第41回:セールストーク考
新しいクライアント候補(北米で販売を目指す日本企業)と話をしている時に「なぜ自分はこんなに一生懸命しゃべっているのだろう」と頭の片隅で思う事があります。当たり前ですが、我々にマーケティングの仕事を頼んでもらうためには優秀であること(?)を示さなければならないという意識もあるでしょう。あと、我々の顧客になる・ならないは別にして、日本企業が北米市場で失敗しないように注意点を教えてあげたいという理由もあります。
「でも、そうやって一生懸命に話す事が、はたしてクライアントの獲得に本当に効果的なのだろうか?」と疑問も持っています。相手はこちらを「偉そうにしゃべりやがって」と反発しながら見ているかもしれません。年上で海外経験のある方である場合も多いので、気を使います。場合によっては、「我々の提案を飲むこと=今までの失敗を認める事」と考えられるかもしれません。
会社に呼ばれて社長を含む数名の前でプレゼンをすることも珍しくありませんが、中には冷ややかな目で見ている人もいます。「きっと気に入らないんだろうな」と思っていると、その人が後で一番強く我々を推薦してくれたりすることもあるので、難しいものです。
ハンマー投げのメダリスト、室伏選手が、「僕が一生懸命にハンマーを投げるのは当然です。しかし、僕だけががんばるだけでは不十分で、ハンマーにもがんばってもらわないとダメなんです」と言っていたのが心に残っています。無機物であるハンマーに「がんばってもらう」とはおかしな表現ですが、世界の頂点で競ってきた室伏選手の実感でもあるのでしょう。
今の私の自戒は「しゃべりすぎてはならない。余韻を残したセールストークをすべき」といったものです。早く「ハンマーにもがんばってもらう」という言葉が腑に落ちるようなトークを身につけたいと思っています。
(2010年7月)