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映画&試写会レポート: Darfur Now

公式サイト: www.myspace.com/darfurnow  

スーダンのダルフール地方で2003年ごろから始まり現在も続いている紛争を、さまざまな立場にある人々の活動を通して描いたドキュメンタリー映画。主な出演者は、ルワンダでの虐殺を描いた 『Hotel Rewanda(ホテル・ルワンダ)』 で主演したアフリカ系アメリカ人俳優ドン・チードル、国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)のルイス・モレノオカンポ検察官、アメリカ人活動家アダム・スターリング、国連職員パブロ・リカルド、幼い息子を殺害されて反政府勢力の一員となったスーダン人女性、難民キャンプの指導的立場にあるスーダン人男性の6人。撮影は、スーダンの首都カーツームやダルフール地方を中心に、オランダのハーグにある国際刑事裁判所、ニューヨークの国連安全保障理事会、米国の首都ワシントン DC、スーダンと密接な関係にあるカイロと北京、カリフォルニア州の州都サクラメントなどで行われ、同じ星に住む人間の動きが地球規模のスケールで交差していきます。

Darfur Now
テレビのドキュメンタリー番組で数々の賞を受賞し、この 『Darfur Now』 で初の劇場公開作品を制作したテッド・ブラウン監督は、映画難民キャンプ、スーダン政府高官、遊牧民、そして反政府勢力と呼ばれるスーダン人解放軍の勢力下にある Jebel Marra 地方という、一般には公開された例のない被写体の撮影許可を得、2007年1月から5月までダルフール全域での撮影を実現。これは同監督がスーダン政府側の主張にもじっくりと耳を傾ける姿勢を崩さなかったことが功を奏したそうです。国連の発表では少なくとも20万人が殺害され、数百万人の難民が発生しているとされていますが、これを真っ向から否定するスーダン国連大使の発言は見ものです。

米国政府が「虐殺」と呼ぶダルフール地方の現状を描いたドキュメンタリーと聞くと、重苦しい内容を想像してしまう人も少なくないはず。もちろん、そういった場面も現状を知る上でははずせないのですが、この作品はブラウン監督の意図どおり、最後には「それぞれが自分のできることをすれば、最悪とも思える状況を乗り越えられるかもしれない」という希望を抱かせてくれたのが意外でした。プロデューサーには、2005年に第78回アカデミー賞作品賞を受賞した映画 『Crash』 をプロデュースしたキャシー・シュルマンが名を連ねていますが、この作品にも、「人間も捨てたものじゃない」と思わせる効果があるようです。

特に印象に残ったのは、カリフォルニア州の年金をスーダンと関係のある企業に投資することを禁止する州法制定を目指し、路上でのチラシ配りから始める大学生アダム・スターリングと、妻子を残して西ダルフールという危険地帯で世界食糧計画(WFP)のリーダーを務め、大型トレーラー10数台を使った食料の大量輸送を管轄するパブロ・リカルド。一般市民の反応のなさに悔し涙を流しながらも取っ掛かりをつかんでいくアダムや、時には妻子を思って目を潤ませ、目的を失いそうになって落ち込みながらも輸送を成功させるパブロの姿からは、人間の弱さと力強さを感じ取ることができます。今月17日にはまさにこのパブロが運営していると思われる緊急食糧支援プログラムで援助物資を輸送していたトラック運転手3人が殺害されたというニュースが報じられ、パブロがどんなに悲しみ、悔しがっているだろうかと考えさせられました。

この作品には多数の著名なアメリカ人が登場しており、食料の配給のシーンで袋に印刷された米国旗がさりげなく画面に入るところなどは、アメリカ人の自尊心と愛国心をくすぐるのに役立っているような気がしましたが、それによってこの国に住むよりたくさんの人が関心を持ってくれれば、それに越したことはないわけです。会場で配布されているチラシには、個人や企業がダルフールの状況改善のためにできることが書かれていました。ドン・チードルも映画の中で、「"何かできることはありませんか?" と尋ねられたら、"あなたは何ができますか?" と問い返しています。できることをすればいいのです」と言っています。何かしたいと思う方は、ぜひこちらのサイトをご覧ください。公開は11月9日から。(た)

写真©Warner Independent Pictures, Participant Productions



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