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第10回 : ぶどうと自然
8月の中頃から10月にかけて、ワイナリーではぶどうの収穫が行われ、1年で最も忙し い時期です。この時期の雨はワイナリーにとってヴィンテージの出来を左右するので造り手は天気にやきもきします。
アメリカでぶどうを栽培しているのは10州程度。というのも、収穫を含め、ぶどうを栽培するには自然との関係が不可欠で、ぶどうの成長には様々な自然の要素が反映されるからです。今回はそんなぶどうと自然のエピソードをいくつかご紹介します。
ぶどうは北緯30〜50度、南緯20〜40度の範囲で栽培が可能とされています。この一帯は別名『ワイン・ベルト』とも呼ばれ、ワシントン州はほぼフランスと同緯度に位置することが、良質のワインが生まれる理由づけによく取り上げられます。
ぶどう栽培には気候や地形、土壌が深く関係していきます。まず、気候の違いによってワインの色や酸味、タンニン、糖度などに大きな違いが出できます。例えばドイツはぶどう栽培の北限とよく言われ、気候が冷涼で日照時間が少ないのでワインの色は薄く、酸味がしっかりしたものとなります。また、十分な日照時間を得るために、日光がうまくぶどうの木に差し込むよう、ぶどう畑の多くは南斜面に作られています。逆に、オーストラリアでは温暖で日照量が多いことから、ワインの色は濃く、豊
かな果実味が生まれます。オレゴンやカリフォルニアの太平洋沿岸に近い産地では、太平洋による海洋性の気候で霧が多く発生します。沿岸からの距離、山や丘の高さ
などによって、この霧によるそれぞれの産地の微気候(マイクロ・クライメット)が バラエティに富んだカリフォルニア・ワインが造られます。ワシントン州ではカスケード山脈のもと、乾燥した厳しい気候ですが、昼間は暖かく夜は涼しくなるのでこの温度差がぶどうの味に影響を与えます。
皆さんは、各国のワイン産地の多くには大きな川が流れているのをご存知ですか?フランスはボルドー地方のジロンド川、ドイツのライン川、ワシントン州の主要産地にもコロンビア川やヤキマ川があります。川は昼の間には日光をぶどう畑に反射して、夜になると日中に受けた熱を放射してくれる働きを持ちます。川によって気候が和らげられたりすることもあります。川を中心にワイン産地が広がるのが納得できます。
また、ぶどうは水はけのよいやせた土地を好みます。やせた土地の方が、ぶどうは養分を吸おうと根を深く張るようになります。しかし、その土壌の種類は様々で、
フランスはその典型。石灰質の土壌を持つシャブリ地区ではシャルドネが原料のシャ ブリは世界的に有名です。このシャブリと牡蠣の組み合わせは定番ですが、これは石灰質の土壌から生まれる風味が牡蠣にマッチするそうです。メルローで有名なポムロール地区の土壌は鉄分を多く含んでいます。ワシントン州は特にメルローが有名ですが、コロンビア・ヴァレーの土壌は火山岩質の土壌を含むので、その鉄分がこのぶどう品種を傑出させているのでしょう。有名シャトーが多くあるボルドー地方は、
粘土質、砂利質の土壌で、ぶどう畑の地面に石や砂利がごろごろ転がっているのもめずらしくはありません。
こうして畑にただ植えられているぶどうも、実はワイン同様奥が深いのです。各ワインにはその土地の自然が味に見え隠れしています。ぶどうが育った自然のイメージが色、香り、味わいから感じ取れたら最高ですね。
■マックのワイン日記
ワイナリー FACELLI WINERY
ワイン名 FUME BLANC
ヴィンテージ 1999
産地 COLUMBIA VALLEY, WA
価格帯 $9.99
オーナーの意気込みを感じさせるWoodinvilleのマック一押しのワイナリー。場所はビジネス・パークの一角にあり、ここがワイナリーと驚いてしまうほどのブティック・ワイナリー(*1)。ドアを開けるとテイスティングルームになっていていくつか試飲できる。ぶどうはコロンビア・ヴァレーなどから取り寄せて、醸造はなんとこのテイスティングルームの後ろにあるそう。規模は小さいけれど、味はどれも丹念に造られていて感動した。オーナーがワインを注いでくれるので、直接話も聞ける。このワインは直接試飲して気に入って買った2本のうちの1つで、ボトルの1本1本に
オーナーの直筆のサインがしてある。フュメ・ブランとはソーヴィニヨン・ブランのぶどう品種のことで、アメリカでは前者で呼ばれることが多い。甘夏のような柑橘系の香りがして清涼感がある。口に含むと生き生きとした酸味と甘味を含んだ豊かな果実味が魅力。バジルのパスタに合う。
*1:量ではなく質を追求する小規模なワイナリーのこと。
注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
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