
※マウント・レーニエのエキスパート、ニュー・ジャポニカ社の向笠陽子さんに教えていただいた「みどころ&おすすめ訪問プラン」はこちら!
富士山に似ている姿から、日系アメリカ人に「タコマ富士」と呼ばれていたこともあるマウント・レーニエ。シアトル市の南東約85マイル(約140キロ)のところにあり、ワシントン州を東西に分断するカスケード山脈の最高峰だ。頂上から四方に向けて放射状に伸びる40あまりの氷河はアメリカ本土最大規模として知られ、空気の澄んだ天気の良い日は、シアトル市やその周辺のあちこちから、万年雪と氷河に覆われたその美しい姿を見ることができる。
米国議会図書館の公式サイトによると、ネイティブ・アメリカンが "Tah-ho-mah"(snowy mountain)と呼んでいたこの山は、地図を作成するためにこのあたりを調査していた探検家のバンクーバー船長が
"発見" し、友人のピーター・レーニエ(Peter Rainier)提督にちなんで "Rainier" と名付けたという。14,410フィート(4,392メートル)の標高を誇り(世界21位)、カスケード山脈の他の山より少なくとも8,000フィート(2,500メートル)ほど高く突き出ているこのレーニエ山はエベレストとほぼ同じ傾斜であるため、毎年何人もの登山家が挑戦するようになった。しかし、毎年何人かの登山家が亡くなったことが報じられ、2005年に登頂に成功したのは挑戦者8,972人の約半分にあたる4,604人に過ぎなかったことからも、そう簡単に制覇できる山ではないことがわかる(ナショナル・パーク・サービス調べ)。
また、この山は、活火山(active volcano)で、成層火山(stratovolcano)でもある。成層火山とは、「主に1ヵ所の火口から噴火を繰り返し、その周辺に溶岩と火山火山砕屑岩が積み重なった、円錐形に近い形の火山」だ(資料:Wikipedia)。米国国立公園の公式サイトによると、50万年前から100万年前に火山活動を始めたとされ、ナショナル・ジオグラフィック誌によると、最も最近の噴火は19世紀前半で、大規模な噴火は1,000年にわたって起きていない。その火山活動によってすぐに何らかの問題が起きる可能性は低いと見られているが、前述のように傾斜がきつく、大部分が氷雪に覆われている上、周辺の都市人口は標高がはるかに低いところに集中しているため、火山活動が活発になれば結果的には住民にも大きな影響を与えることが想定されている。
マウント・レーニエ国立公園には無数のハイキング・トレイルがあり、すべてのトレイルをあわせるとその長さは300マイル(約480キロ)にもなる。中でも、マウント・レーニエの周囲を93マイル(約149キロ)の行程で約2週間かけて1周するワンダーランド・トレイルは、山をさまざまな角度から見ることができるほか、大自然を満喫できるコースとして人気が高い。
●パラダイスのトレイル
ニスカリー・ヴィスタ・トレイル(Nisqually
Vista Trail) 全長1.2マイル(約1.9キロ)、起伏200フィート、所要時間45分 パラダイスにあるヘンリー・M・ジャクソン・ビジター・センターの左手から始まるトレイル。きちんと舗装されているので、山歩きに慣れていない人でも簡単に歩ける。ストローラーでも問題ない。マウント・レーニエの雄大な姿とさまざまな野生の草花を見ながらの散歩といった感じだ。途中、この山では5番目に大きい氷河のニスカリー・グレーシャー全体を見ることもできる。夏季にはレンジャーがいろいろな説明をしてくれる無料ツアーもあり。スタート時間はヘンリー・M・ジャクソン・ビジター・センター内に表示されている。
デッド・ホース・クリーク・トレイル(Dead
Horse Creek Trail) 全長2.5マイル(約4キロ)、所要時間1.5時間 ニスカリー・ヴィスタ・トレイルの起点の右横からスタートし、グレイシャー・ヴィスタまで平坦な箇所と上り坂が続くトレイル。ニスカリー・ヴィスタよりも変化に富んだ地形と、遠くはマウント・セント・へレンズまで見渡せるパノラマ・ビューが楽しめる。きちんと舗装されているので、少し大変な思いをしても登る価値はあるだろう。標高差は400フィート。
スカイライン・トレイル(Skyline
