第28回:
ヨーロッパ出張
我々の仕事は日本の製品をアメリカに紹介することです。しかし、最近のアメリカ発の不況のせいもあるのでしょう。「ピンポイントさんはヨーロッパへの販路開拓はしないんですか?今は北米よりも欧州への輸出を考えているのですが・・・」と聞かれることが多くなりました。というわけで、4月後半から5月前半にかけてドイツ・スイス・フランスを回って有名な展示会を視察したり、リサーチャー候補と面談したりしました。以下、その雑感です。
ハノーバー・メッセは毎年4月にドイツ・ハノーバーで開かれる世界最大の産業機器の展示会で、世界中からあらゆる最新産業機器が展示される国際見本市。今年は25の巨大な体育館のような展示場を使っていました。私は、まず各展示会場の真ん中の一列だけをさっと見てその雰囲気だけをつかみ、次の展示場に移動しました。それだけでも丸一日かかかり、すべての通路・ブースをすべて回ることを思うと、ぞっとするほど巨大な規模です。
ご存じのように、産業機器は日本が最も強い分野ですが、出展している日本企業の数は予想以上に少ないものでした。代わりに目立ったのはやはり中国企業。大小さまざまなブースが数多く出展していました。また、今年はハノーバー・メッセのパートナー国が韓国ということで、韓国企業も多かったです。技術的にはまだまだと感じるものもあるのですが、なんといっても数が多くて勢いがあります。
リーマンショックは展示会の出展申込み期日を過ぎてから起きましたが、日本だけが極端に出展数が少ないことの理由にはなりません。昨年は日本がパートナー国でしたので、政府の支援もあって相当な数が出展したはずです。それらが結果を出していたら今年の出展はさらに増えていたでしょう。想像するに、不況に加えて、昨年たくさんの会社が参加して結果が出なかったので、今年は一斉に引き上げたのではないでしょうか。
私は日本企業の海外展示会への出展方法も曲がり角にきていると感じます。かつてのように「欧米の既存製品を安くて品質の良いものに変えました」といった頃であれば必ず需要がありました。国際見本市に出展して世界の目に触れさせれば、後は半自動的に販路が開拓できたかもしれません。しかし、今の日本が売ろうとしているものは「価格的には高いが、新しい機能・付加価値をつけた」といった製品が大半です。極端に言えば、需要があるかどうかはまだ分からない新製品がメインなのです。
そういった高機能・高付加価値製品の売り込みは、力まかせや商社任せでできるものではありません。やはり製品に合致した販売戦略をメーカー側が検討して、ある程度の方向性を出しておく必要があります。展示会期間中のみならず、事前の潜在顧客とのミーティング調整、展示会でつめること、展示会後のフォローアップ体制などを明確にしておかなければ、成果を上げるのは難しいでしょう。日本企業にそういった方法論と具体的な行動を提供し続けたいと思った出張でした。
P.S.
今回の出張では両親とのスイス旅行も追加しましたので、結局、ドイツ・スイス・フランスの3カ国の7都市を回りました。ところが総合的に「この街に住みたい。」と思った場所はなく、改めてシアトル、そして我々のオフィスがあるカークランドの素晴らしさを感じました。何だかんだと言っても、やっぱり美しく、便利で、安心感があります。
(2009年5月)