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Tashiro Kaplan Building シアトル・アートの新メッカ

1907年に建てられた3階建てのタシロ・ハードウェアとキャプラン・ビルディングを連結させたタシロ・キャプラン・ビルディングは2004年、総工費1,650万ドルをかけた6階建てのアーティスト・ロフトとして生まれ変わった。これを実現させたのは、パイオニア・スクエアをアートの中心として保存することを望んだシアトル市、そして全米各地でアーティストが生活できる環境を作り上げてきた非営利団体アート・スペースである。

このタシロ・キャプラン・ビルディングでマネジャーを務めているクリス&テリー・ギブス夫妻は、自身も上階に住むアーティスト。この建物の歴史に詳しいクリスによると、スミス・タワーのような当時で言う高層ビルを建てるという計画が頓挫して3階建てで工事が止まってしまい、ゴールドラッシュ時代は一攫千金を狙ってやって来た人たちの服やテントの製造会社、その後は箱の製造会社キャプラン・ボックス・カンパニーの工場となったが、近年にはアーティストらが入居して住居兼スタジオにしていたという。「1990年代のドットコム・ブームの到来で地価が上昇して家賃も値上がりし、アーティストらはあやうく退去させられるところだった。そこでシアトル市がタウンホール・ミーティングを開催し、全米各地でアーティストを支援するために新しい住環境を作り上げてきた非営利団体アート・スペースと共に、この建物をアーティストのための場所、一般市民がアートを楽しめるところとして、再生することになったんだよ」

現在、この建物内には実に12件ものギャラリーが入居し、上階に住むアーティストの数は50人を超える。その分野は舞踊、フローラル・デザイン、音楽、写真、映画、ガラス、アパレル、宝石など実にさまざま。1階にあるオール・シティ・コーヒー&ギャラリーは、そんなアーティストらが集まって情報交換をする場となった。クリスは「メトロバスのフリー・ライド・エリアだから交通の便も良いし、住民にとっても旅行者にとっても楽しめる場所。将来的にはこの建物内でアートについての講義やコレクターのためのツアーなどを展開したいね。とてもエキサイティングだ!」と語ってくれた。

タシロ・キャプラン・ビルディングを訪れる時は、ぜひたっぷりと時間がある時にしてもらいたい。そして、何度でも行ってみよう。常に新しい発見があるはずだ。

TK Building

Tashiro Kaplan Building
>> 詳細

写真©Art Space
www.artspaceusa.org

<入居しているギャラリー&カフェ>
※2006年2月現在
4Culture
All City Coffee & Gallery
Art Patch
Corridor Gallery
Davidson Contemporary
Design Commission
Garde Rail Gallery
G. Gibson Gallery
Platform Gallery
Shift Studio
SOIL Art Gallery
TK Studios & Galleries
4 Culture
Garde Rail Gallery
Davidson Contemporary
4 Culture
Garde Rail Gallery
Davidson Contemporary


ローカル・アーティストのおすすめ 市川江津子さん
アーティストのコミュニティではいろいろおもしろいことが起きている。しかし、シアトルではそのコミュニティの規模がまだ小さくて発展途中のため、一般の人に十分にリーチするところにまで至っていないようだ。

今のおすすめの筆頭は、タシロ・キャプラン・ビルディング。多数のギャラリーが集合しているので、市内からも他都市からも学芸員や美術館職員が訪れる。これまでシアトルのアートの中心と言われてきたのはパイオニア・スクエアの Occidental Avenue だったが、新しいものを見るならタシロ・キャプランだろう。また、コンテンポラリ・アートを手がけるアーティストとしては特に、ハワード・ハウス、ジェームズ・ハリス、プラットフォームが、新進アーティストを見つけて伸ばしてくれる、ありがたい存在。もちろん、ローカルだけでなく、他都市から発掘してきたりもするので、とても参考になる。こういったギャラリーのオーナーは40代ぐらいで、最先端のセンスを持っているのが嬉しい。

ユニークな存在と言えるところは、私を含めた20数名のアーティストが年会費を支払って運営している SOIL。通常のギャラリーは作品を販売しなくてはならないが、SOIL はそのプレッシャーがないため、アーティストたちが本当に好きなことを提案して作品を制作でき、展覧会がおもしろくなる。現時点で今年11月までの展覧会まで決定しており、外国から展示の申し込みが来るほど注目が高まっている。

穴場としては、パイオニア・スクエアの Suyama Space。建築家ジョージ・スヤマのオフィス内にあり、長年にわたってシアトル市のコレクションの管理や学芸員を務めたシアトルのアート・シーンの大御所、べス・セラーズさん(Beth Sellars)が選びぬいたアーティストの展覧会を約2ヶ月にわたって開催している。特徴は、建築的な空間を利用して、この場所でないとできないような作品であること。つまり、小さい作品を棚の上に載せて展示するのではなく、スペースを空間演出する展覧会で、建築家のオフィスならではと言える。

異色なギャラリーと言えば、Jack Straw Production。ワシントン大学キャンパスのそばにあり、音やフィルムを使った作品を制作するアーティストをサポートしている。音を使うインスタレーションでは有名で、今や引っ張りだこのようだ。

