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旅行日誌
 
10月初旬、初めてのクルーズに出かけることになった。クルーズといっても、エリオット湾やレイク・ワシントンの周遊クルーズではない。総トン数77,713トン、全長263.9メートル、デッキ数10層、乗客1,870人、乗員900人、客室数935室という、セレブリティ・クルーズ社の客船 『マーキュリー』 でパシフィック・ノースウェストを巡る、5泊6日の船旅である。世界のクルーズ会社の中でも食事やサービスの質の高さで高い評価を受けているセレブリティ・クルーズ社が1997年に就航させたこの客船は、同社が所有する 『ギャラクシー』 と 『センチュリー』 と同じコンセプトで建造されたハイテク3姉妹客船の1つ。ソニー・アメリカが最先端のAV技術を提供して実現した船内テレビ放送システムや劇場での映像ショー、フランス料理の大家ミシェル・ルーがコーディネートしたことで知られるコース料理、海を臨むスパなどで有名だ。今回の同行者は、クルーズ歴数回という友人 "K"。なにせ5泊6日もほとんどずっと一緒にいるとなると、仲の良い人というのは大前提だが、クルーズ経験者ならではの意見をくれ、楽しく会話を発展させる英語力があり、新しいことを楽しもうとする性格である彼女ならうまく行くに違いないと同行を頼んだところ、二つ返事でOKが出た。クルーズ中、私はこの人選が正しかったことを何度も実感することになる。

日程
日付港/市到着時間出港時間
10/8(土)シアトル 5pm
10/9(日)オレゴン州アストリア10:30am7pm
10/10(月)インサイド・パッセージ  
10/11(火)カナダ・ナナイモ7am6pm
10/12(水)カナダ・ビクトリア7am5pm
10/13(木)シアトル7am 

航路


午後3時30分:
ピア66に到着。大半の人が既に乗船してしまっているようで、ターミナル前はがらんとしている。見送りの人はターミナル前の所定の位置に一時停車できるが、長居はできない。まずチェックインするスーツケースにつけるタグをもらい、係員に預ける。ここで X 線検査が行われ、キャビン(船室)に届けられるそうだ。約10分で同行の友人 K が到着し、彼女もタグをもらってスーツケースを1つ預けた。

事前にセレブリティ・クルーズ社のサイトから印刷したボーディング・パスとパスポート、永住権カードを持ってチェックイン。アメリカ国籍保持者以外はパスポート、そして永住権保持者は永住権カードのコピーを取らなくてはならないとのことで数分待たされるが、テキパキしている上、「お待たせしてすみません」と、応対はとても丁寧。いよいよクルーズが始まるということでワクワクしているのもあってか、まったく待たされた気がしない。「もっと早い時間に乗船したら、ランチも楽しめたのに残念ですね」と言われ、そこで初めて午前11時から乗船できたことを知った。「残念!一食ムダにした!」と、食いしん坊の私と友人 K は顔を見合わせたが、出発前の仕事の片付けに時間がかかっていた私は午前11時にはまだパッキングすら始めていなかったので、どちらにせよそんな時間に乗船することはできなかったと、自分を慰めることにした。

チェックイン・カウンターからセキュリティ・チェックへ。友人 K は当然のように靴を脱いで X 線の機械に入れた。私は靴下で地面を歩くのが嫌なので「靴も脱ぐんですか?」と聞くと、係員は「靴は脱がなくていいんですよ」と苦笑い。「いや〜、空港でのシステムが抜けなくってね〜」と、笑って流す友人 K を見ながら、なんでも恥じいって萎縮してしまう人を同行者に選ばなくてよかったとホッとした。ドアを出て、客船まで金属製の通路をガタガタと歩いていく。客船は正面にあるのだが、巨大すぎてその一部しか視界に入らない。何台かのクレーン車が船に何かを積み込んでいる様子が見え、いよいよこれから船旅なんだなという気分がわき起こってきた。船の入り口で、チェックイン・カウンターで渡されたクルーズ・カードを機械に差し込むと、「足元に書かれた線のところに立って、前かがみになってください」と、係員が言う。言われたとおりにすると、カシャッと音がした。これは後からわかったのだが、この時に顔写真を撮影しておき、寄港地で下船する際は出入り口のセキュリティ・チェックで身分証明書としても使われるこのクルーズ・カードを差し込むと、機械に顔が表示されてチェックされるという仕組みになっているのだ。

