、現在のサマミッシュ・リバーにあたる川に合流する小川などが流れていたこの土地は、白人によって森林が伐採され、材木を運搬するために川の流れが変えられ、人工の堤防が設置されてしまう。1990年代初期には牧草地と農地に変わるが、1994年にキャンパスの建設のために買収され、それ以後は沼地の復元が進められている。しかし、自然の生態系が完全に復元されるには2020年ごろまでかかると見られている。トレイルの南端にあるのは、ボセル市最初の医師の住居として1885年に建設された
『Dr. Reuben Chase House』。これはもともとの建設地からこの場所に移転されたもので、国の史跡に指定されている。 |

佐藤のりえ作 『Bothell Codex』

マイケル・デニス作 『Ancestors』

広大な沼地 |