Trail) 全長5マイル(約8キロ)、所要時間4時間 グレイシャー・ヴィスタとパノラマ・ポイントまで続くトレイルで、マウント・アダムス、マウント・セント・へレンズ、そしてニスカリー・グレイシャーを見渡すことができる。デッド・ホース・クリーク・トレイルとはクリークを隔ててほぼ平行に設置されているが、傾斜は比べ物にならないほど急なため、運動をしていない人には非常にきつい。デッド・ホース・クリーク・トレイルなら傾斜もゆるやかなので、スカイライン・トレイルとつながる地点まではおすすめだ。
●サンライズのトレイル エモンズ・ヴィスタ・トレイル(Emmons Vista Trail) 全長0.5マイル(約0.8キロ)、所要時間0.5時間 駐車場の南側から出発し、エモンズ・グレイシャーを見ることができるトレイル。ストローラーでも問題なし。
ネイチャー・トレイル(Nature
Trail) 全長1.5マイル(約2.4キロ)、所要時間1時間 駐車場の北側から出発し、草花とマウント・レーニエの雄大な姿を眺めることができるトレイル。
なお、ハイキングとクライミング(登頂)はまったく別のレベルであることを認識しておこう。標高1万フィート(約3千メートル)のキャンプ・ミュラーや頂上まで登るのは、訓練を要するクライミングにあたる。前述のように、毎年何人かの登山家が亡くなったことが報じられ、2005年に登頂に成功したのは挑戦者8,972人の約半分にあたる4,604人に過ぎなかったことからも、そう簡単に制覇できる山ではないことがわかるだろう(ナショナル・パーク・サービス調べ)。
キャンプ・ミュラー(Camp
Muir) 全長9マイル(約14.4キロ)、所要時間6〜8時間 スカイライン・トレイルをぺブル・クリーク(Pebble Creek)まで2.3マイルを登ると、ミュラー・スノーフィールド(Muir
Snowfield)の起点に着く。ここから2.2マイルは雪に覆われた斜面を標高約1万フィートまで登ることになる。初心者向きではなく、事前にもトレーニングが必要だ。
(写真
© Jason Racey)
1899年3月2日にオープンした、米国で5番目に古い国立公園。総面積235,625エーカー(95,354ヘクタール:954平方キロ)を誇り、その97%が自然環境保護区域に指定されている。中心はマウント・レーニエで、ロングマイヤーとパラダイスにつながるニスカリー・エントランス(Nisqually:南西)、公園南東部の123号線からオハナペコシュ(Ohanapecosh)のビジター・センターを経由して入るスティーブンズ・キャニオン・エントランス、公園北東部のサンライズに続くホワイト・リバー・エントランス(White
River)、そして公園北西部のカーボン・リバー・エントランス(Carbon River)が、園内を回る際の出発地点となるが、最もポピュラーなのはロングマイヤーとパラダイスにつながるニスカリー・エントランスだ。このエントランスを入ってすぐのところにあるキャンプ場はおすすめ。園内には147マイルの道路と240マイルのトレイル(登山道)があり、本格的なクライミングからカジュアルなハイキングやピクニックなどを目的に、毎年約200万人もの人々が訪れる。ほとんどのエリアでは制限時速35マイル(約56キロ)なので注意。
■入園料・使用料
| 7日間有効パス(Pass) | 車
$15; 人 $5 | | 年間パス(Annual
Pass) | $30.00 ※購入した月から12ヶ月間有効 |
| 登山パス(Climbing Pass) | 年間
$30 | ウィルダネス・キャンピング許可証
(Wilderness camping permit) | $20(先着順・予約可) |
| ・ |
徒歩・自転車・乗馬・モーターサイクル、そしてツアーではない場合にのみ1人$5 | | ・ |
障害者は無料 | | ・ |
16歳未満は無料 | | ・ |
年間パスにはキャンプにかかる料金は含まれていない | | ・ |
年間パスは、Fort Vancouver National Historic Site と Whitman Mission National Historic
Site でも使用可 | | ・ | 62歳の米国籍・永住権保持者は国立公園への入場が無料になる
