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言葉の壁を超え、オールエイジで楽しめる想像の世界 シルク・ドゥ・ソレイユの新公演『ルシア』 レドモンドで開幕

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シルク・ドゥ・ソレイユ

Picture credit : Matt Beard
Costume credit : Giovanna Buzzi / 2016 Cirque du Soleil

1984年のカナダ・ケベック州モントリオールでの創立以来、世界中で芸術性の高い新しいサーカスを上演し続けているシルク・ドゥ・ソレイユ。その38番目のオリジナル・プロダクションで、シルクが3年の月日をかけて創り上げ、新境地に達したとされる 『ルシア』 が、3月30日にワシントン州レドモンド市で開幕しました。メキシコを喚起させる自然とさまざまな色、そして全体をう覆う不思議な雰囲気は、シルクならでは。一つ一つが手作りで美しくオリジナリティあふれるコスチューム、スピード感とスリル満点のアクロバットには、会場から何度も大きな歓声と拍手がわきおこりました。

常に進化する舞台

広報担当のフランシス・ジャルベールさんによると、『ルシア』 は、メキシコの神話やコンテンポラリな文化的要素にインスパイアされ、3年をかけて制作された舞台。初演は昨年5月、モントリオール。以来、北米の都市をまわっていて、シアトルは5番目の都市です。

「一人の男が飛行機からパラシュートで降りてくるところから始まりますが、彼が降り立ったのは、夢のような想像の世界で、彼はその世界のさまざまな住民に出会い、さまざまな体験をし、もう元の世界に戻らないと決めます。それぞれのシーンがまったく異なる時代や文化を表しているので、観る人を独特の世界に連れて行ってくれますよ」。

シルク・ドゥ・ソレイユ

Picture credit : Matt Beard
Costume credit : Giovanna Buzzi / 2016 Cirque du Soleil

まず、ビジョンは何か、何ができるか、どのように動くかを考えるところから始め、いろいろ工夫しながら振り付けなどを決めていき、徐々に今の基本形ができあがったそう。一つの都市で数ヶ月から1年にわたり上演するため、アーティストは上演しながら常にアイデアを生み出し、工夫し続けています。

「シアトルの次はダラスへ向かいますが、その時は今日とは少し違うものになっているかもしれません」。

シルク・ドゥ・ソレイユ

Picture credit : Matt Beard
Costume credit : Giovanna Buzzi / 2016 Cirque du Soleil

フープ・ダイビングはもともと中国のもので、基本はジャンプしてフープの中を通り抜けるというパフォーマンス。しかし、シルクでは、舞台に巨大なトレッドミルを設置し、その上で走って加速しながらジャンプしてフープを通り抜けるというようなスピード感のあるパフォーマンスを創り上げました。

約10分の演技の間、トレッドミルは動いたり、止まったりし、時にはトレッドミルがアーティストの飛んでいく方向に動いている場合もあれば、アーティストに向かって動いている場合もあり、また、舞台にいる7人全員が同時にジャンプしていることもあります。

「それに、ステージも回転しますから、ジャンプした地点から着地する地点までの動きを考えると、とても複雑なことがわかっていただけるでしょう。でも、本番に出演する7人のフープ・ダイバーたちの中には、以前から知っているアーティストもいますが、基本的にはこのショーのために集められたアーティストたちで息を合わせていくのです」。

シルク・ドゥ・ソレイユ

Picture credit : Matt Beard
Costume credit : Giovanna Buzzi / 2016 Cirque du Soleil

「メキシコに行ったことがなくても、言葉を使う舞台ではないので、どんな国でも、誰でも楽しめます。目の前で展開する世界を、想像力を解き放って、自分なりに感じ取ってみてください。あなたの感じ方は、あなたの隣の人の感じ方とは違うでしょう。それが、シルクが世界的に高い人気を誇る理由です」。

