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ピュージェット湾の向こうに見えるオリンピック半島。ポート・タウンゼンドやハリケーン・リッジ、キャンプ、ファン・デ・フカ海峡を眺めながらのハイキング・・・どれも何度か行ったり見たりやったりしたことがある。しかし、やはりアメリカの最北西端ケープ・フラタリーや世界遺産指定のホー温帯雨林には行っておきたい。と言うわけで、今回は主に半島北西部および太平洋岸の制覇を目標に、3日間の行程で出発した。

今日の行程:
エドモンズ→キングストン→ポート・アンジェルス→ハリケーン・リッジ→レイク・クレセント→ソル・ダク・ホット・スプリング
午前7時10分:
エドモンズ発のワシントン州フェリーでキットサップ半島のキングストンへ向かう。車両デッキはいっぱいだが、乗船デッキはガラガラ。ほとんどの利用客が車に乗ったままで海を渡るようだ。予定の35分を大幅に下回る25分でキングストンに到着。運良く真ん中のレーンにいたため、到着してすぐ下船することができた。Highway
104 をフッド・カナル・ブリッジへ向かって走る。
午前7時50分:
フッド・カナルに面したポート・ギャンブル(Port
Gamble)を通る。ここは1853年にサンフランシスコ出身の材木業者らが設立した製材会社ピュージェット・ミル・カンパニーのおかげで発展した企業城下町(company
town)。同社の製材工場は1995年に閉鎖されたが、現在は19世紀当時に同地に建てられたニュー・イングランド風の建物を復元し、小さな観光スポットとなっている。ポート・ギャンブル歴史博物館に立ち寄ってみたいが開館時間は午前10時半なので、ゼネラル・ストア(写真右上)を見ただけで先に進む。
午前7時55分:
フッド・カナルの北端とオリンピック半島を結ぶフッド・カナル・ブリッジを渡る(キングストンから約8マイル/約13キロ)。この橋も
Highway 104 の一部で、その真ん中あたりでキットサップ郡からジェファーソン郡に入る。1958〜1961年に設置された長さ7,869フィート(約2,398メートル)のこの橋はその東半分が老朽化で寿命が来ているため、2003年から総工費2億7,500万ドルをかけた再築が始まっている。完成予定は2007年らしい。
Highway 101 に乗り換わる前後でポート・タウンゼンドにつながる州道(19号線と20号線)をまたぐ。ポート・タウンゼンドも久しぶりに行ってみたいが、やはり今回は西へ行くのが目的なので、やめておく。スクイムの手前約5マイル(約8キロ)の地点でスクイム湾のそばを通る。ここはネイティブ・アメリカンの
Jamestown
S'Kallam 族の本拠地で、トーテム・ポールなどが立っていた。州立公園もあるので、休憩するのに立ち寄ってみてもいいだろう。スクイムに入ったのは午前8時40分。この名前はネイティブ・アメリカンの言葉で
"quiet waters" という意味だそう。北米最大のラベンダー栽培量を誇り、毎年7月中旬にはラベンダー・フェスティバルが開催されている。
午前9時:
スクイムから約14マイル(約22キロ)西に走り、ポート・アンジェルスに入る。ハリケーン・リッジに続く道の途中にあるオリンピック国立公園ビジター・センターに立ち寄った。展示物がなかなか充実している。かなり肌寒いのでフリースを着た。坂を約5マイル(約8キロ)上ると、オリンピック国立公園の入り口だ。入園許可証を購入(車両1台で1週間有効のものなら10ドル)。この許可証はきちんと保管しておこう。無料の地図と国立公園の新聞をもらい、"Have
a nice visit!" と言われて出発。ここからハリケーン・リッジまでは1本道だが、反対側は崖でガードレールはほとんどないので、対向車線の車がちゃんと運転してくれることを祈るばかりだ。
午前9時45分:
ようやくハリケーン・リッジに到着。しかし!雲が晴れておらず、海も山脈も見えない。ビジター・センターの職員によると、「午後は晴れる予定だけど・・・こればっかりはわからないね」とのこと。以前来た時は晴れていたので遠くカナダまで見えたというのに残念だ。とりあえずトレイルを少し歩いてみたが、やはり寒い。しかし、以前5月に来た時にはまだ雪があちこちに残っていたことを考えると、これがここの夏なのだ。ビジター・センターの売店で緑茶(2ドル)を買い、持参した梅干入りのおにぎりを食べた。せっかく上ってきたが、約1時間で引き上げることにする。車に戻る前に、北アメリカ西部の山地に生息する
"blue grouse"(写真右下: アオライチョウ)を見かけた。夏が交尾期だそうで、フクロウのような独特の低い鳴き声(mating
call)を聞くことができた。
午前11時20分:
ポート・アンジェルスのダウンタウンに到着。ビジター・センターで周辺の見どころが掲載されている冊子をもらい、レイク・クレセントへ向かう。雨がぱらついてきたので、カーブを曲がる時は特に視界が悪い。このあたりの道路事情を放送している
AM 1610 にラジオをあわせる。
午前11時50分:
ようやくレイク・クレセントが見えてきた。残念ながら小雨が降っているので寒々しい風景だ。約10分ほど走ると、レイク・クレセント・ロッジと書かれた標識がある。右折して高い木々の間を通る道を進むと正面に湖が見えた。駐車場に車を停めて、ロッジに入る。ロビーの暖炉には火がパチパチと燃え、外観から想像するよりも和める雰囲気だ。ソファにすわってしばし休憩。そろそろおなかが空いたので、ここでランチを食べることにする。しかし、ロビーのすぐ奥にあるダイニング・ルームは、同じ建物内にあるとは思えないほど無味簡素で、湖が見えるのが唯一の救いだ。メニューは一般的なアメリカ料理。スープ($2.95)とサーモンのオープン・サンドイッチ(写真右
$9.25)をオーダー。ホワイト・ビーンのスープはおいしかった。
まだ小雨が降っているが、ここへ来たからには "Marymere Falls Trail" (約1マイル/約1.6キロ)へ行かなければならない。駐車場から両側を高い木々に囲まれた舗装道路を歩いてトレイルヘッドへ向かう。雨に濡れた土と木と葉の匂いがじんわりと漂ってくる。つい2ヶ月前にはカスケード・ループを周ったばかりだが、このようにあまり時間を置かずにワシントン州の西と東を旅してみると、この州がいかに変化に富んでいるかがよくわかる。途中で
"Moments in Time Trail" (約0.5マイル/約0.8キロ)に寄り道してみた。地面に生い茂るシダやコケに覆われた木々を見ると、雨の多いオリンピック半島にいることが実感できる。湖に出たところでマリメア・フォールズのトレイルへ向かう。この滝は落差が90フィートだそうで、"spectacular"
と聞いていたが、実際は「これが滝?」という感じ(写真右)。水量が少ないので迫力がなく、湧き水が高いところから落ちているだけのようにも見える。しかし、静かな森に落ちていくきれいな水をしばらく見ているとなんとなく神秘的な感じがしてきた。見晴台は小さいので、後から来た人に場所を譲り、駐車場へ戻る。両方のトレイルで約1時間かかったが、この頃には雨もやんで雲の切れ目から太陽の光が差し、湖がキラキラと輝き始めた。ロッジの中のサンルームでのんびりくつろいでみたいが既に午後2時3分なので、今日の最終目的地であるソル・ダク・ホット・スプリングスへ向かうことにする。
午後2時20分:
Highway 101 を西へ向かい、約20分ほどで左折して "Sol Duc Hot Springs Resort"
へ続く道に入ると、"Welcome to Soleduck Valley" という看板がある。ここで再びオリンピック国立公園に入るが、ハリケーン・リッジに行った時に購入した許可証を見せて通過。両側を高い木々に挟まれた舗装道路を走り、どんどん谷を下っていく。
午後2時50分:
約30分走ったところで、ようやくリゾートに到着した。"リゾート" と聞くと、私はついゴージャスな雰囲気を想像してしまうのだが、ソル・ダクは人里離れた谷間にある質素な保養地。敷地内には山小屋のようなメイン・ビルディングと、ホーム・センターで売られている物置小屋に似た外観のキャビンが32軒。フロントデスク・レストラン・土産物店・食料品店はメイン・ビルディング内にある。キャビンのチェックインは午後4時だが、部屋の掃除は済んでいるそうですぐに鍵をもらうことができた。
キャビンのドアを開けると、少し硫黄の臭いがする。キャビンのシャワーにも温泉が使われており、それに硫黄が含まれているから当然だ。薄いカーペットを敷いた床、ベッドが2個と箪笥・デスク・椅子・小さなクロゼット、そして小さなバスルーム。不潔なことはないが、これで1泊112ドルもするのか。ダウンタウン・シアトルでも112ドル払えばもっといいホテルがある。温泉の温度管理をするコンピュータの維持や建材・食料・日用品の輸送に余計なコストがかかるのだろう、過疎地に多大な期待をしてはいけない、などと考えてしまう。「1日だけで良かった」というのが正直な感想だ。
午後3時半:
しかし、ここで文句を言っても始まらない。暗くなる前に有名なソル・ダク・フォールズを見ておこう。肌寒く、少し雨も降っているので、Tシャツ・長袖シャツ・フリース・帽子・ハイキング用パンツ・厚手の靴下・ハイキングブーツという格好でトレイルへ向かう。フロントデスクでもらった地図を見ながら、まず
"Lover's Lane" といういかにもロマンチックな名前のトレイルへ向かう(『赤毛のアン』 からとったのだろうか)。しかし、まったくロマンチックな雰囲気はなく、草がぼうぼう生えた野原を歩き(ここで鹿を見た)、20分も歩くとトレイルがなくなってしまった。どうやら道を間違えたらしい。地図を見直し、反対方向へ来ていたことに気づく。