最後は、キング郡政府の文化関係の部署が運営している 4 Culture。タシロ・キャプラン・ビルディングのタシロ・ビルディング側に移転してからとてもきれいになり、毎月展覧会を開催している。商用ギャラリーではまだ作品を展示した経験のない新進アーティストが対象。新しいアーティストを発掘するにはおすすめだ。
市川江津子

市川江津子さんの詳細は、2003年12月の 『ぶらぼおな人』、または、公式サイトで。


『Forest of Deai』
2005
artwork image from Bumbershoot festival


ローカル・アーティストのおすすめ 山本純子さん
長年、パイオニア・スクエアの店舗で営業してきた Davidson Gallery がタシロ・キャプラン・ビルディングにコンテンポラリ・アートの作品のみを展示してオープンした Davidson Contemporary は、最近注目のギャラリーの1つ。シアトルは保守的なギャラリーが多いところだが、ここでは学芸員のマイケル・スウィーニーさんが斬新で改革的な展示会を開催している。

今まで、パイオニア・スクエアのギャラリーと言えば、果物の静物画に風景画といったひねりの少ないものだったが、タシロ・キャプラン・ビルディングの登場で、その一帯がコンテンポラリ・アートを元気に紹介するようになったと言えるかもしれない。そんなところからも、今のシアトルのアートの中心は、やはりタシロ・キャプラン・ビルディング。Davidson Contemporary の他に、Platform Gallery、SOIL といった、今とても注目度の高いギャラリーが軒を連ね、隣のブロックにあるグレック・キューセラ・ギャラリーとあわせて、コンテンポラリ・アートのファンはもちろん、アーティスト達の注目の的となっている。
山本純子

山本純子さんの詳細は、公式サイトで。


アート・ウォークTIPS
シアトルで最もたくさんのギャラリーやアート関連施設が建ち並ぶパイオ二ア・スクエアとダウンタウンで、毎月第1木曜日の午後6時から午後9時に開催されるアート・ウォーク。各ギャラリーが一斉に新しい展示作品を公開するこの日は、街全体がアートな雰囲気に包まれる。その他の地域でもアート・ウォークは開催されているので、ぜひ訪れてみよう。

地域 開催曜日
ダウンタウン/パイオニア・スクエア 毎月第1木曜 6pm-8pm
フリーモント 毎月第1金曜
キャピトル・ヒル 毎月第1土曜
カークランド 毎月第2木曜 6pm-9pm
バラード 毎月第2土曜 6pm-9pm
グリーンウッド/フィニー 毎年1度 5月開催

ギャラリーというと、なんとなく高級なイメージがあり、敬遠しがちという方も多いかもしれない。しかし、実際はとても気軽に入り、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりとアートを楽しめるところ。ギャラリーのスタッフはとてもフレンドリーなので、気軽に質問をしてみよう。


■飲食物
飲食物の持ち込みは禁止しているところが多く、禁止していないところでもあまり持ち込んでほしくはないというのが一般的。責任問題に発展すると困るので、飲食物はギャラリーに持ち込まないほうがよい。

■荷物
ギャラリー巡りでは歩き回ることになるので、荷物は最小限にまとめたほうがよい。大きな荷物やかさばるものを持ち歩いていると、疲れるだけでなく、うっかり美術品にぶつけてしまったり傷をつけてしまったりすることもあるので、くれぐれも気をつけよう。

■服装
ジーンズやショーツなどのカジュアルな服装でも問題なし。ただし、アート・ウォークでは歩き回ることになるので、靴は履きなれたものや動きやすいものがよい。

■移動
ほとんどのギャラリーは歩いて周ることができるが、キャピトル・ヒルやセーフコ・フィールド方面のギャラリーは離れた場所にあるので、車またはバスで行くのがおすすめ。日照時間の短い冬期は身辺に気をつけること。

■出かける前に
大半のギャラリーは定期的に作品を入れ替えるので、事前に公式サイトや電話で現在の展示品を確認するのがおすすめ。またアート・ウォーク当日は、昼間に作品を入れ替え、夕方からオープンするギャラリーもある。その場合、通常なら営業時間にあたる時間でも閉まっていることがあるので、事前に電話で確認しておこう。

■美術品に関する知識
美術品に関する知識は特に必要ないが、展示中の作品や画家について事前に軽く調べてから行くといっそう楽しめる。たいていのギャラリーではスタッフに気軽に質問できるので安心だ。
 
 
シアトルのアート・シーン
シアトル・アートの新メッカ
ローカル・アーティストのおすすめ
アートウォークのTIPS
Pioneer Square
アート・ギャラリーが軒を並べる
エリアと言えばここ!新メッカの
TK Building は必見
Downtown Seattle
シアトル美術館をはじめ、
たくさんの見どころあり
Belltown
おしゃれなブティックやカフェ、
レストランが多いエリアにも
ギャラリーが点在
Capitol Hill
KOBO やアジア美術館で見られる
"和" なアートからコンテンポラリな
ファイン・アートまで
Fremont
かつて "アーティストの町" と言われた
このエリアはアートなショップが点在
Ballard
最近発展著しいバラードでは
ギャラリーはもちろん、ショップも
アートウォークに多数参加
その他の地域
ダウンタウンからは少し離れているものの
クォリティの高いアートを見るならおすすめ
 
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