"Golden Age Passport" という無期限のパスを10ドルで購入できる。詳細はこちら |
■ビジター・センター マウント・レーニエ国立公園にあるビジター・センターは現在3箇所。このうち、宿泊所があるのは、標高5,400フィート(1,647m)のところにあるヘンリー・M・ジャクソン・メモリアル・ビジター・センターのみ。パラダイスは新しいビジター・センターを建設中のため、駐車場が非常に狭くなっている(完成予定は2008年秋。詳細はこちら)。ロングマイヤーからパラダイスに向かう12マイルの途中に、パラダイスの駐車場が満車であればライトがつけられる標識が右手に設置されている。
| | ジャクソン
Jackson | サンライズ
Sunrise | オハナペコシュ
Ohanapecosh | | 所在地 | パラダイス
標高5,400フィート (1,647m) | 北東 標高6,400フィート (1,950m) | 公園南東端
標高1,900フィート (579m) | | 開館 | 10月11日〜4月
土日祝のみ 10am-5pm 5月〜9月 毎日10am-6pm | 7月1日〜9月10日
毎日9am-6pm | 5月28日〜6月18日
金〜日祝 9am-5pm 6月23日〜9月24日 毎日9am-5pm | | 電話 | (360)
569-2211 内線 6036 | (360) 663-2425 | (360)
569-2211 内線 6046 | | 展示 | 同国立公園の自然・文化史の展示 | 同国立公園の天然資源に関する展示 | 古代森林のエコロジーや人間史の展示 |
| 施設 | 軽食、土産物 | 情報センター | 情報センター |
| トイレ | あり | あり | あり |
| その他 | 夏季には講演会や子供向けレンジャー・プログラムあり、12月26日〜4月初旬までスノーシュー・ウォーク開催(要予約(360)
569-2211 内線 3314) | 夏季にはさまざまな講演会が開催される、子供向けレンジャー・プログラムが土曜にあり、冬季閉鎖 | 夏季にはさまざまな講演会が開催される、子供向けレンジャー・プログラムあり、Ohanapekosh
Campground の屋外劇場でイベントもあり、冬季閉鎖 |
■ロングマイヤー・ミュージアム ロングマイヤー歴史地区にあるロングマイヤー・ミュージアムは、1928年にオープンした、国立公園サービスでは最も長い歴史を持つ小さな博物館。すぐそばにある
National Park Inn では軽食・土産物販売・トイレ・宿泊あり。
| 所在地 | レーニエ山南西部麓にある二スカリー入口の6マイル東
標高2,700フィート | | 開館 | 10月11日〜4月:
毎日9am-4pm 5月〜9月: 毎日9am-5pm | | 電話 | (360)
569-2211 内線 3314 | ■ウィルダネス・インフォメーション・センター
| | ロングマイヤー
Longmire | ホワイト・リバー White
River | | 所在地 | ロングマイヤー歴史地区
公園の南西端 ニスカリー入口から6マイル(約9.6km) 標高2,700フィート (824m) | ホワイト・リバー入口
ハイウェイ410号線のすぐ西 標高3,500フィート (1,067m) | | 開館 | 5月26日〜9月
毎日7:30am-5pm | 5月26日〜9月 日〜木7:30am-4:30pm
金 7am-8pm 土 7am-5pm | | 電話 | (360)
569-4453 | (360) 569-2211 内線6030 |
| 展示 | マウント・レーニエ国立公園の巨大な地図、清掃・安全プログラムに関する展示 | 清掃・安全プログラムに関する展示 |
| サービス | キャンプの予約(4月1日〜9月30日までの予約はFAXか郵便で(電話不可))、キャンプ許可証、Westside
Road そばの登山ルートを利用する登山の許可証 | キャンプ許可証、東・北側の登山ルートを利用する登山の許可証 |
| トイレ | なし | あり |
| その他 | 特になし | 救助活動実施時には閉鎖の可能性あり |
■レンジャー・ステーション
| | カーボン・リバー
Carbon River | パラダイス Paradise |