「今、シルクは20のショーを上演していますが、そのうち9つは世界ツアー中で、7つはラスベガスで上演中、2つはブロードウェイ、1つはオーランド、1つはメキシコで常設公演となっています。日本をはじめ、さまざまな国で上演できるのはすばらしいことです。それはつまり、さまざまな文化、すべての年齢層が楽しめる舞台だからなのです」。

フープ・ダイバー/ステファン・ボールガールさん

フープ・ダイバーのステファン・ボールガールさんは、シルク・ドゥ・ソレイユの本拠地カナダのモントリオール出身。幼い頃から体を使うさまざまな趣味に没頭し、大学卒業資格を得られる北米唯一のサーカス専門学校、国立サーカス・スクール(ENC)に入学。在学中にパートナーと開発したオリジナルの演目でシルクに目に留まり、卒業後に入団して以来、世界各地をツアーでまわっています。初日の公演前のリハーサルを見学すると、完璧な舞台はチームでの努力と綿密なリハーサルの賜物であることを実感させてくれました。

シルク・ドゥ・ソレイユ

Photo credit : Matt Beard Costume credit : Giovanna Buzzi / 2016 Cirque du Soleil

大学時代の活躍がきっかけでシルクに入団
シルクには12~13年にわたり出演していますが、最初はティーターボード・アクロバットをやっていました。カナダのモントリオールにある国立サーカス・スクール(ENC)在学中にティーターボードを使った独自の演目をパートナーとともに創り上げたことがきっかけで、シルクに入団しました。それから『コルテオ』 の制作に関わり、合計9-10年にわたって世界ツアーに参加しました。その間、約1年にわたりシルクから離れていた期間があったので、シアトルは今回が初めて。先日はダウンタウンやマーケットにも行ってみましたよ。シルクに再び参加したのは、『コルテオ』の日本公演から。日本には14ヶ月滞在しましたが、ぜひまた行ってみたい国です。

『ルシア』 で初めてフープ・ダイビングに挑戦
もともとフロア・アクロバットを専門にしていて、カナダの競技大会によく出場していたので、国立サーカス・スクール(ENC)の入学オーディションにはフロア・アクロバットで合格しました。その後、シルクでは在学中にパートナーと開発したティーターボードを使ったアクロバットがきっかけで入団しましたが、フープ・ダイビングは、ティーターボードよりもフロア・アクロバットにもっとよく似ているものの、フープがあるだけでやっぱりかなり違うものです。

シルク・ドゥ・ソレイユ

Photo credit : Matt Beard Costume credit : Giovanna Buzzi / 2016 Cirque du Soleil

『シルク』 のフープ・ダイビングならではのチャレンジ
本番では、コスチュームを着るわけですが、それには頭におよそ10センチほどのクチバシがついています。さらに腕には羽もあります。羽には小さな穴があいていますが、それで視界が広がるわけではありません。つまり、『シルク』でのフープ・ダイビングは、クチバシ、羽、フープ、動いているトレッドミル、回転するステージ、そして合計7人で演じるので、実に正確なコーディネーションが必要です。振り付けを考え始めてから、さまざまな変更を行ってきました。最初は混乱することもありましたが、今はもう大丈夫です(笑)。

舞台では、これまでのすべてを総動員
サーカスには、スペース感覚、ダイナミズム、強靭な体、忍耐力など、実にさまざまな感覚や力、知識が必要です。私の場合、幼いころから武道、野球、フィギュアスケート、ダンス、いろんな趣味に没頭し、そして、10代になってフロア・アクロバットに集中することになりましたが、これは、それまでやってきたことすべてを総動員してやるものなのだと実感しました。なので、アクロバットやダンスに限らず、なんでもやってみるのがいいと思いますよ。

【会場】 Marymoor Park (Redmond, WA)(地図
【公式サイト】 cirquedusoleil.com
【駐車】 有料駐車場(現金のみ$15)
【その他】 場内では、軽食や飲み物のほか、さまざまなグッズを購入できる。

掲載:2017年3月 取材:編集部

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