第29回:
オフィスの変遷
初めて借りたオフィスはペンシルベニア州ピッツバーグにありました。小さな1人用オフィスで、駐車場代込みで月175ドル。部屋正面がガラス張りだったので、はやらない動物園の檻の中にいるような気もしましたが、快適でした。しかし、初めて日本からお客さんが来られた時は、案内するのに抵抗がありました。「こんなショボイところで仕事をしているのか」と思われるのを心配したのです。結局オフィスには来られず、ホテルで簡単なミーティングだけして帰られた時にはホッとしました。
シアトルに移ってきて最初に借りたのは、エクゼクティブ・スイートと呼ばれる、受付・会議室が共有で、小さな1〜4人用の部屋が集まっているオフィスでした。場所はベルビューにある高層ビルの最上階。エレベータを降りると受付があり、奥の一面は高さが4メートルもあるガラス張りで、レーニエ山が真正面に見えます。モデルのような受付嬢が有能な対応をしてくれました。映画のセットのような雰囲気でしたが、部屋代は月600ドル程度。それほど高くないと入居を決めると、契約書にはしっかりと「受付嬢をリクルートしない」といった条項が入っていました。
月600ドルの部屋と言っても、電話代や受付対応代、飲み物代などを入れると、月1,000ドルを軽く超えます。当時の私には大きな出費でしたが、日本からのお客さんは豪華な雰囲気に驚かれ、「成功している」オーラを出す効果はあったかもしれません。後に人を雇ったので少し広い部屋に移動すると、月々の支払いは2,000ドルを超えました。さすがに、せいぜい2人用のオフィスに2,000ドルも支払うのはどうかと考えて、新しいオフィス探しを始めました。
現在借りているオフィスは3部屋+会議室+共有スペース。カークランドのダウンタウンと湖岸の公園に近く、雰囲気がとても良い自慢のオフィスです。7〜8名がゆったりと仕事をすることができ、詰めれば会議室には10名程度が入れます。勉強会も定期的に開いていますし、時々は簡単なパーティーもします。今までで最も気に入っているオフィスです。
昨年7月から日本拠点として東京の帝国ホテルタワーに借りたオフィスは、やはりエグゼクティブ・スイート。机ひとつの小さなオフィスですが、家賃は高いです。丸の内と霞が関の間で、日比谷公園・皇居にも近い最高の場所にあるので、仕方ないですね。
最近は出張で日本各地や米国、その他を移動していることが多いのですが、インターネットと携帯電話のおかげで、コンピュータ1台あればどこでも仕事ができるようになりました。クラウドコンピューティングも発達してきましたし、オフィスという言葉の定義もこれから変わってくるかもしれませんね。
(2009年7月)