| 所在地 | 公園の北西
Carbon River Road の公園入口内 標高1,880フィート(573m) | パラダイス
標高5,400フィート(1,647m) | | 開館 | 5月〜6月1日
毎日8:30am-4:30pm 6月2日〜6月30日 月〜木 8:30am-4:30pm 金〜日 7:30am-6pm | 5月26日〜9月4日
日〜金 7am-12pm 土 6am-3pm | | 電話 | (360)
829-9639 | (360) 569-2211 内線2314 |
| サービス | バックカントリー・キャンピングと北側の登山許可証 | パラダイスからの登山道すべての許可証 |
| トイレ | あり | 不明 |
■キャンプ場 マウント・レーニエ国立公園には、合計6つのキャンプ場がある。一部は先着順だが、オンラインや電話で予約できるところもある。広大な国立公園ながら、水道やトイレなどが完備されているところもあり、使用料金もリーズナブル。詳細はこちら。
■その他の宿泊オプション National
Park Inn ナショナル・パーク・イン マウント・レーニエ国立公園の南西にあるロングマイヤー歴史地区のホテル。標高2,700フィート。25室の客室があり、レストラン、土産物屋、郵便局がある。
| 営業 | 年中無休 |
| 電話 | (360)
569-2275 | | 客室料金 | バス無し$100
バスあり $134 2部屋続き・バスあり$185 クリブ・追加ゲスト$16 | 予約変更・
キャンセル料 | $15 | | 電話 | (360)
569-2275 | | 電話 | (360)
569-2275 | ※Paradise Inn は改装のため休業中。2008年秋に再オープン予定。 |
行き方: マウント・レーニエ国立公園へ行く公共交通機関はないので、車かツアーで行くことになる。車なら交通状況にもよるが、シアトルから公園南側のニスカリー・エントランス(Nisqually
Entrance)を通ってパラダイスまで約2時間半(99マイル)、シアトルから公園東側のサンライズまでは約3時間。最もポピュラーなのはシアトルからニスカリー・エントランス(Nisqually
Entrance)を通ってパラダイスまで行く行程だ。サンライズとパラダイスも舗装道路でつながっており、片道約1時間。日が長い夏なら午後8時〜午後9時まで明るいが、秋の夕方などに急に暗くなった山道は心細い。慣れない人は早めに帰った方がよいだろう。パラダイスからシアトルに戻るのに約3時間。州道706号線で、国立公園の南西端にある。
観光のベスト・シーズン: 国立公園は年中オープンしているが、観光に最適な季節は通常7月中旬〜9月上旬。シアトルを早朝に出て早く到着しないと、パラダイスの駐車場が満車になってしまう。冬季には積雪などのためロングマイヤーとパラダイスに行くニスカリー・エントランスからしか入ることができない上、高い標高にある道路とトレイルが閉鎖される。パラダイスも積雪があり、通常7月中旬までトレイルに雪が残っているので、しっかりした靴をはいていても歩きにくく、6月ならハイキングもできずに戻ってくることになる。雪解けはサンライズの方が早いので、シーズン初期のころのハイキングにはサンライズがいいだろう。秋は、人が少なく、紅葉が美しく、空気が澄んでいる。何よりも上に積もった雪が解けて青く光る氷河を見ることができるのが魅力。二スカリーからロングマイヤーとパラダイスまでの道路は、スノーシューイングやクロスカントリースキー、冬季キャンプのようなアクティビティのために、冬季も通常通行できるようになっている(環境の保護に必要とされる積雪量が確認されれば、すぐに開始される)。結婚式もできる(使用料$60)。
おすすめリンク: |

 ニスカリー・エントランス(公園南西)
 ニスカリー・グレイシャー(氷河)
 パラダイスの鹿
 パラダイスの花畑
 スカイライン・トレイル
 ヘンリー・M・ジャクソン・ビジター・センター(パラダイス)
 デッド・ホース・クリーク・トレイルから見たカスケード山脈
 ナショナル・パーク・イン
 ロングマイヤー・ミュージアム
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