とりあえずまた同じ道を駐車場まで戻り、"Lover's Lane" はやめてソル・ダク・フォールズ・トレイルの入り口まで車で行くことにする。10分後には片道0.8マイル(約1.3キロ)の山道を歩き始める。小さな子供たちも親に手を引かれて歩いているぐらいなので、たいしたことはないが、泥でぐちゃぐちゃになっているところもあるので、やはりハイキング・ブーツが便利だ。落下する水が生む震動が地面から体に伝わってくると、もうすぐそこに滝がある。川をまたぐ木造の橋の下が滝つぼだ。この滝は落差はそれほどないようだが水量があり、ドドドドと音がするので迫力がある。周辺をコケや木々に囲まれた雰囲気もいい。滝のすぐそばまで下りている人もいるが、すべりやすいのでやめておく。
午後5時15分:
同じトレイルを戻り、再びリゾートへ。温泉に行ってみることにする。キャビンで水着を着てからTシャツとショーツを着てサンダルをはき、外に出た。やはり寒いが、そのままメイン・ビルディングへ行き、フロントデスクで「料金を支払った」というのがわかる輪を手首に巻いてもらう(写真右)。
ビルの外の右手にある入り口を入り、タオル(無料)を貸してもらってから数歩進んだところで、円形のプールが3つ、四角いプールが1つ並んでいるところに出る。これが温泉か!とりあえず、左手にある更衣室へ(更衣室は男女別々)。入ってすぐは洗面所、右手は更衣室、左手はシャワー室になっている。ロッカーはないので、脱いだものは更衣室の棚に置くだけ。シャワー室の壁にはシャワーヘッドがいくつかついており、一度に何人もがスッポンポンで体を洗っている。床は毛がたくさん落ちているので、サンダルをはいたまま体を洗い、タオルを持って温泉へ。
壁のフックにタオルをかけて、まず建物に1番近い円形プールに入ってみる。体が冷えていたので、ぬめりのある湯は温かくて気持ちよく感じたが、それも束の間、あっという間にぬるくなってきた。やはり日本の温泉とは違いすぎると思っていると、隣の中年女性が「ここよりあっちの方が熱いのよ」と話しているのが聞こえた。そうなのか、とすぐにそのもう1つの円形プールへ移動したが、なるほどこちらの方が熱くて温泉らしい(タオルをかけるフックのあたりに、温度差の説明が書いてある)。ようやく一息ついて、あたりを見回す。温泉プールの周りは緑が生い茂る山々に囲まれており、場所は悪くない。カップルはお湯の中でお互いをマッサージしあい、お父さんは息子に温泉について熱く語り、中年女性はおしゃべりに花を咲かせ、とにかく楽しそうだ。"This
is great!" という声もあちこちから聞こえてくる。これはこれで楽しめる人はたくさんいるのは事実だ。しかし、このソル・ダクの温泉を体験したことは、私にとっての温泉はやはり日本の温泉であることを認識するきっかけとなった。
ものの30分ほどでキャビンに引き上げ、服に着替えた。明日も長い1日になりそうなので、メイン・ビルディング内のレストランで早いディナーを食べることにする。このレストランは温泉プールに面しており、窓際にすわると温泉ではしゃぐ老若男女を見ながら食事をすることになる。私たちは窓から離れた席にすわり、ソル・ダク・ハウス・サラダ(写真右
$6.75)とポートベロ・マッシュルームのグリル($10.25)、スープ($3.25)、スタッフド・スクォッシュ($10.25)をオーダーした。ちなみに、メインデュッシュはシーフードからステーキまでいろいろある($10.25〜$18.25)。味は可もなく不可もなく、といったところ。パンはちゃんと温めてあっておいしい。
キャビンに戻ったのは午後9時前。隣のキャビンの宿泊客が、持参したBBQグリルで何かを焼いている。万が一ここにまた来ることがあったら、その時はキャンプとBBQをしてみたいものだ。
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ポート・ギャンブルのゼネラル・ストア&カフェ。

フッド・カナル・ブリッジ。
スクイム湾。ジェームズ・スカラム族のトーテム・ポールが立っている。
オリンピック国立公園ビジター・センターの玄関口。
ハリケーン・リッジ。海が見えるはずだが、雲が晴れず真っ白なだけ。
アオライチョウ。交尾期の夏には独特の鳴き声を聞くことができる。

サーモンのオープン・サンドイッチ。まずまずの味だが、食べにくい。

マリメア・フォールズ。迫力はないが、どことなく神秘的。

コテージの中。とても質素だ。

トレイルに鹿がいた。

ソル・ダク・フォールズ。これぞ滝という感じ。

温泉に入る前に、手では切れない素材で作られた輪をつけてくれる。

屋外温泉プール。決して露天風呂といった雰囲気はない。

ソル・ダク・ハウス・サラダ($6.75)。 |