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座談会
 
シアトルを拠点に作品を制作している若手日本人アーティストたちが、パナマ・ティー・アンド・コーヒーに集合。バックグラウンドも年齢もジャンルもさまざまな6人にシアトルのアート・シーンについて語っていただきました。

参加者(敬称略):
市川江津子、粥川由美子、恒岡淳一、山本純子、田村麻紀、黄田正美

シアトルのアート・シーンの今と昔

【ジャングルシティ】 シアトルのアート・シーンは、今どういう状態にあるのでしょうか。「変わった」とよく言われますが、実際そうなんでしょうか。

【市川】 長くいるから「変わった」と感じるのでしょうね。私たちのように10年以上いる人はそのように思うかも。これは私の個人的な意見なんですけど、以前のシアトルのアート・シーンはどこに行っても同じものが多くて退屈だった。クラフト系やインディ系のアートが強くて、あまりピンと来ないという状態がずっと続いてたけど、ここ3〜5年ぐらいかな、すごく変わった。外から人がいっぱい入って来たのかなとも思うんですが、カリフォルニア州からアートを買える若い人たちが入ってきたんじゃないかな。ここ数年で経済がすごく良くなりましたよね。それと何か関係しているのかと思います。

【恒岡】 僕は個展をやるという活動を始めたのは今年なので、アート・シーンを語るというスタンスよりも、勉強させていただくというスタンスですが、シアトルはもともとパール・ジャムとかニルヴァーナとか音楽が盛んでしたから、スクリーンを使ったコンサート・ポスターの制作は以前から活発だったようなんです。僕はいわゆるシアトルのそのコンサート・ポスターの典型的なものを始めた人たちに学んだんですが、今、僕を含めたポスターのデザインをしている人たちはみんなその人をお手本にがんばっているところが結構あります。そんなわけで、最近はスクリーン・プリントのポスターがアートとして認められて来るようになりました。もしかしたらシアトルのアート・シーンでは、そういう動きもあるんじゃないでしょうか。

【ジャングルシティ】 ジャンルによって違う動きがあるということでしょうか。こちらに17年住んでおられる山本さんはいかがですか。

【山本】 私は市川さんと意見が結構似てます。昔のシアトルは良くも悪くも田舎っぽくて、安心してどこにでも行ける感じがありました。おしゃれな店はないけれども、ほんわかする町だったと思うんです。そしてアートも同じようにほんわかするだけで、あまりおもしろくないものだったんですが、ドットコムがものすごい勢いで成長して建物の建て替えがどんどん進むと、それに平行して、「新しいコンドミニアムに飾るアートが欲しい」「新しいオフィスに飾るアートが欲しい」というように、デザインにアートをプラスしたものへの需要が生まれたんじゃないかと。それでアート市場が拡大し、それもすごい速度で変わっていって、1990年代の最後から2000年ににガチャンと崩れてしまったような感じかな。でも今はまたアートも町もシンクロして育っているような雰囲気を感じます。ニューヨークやロサンゼルスなどから来て、あまりシアトルの町のことは気にしなくても、いい絵や彫刻は欲しい人もいて、マーケットが成長してきたように思います。そのおかげでシアトルの昔の風景は壊されてしまったけど・・・。

【ジャングルシティ】 やはり経済が成長し始めたあたりが分岐点なんでしょうか。

【山本】 マイクロソフトがお金を運んできてくれたので、それまで買えなかったものが買えるようになったという感じかも。車もすごく変わりましたよね。昔は窓の代わりにビニール袋が貼ってあるような車がありましたが、今はそういった車を見かけることがほとんどないんです。

【粥川】 シアトル全体の生活水準が上がったということですか。

【山本】 そうだと思います。例えば、セントラル・ディストリクトは、昔は「行ってはいけない」とホストファミリーに言われていた地域ですが、今はヤッピーたちが家を買ってどんどん変わってきていますよね。でも、それでシアトルらしさが消えていくような感じも受けますね。

【ジャングルシティ】 黄田さんもそのようなご意見ですか。

【黄田】 フルタイムでアーティストとして生活していく場合は、(作品を)買っていただいて初めて収入になるわけですよね。さっき山本さんがおっしゃったように、1990年代後半まではすごかったと思うんです。アートは一番贅沢なもので、それにお金をかけられる時期になった。でも、911から2年ぐらいはアートまでは手が回らない状態だったと思います。ここのところまたきれいなビルがスタジオやギャラリーになって、ちょっとがんばれば買えるかなという作品を置くギャラリーが増えてきたから、みんなが行きやすくなりましたよね。これからまた変わっていくでしょう。

シアトルのアート・シーンの今と昔
ポートフォリオを見せ合う
シアトルのアート・シーンの変化
他の都市との比較
 
 

ガラス、ピルチャック、チフーリが
シアトルの接点

市川 江津子

絵を描くということが
今も昔も一番大好きなこと

粥川 由美子

シアトルはガラス作家にとって
情報が入りやすい場所

黄田 正美

将来はろくろのある
陶芸スタジオを作りたい

神 里美

個人ではできないスケールで
いろいろな人と関わって仕事をしたい

田村 麻紀

今の状態に満足せず
昨日よりもいいものを作る努力を

恒岡 淳一

シアトルを拠点に、日本も含めて
国際的なプロジェクトを手がけたい

中村 由紀

死ぬまでに自分の作品に出会うために
絵を続けている

山本 純子

日本人若手アーティスト6人が
シアトルのアート・シーンについて語る

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