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ベンチャー企業奮闘記!
ベンチャー企業奮闘記!
       
  筆者紹介:大澤裕さん(おおさわ・ゆたか)
ピンポイント・マーケティング・ジャパン/代表
慶応義塾大学経済学部卒。米国バンカーストラスト銀行企業金融部勤務(企業米国進出支援業務)を経て、米国カーネギーメロン大学経営学大学院に留学し、MBA 取得。1997年に起業し、2000年にシアトルへ。詳細は、2003年7月の 『ぶらぼおな人』 で。
   
       


第8回:初めてのセミナー

A 氏には最後に裏切られたように感じましたが、彼と仕事をした短い間で私が吸収したものは少なくありませんでした。彼は大手タイルメーカーの営業部長として全米の代理店の統括していましたし、自らが代理店の経営もしていました。彼の口から語られるアメリカでの販売代理店網構築の方法論やマネジメントの仕方は、ビジネス・スクールのマーケティングのテキストに書かれているような抽象的なものではありませんでした。実際のところ、ビジネス・スクールでは販路構築の方法を教えてもらった記憶がありません。多くの貿易実務の本を見ても貿易用語の説明ばかりで、肝心の売り先をどうやって探すかという事が欠落していました。

たまたま私は父の会社のタイル製品をアメリカで広めるという目標がありましたので、それに的を絞った具体的な勉強をすることができました。そして実際に会社を設立し、ビジネススクールの教授や先輩、A 氏らの協力を得て、手探りながらそれを実践する機会に恵まれました。タイルの事業が行き詰ってもそのノウハウは残っています。そのノウハウを同じように北米販路開拓の困難に直面している日本の独創企業に使って欲しいと考えました。

そういった業務の所在地として当時オフィスのあったピッツバーグは不適切でした。顧客は日本企業ですので、西海岸への引越しを考えましたが、ロサンゼルスは交通渋滞とスモッグがイヤでしたので最初から却下。サンフランシスコ、とくにシリコン・バレーはその地名が持つ語感からもオフィス所在地として適切と思われましたが、家賃を始めとする物価が高すぎましたし、人件費も非常に高く、良い人材を集めるのに苦労しそうなため却下。消去法でシアトルになりましたが、結果的にはとても良い選択でした。アメリカ本土でもっとも日本に近い貿易港であり、アジア・日本文化に対する理解もあり、教育水準も高く、なによりも緑が多い安全な雰囲気が気に入り、1999年の暮れにピッツバーグからシアトルに引越しました。

さて、北米市場開拓のコンサルティングをやると言っても、まずは顧客を集めなければなりません。どうやって顧客を集めるか考えた末、日本でセミナーを開催することにしました。2000年9月、京都のリーガ・ロイヤル・ホテルでの開催が皮切りです。海外市場に興味を持っていそうな会社にダイレクト・メールを送って参加者を募りました。日本への渡航費や会場費を考慮すると参加費は1人当たり3万円にもなりましたが、それでも20人程度の参加希望者が集まりました。初めて開くセミナーの開催前はドキドキでした。参加者は各企業の貿易・海外担当者です。私の話す内容が彼らにとって3万円の価値があるのかどうか、正直、確信がありませんでした。「そんな当たり前の話を聞くために3万円も払った訳じゃない」と言われたらどうしよう、と。

結果的にはその心配は杞憂に終わりました。参加者に提出してもらったアンケート用紙には「非常に勉強になった」「目から鱗が落ちた」といった、とても好意的なコメントばかりが記されていました。セミナー後、家内や手伝ってくれた従姉妹と晩御飯を食べながら、「この職業で何とか食っていけるかもしれない」と充実感をもって考えていました。

つい先日の7月31日は、経済産業省の研修所で講演させていただきました。そうそうたる若手官僚が相手の講演でしたが、基本的な内容はこの最初のセミナーから変わっていません。しかし、緊張したのは最初のセミナーでした。その時に初めて、自分が学んだ北米販路開拓の方法論に確信ができたのです。

(2007年8月)



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第22回 提携・パートナーシップについて
第21回 日本での出張
第20回 実力と外見
第19回 プライベート展示会の成功
第18回 米国企業とのミーティングいろいろ
第17回 面接の受け方
第16回 ベンチャー企業が育つ場所
第15回 瞑想の効用
第14回 インターン
第13回 (株)カネコ
第12回 篠田プラズマ
第11回 素晴らしい日本のベンチャー企業
第10回 ビジネス・スクールは役立つか?
第9回 コンサルティングの難しさ
第8回 初めてのセミナー
第7回 決裂
第6回 撤退の決断
第5回 新しいビジネス・チャンスの発見
第4回 自社の販売網構築
第3回 特許ライセンス vs. 自社販売網構築
第2回 会社設立準備
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