午後3時50分:
「そのままキャビンに行かれてもよいですし、カフェで出発前のイベントを見るのも良いですよ」とのこと。しかし、今夜寝るところを見ておかないと落ち着かないので、まずはキャビンへ向かう。私たちのキャビンは、客室のあるデッキでは最上階のペントハウスにあるが、インサイド・ステートルームで、窓もなく、1番小さいタイプだ。ドアを開けると日本のビジネス・ホテルのようだが、引き出しつきのクロゼットは十分すぎるほどあり、トイレとシャワーと洗面所はコンパクトながらとても清潔で、引き出しつきの机に冷蔵庫、テレビもついている。特別にシャンパンとフルーツも置いてあり、シャンパンがちゃんと冷えていることに感動したが、2個のはずのベッドが1個しかない。「あれー?」と言ったところに、ベッドメーキングなどを担当しているアテンダントの女性がタイミングよく現れた。イオアナ(Ioana)と自己紹介し、「ベッドはすぐに直すことができるので心配ありません、夕食の間に終わらせます」と言い、さらに「午後4時に救命胴衣をつけての緊急時の訓練があるのでそれに参加してくださいね」と、救命胴衣を渡してくれた。彼女はこの船旅の間中、あれやこれやと行き届いた世話をしてくれ、私たちを感動させてくれることになる。

午後4時:
イオアナさんの言ったとおり、船内でアラームが鳴り始め、訓練が始まった。大きなオレンジ色の救命胴衣をつけ、ぞろぞろと6階の小劇場に集合すると、職員が緊急時のデモンストレーションをコメディ調で実演し、乗客が拍手喝采。全員でそこから甲板に出て整列し、救命ボートの配置などに関する話を聞く(この訓練は国際海洋法などで必須らしい)。甲板からは、見慣れたダウンタウン・シアトルのビル群が見える。

午後4時半:
訓練が終わり、救命胴衣を着けたままキャビンへ戻る。意外に肩がこるし、動きにくいので、肥満の人や車椅子の人などは大変だろう。

出港前のイベントを見るため、屋外デッキへ。シンガー数人を交えたライブ・ミュージックが流れ、バーなどではカクテルやビールを楽しむ人、グリルでは食前の食事(?)を楽しむ人などがいる。デッキチェアで毛布にくるまって海を見ている人たちもチラホラ。しかし、午後6時の夕食前(夕食の時間は予約時に午後6時か午後8時か選ぶことができた)にエクスカーションを予約しておかねばと、5階のエクスカーション予約カウンターへ。出港10日前までならオンラインでエクスカーションの予約をすることができるのだが(それも知らなかった)、決めあぐねているうちにオンライン予約に間に合わなかったのだ。アストリアでは第1希望のシーフード・クッキングは満席だったので、代わりに歴史的建造物でのティー&スコーンのエクスカーション($36)、ナナイモではワイナリー・ツアーを予約($48)。すでに何度も行っているビクトリアBC では、オーク・ビレッジでのアフタヌーン・ティーを予約している。そして、11階のアクア・スパへ。船旅で運動不足にならないよう、常に階段を使おうと決める。スパで料金表を見ていると、後ろから "Hello!" と声をかけられ振り返ると、乗船時からカメラを持って写真を撮影し続けている職員が私たちの写真を撮っていた。これはお約束のようだ。私はペディキュア、友人 K はフェイシャルを予約。それから食事の午後6時まで船内を探検しようということになり、ふと見ると船内の地図を持っている人がいる。「地図はどこ?」と私が日本語で言うと、少し離れたゲスト・サービスにいた白人のオフィサーが "Do you need a map?" と聞いてきた。驚いた友人 K が "Are you a psychic?" と聞いたところ、彼は
「チズガキコエマシタ」と笑顔で船内地図を渡してくれた。こういった「かゆいところに手が届く」サービスは、セレブリティの十八番らしい。それからはこの地図を見ながら、階段をフルに活用し、船内を上ったり、下りたりする。あちこちにカフェやバー、ラウンジ、カジノやシアター、小売店があり、最上階のカフェでコーヒーを飲んだ。友人 K は、「日本の喫茶店のコーヒーのような味」と喜んでいるが、私はシアトルのコーヒーが恋しくなった。ディナーへ向かう途中で、インターネットにアクセスできるコンピュータ・センターをようやく発見。自分のラップトップからもワイヤレスでネットにアクセスできるというので一安心(事前に電話で確認した時点では、この点があいまいだった)。

午後6時:
6階のマンハッタン・レストランへ。今日のドレスコードはカジュアル(部屋に届けられたニュースレターにそのように記載されていた)だが、料理はフランス料理の5コースである。テーブル番号は628番。入り口で並び、タキシードのスタッフにエスコートされてテーブルへ。3重奏でクラシック音楽の生演奏も始まっている。ここに来ると一段と年齢層が幅広くなり、下は赤ちゃんから上は80歳代とおぼしきシニアまでがテーブルについている。もちろん、車椅子のシニアや酸素チューブを鼻につけたシニア、歩行器のシニアなどもあちこちで目に付く。クルーズのいいところは、普段ならこういったシニアが出かけることさえ億劫になるような劇場や映画やゲームなどに手軽に行けることだろう。私たちは8人がけのテーブルで、シアトル在住の60代らしき夫婦とバンクーバー BC 在住の40代らしき夫婦と同席となった。タキシードやスーツを着たスタッフがサーブしてくれるが、全員がアメリカ英語ではない英語を話す。特にアジア系のアシスタント・ウェイターは訛りが強く、私たちを含め同席していた全員が彼を理解するのに少し苦労した。

バンクーバー BC 在住の奥さんとショッピングや食について盛り上がる。見知らぬ人と同席しても(事前に頼めば同席することがないようにすることもできるらしい)、自分で会話を発展していってくれる友人 K には、余計な気を使わなくていいのでありがたい。シアトル在住の私と友人 K は「買い物と言えばバンクーバー BC」、彼女は「買い物と言えばシアトル」と言う。彼女はよくリンウッドのアルダーウッド・モールで買い物をするというので、10月初旬にダイソーがオープンしたよというととてもエキサイトし、「バンクーバー BC のダイソーは均一で CAN$2」と教えてくれた。シアトル在住の夫婦はクルーズはこれが6回目。これまでメキシコ、パナマ運河、カリブ海など、いろいろなところでクルーズを楽しんできたそうで、「今回は衝動的に決めただけで、この3週間後にもまたカリブ海のクルーズへ行く予定なんだ」と言う。「クルーズの醍醐味は?」と聞いてみると、「食べ放題の食事にエンターテイメントが盛りだくさんの5泊6日で数百ドルなど、地上では考えられない値段で、これまた地上では体験できない質の高いサービスが受けられて、食べ物がおいしいことかな」。確かに、一度に約1,000人が食事をしているというのに、急かされることなく、かと言って待たされることもなく、とてもスムーズに食事が進む。「水を下さい」と言わずとも水が注がれ、「パンを下さい」と言わずとも新しいパンがサッと出てくる。アペタイザー、スープ、サラダ、メイン、デザート。家庭であまり塩を使わない私にはちょっと塩味がきついが、客船での船旅はこんなにちゃんとした食事を楽しめるものなのかと感心する。マーキュリーでは100人のシェフが常に料理をしているそうだ。

午後9時:
食後は約1,000人を収容できる劇場で 『A Touch of Broadway』 というショーを観た。これはニューヨークのブロードウェーで人気の高い 『ライオン・キング』 や 『ヘアスプレー』 などの見どころを、多数のダンサーやシンガーを起用して再現するというもの。それなりにおもしろかったが、疲れていたので途中で眠ってしまった。

午後10時:
約55分のショーが終わり、今度は男性4人のアカペラを聴きにラウンジへ。このラウンジではケーキやコーヒーを注文できるが(別料金)、満腹なのでコーヒーだけにする。午後11時ごろに階段でアカペラのショーが始まった。とてもすばらしい声で、トークもおもしろく、ほんの15分ぐらいのショーだったが大きな拍手が起こった。数日後には船上の舞台でショーをするそう。

ラウンジがかなりタバコ臭いのでサーバーに聞いてみると、なんと船の進行方向に向かって左側(port side)が禁煙だそうで、私たちが座っていたのは喫煙席だった。今度からは左側にすわることにしよう(後からチェックしてみると、初日の船内新聞に禁煙席と喫煙席のことがきちんと明記されていた)。ちなみに、レストランやカフェ、劇場、カード・ルーム、図書室は完全に禁煙である。

午前12時:
部屋に戻って就寝。「シャンプーがない!」と文句を言っていた友人 K は、コンパクトなバスルームの壁にシャンプーが取り付けてあるのを数分後に発見し、感動していた。


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Victoria Clipper Terminal
セレブリティ・クルーズ社の 『マーキュリー』。今回はこの客船が舞台。


スーツケースを預けるところ。X線検査が終わると、船内に運ばれる。


チェックイン・カウンター。職員はみんなとてもフレンドリーだ。


客船 『マーキュリー』。全長263.9メートルだ。


アクティビティ・スタッフによる踊りの指導付イベントが始まっていた。


最上階のバーは、出港前からドリンクを楽しむ人たちでいっぱい。


食前の食事?ハンバーガー、ホットドッグ、フレンチフライのカウンター。


大海原を眺めながら、デッキチェアでくつろぐのは最高!


最初の晩は5コースのフランス料理。前菜はキノコのパイ包み。


デザートのセレクション。私たちのウェイター、アレグザンダーさん。


ハンサムぞろいのカルテット、"Sustained"。美声にホレボレ。


ショーの開演前に観客を盛り上げる、クルーズ・ディレクター。


夕食から戻ると、就寝の用意がされていた。


枕元にはカードとチョコレートが。このカードは "Make-A-Wish Foundation" でセレブリティ・クルーズがスポンサーして子供たちが描いた絵をフィーチャーしているもの。同ファンデーションを通して、クルーズ旅行を寄付しているそうだ。
 
 
クルーズ基本情報
客船での船旅ってどんなもの?
まずは基本情報をチェック。
クルーズ選びの基礎知識
期間や値段、航行日程、目的地など、
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予約してから下船までの
基本的な手順をご紹介。
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サンプルプラン。
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アラスカ・カリブ海のクルーズ体験記。
パシフィック・ノースウェスト
クルーズ旅行日誌

船旅に魅せられた5泊6日を日記形式でご紹介。
取材協力・写真(一部)提供:セレブリティ・クルーズ

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