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ベンチャー企業奮闘記!
ベンチャー企業奮闘記!
       
  筆者紹介:大澤裕さん(おおさわ・ゆたか)
ピンポイント・マーケティング・ジャパン/代表
慶応義塾大学経済学部卒。米国バンカーストラスト銀行企業金融部勤務(企業米国進出支援業務)を経て、米国カーネギーメロン大学経営学大学院に留学し、MBA 取得。1997年に起業し、2000年にシアトルへ。詳細は、2003年7月の 『ぶらぼおな人』 で。
   
       


第10回:ビジネス・スクールは役立つか?

親戚に教師が多かったせいで、教育には昔から関心がありました。それにも関連しますが、「ビジネス・スクールは現在の仕事に役立っていますか?」といった質問を受けることが多々あります。『ビジネスの士官学校』 ともよばれるハーバード大学などの一流ビジネス・スクールが施している教育に対する好奇心から、そういった質問をするのだと思います。

私はピッツバーグのカーネギーメロンという大学で MBA を取得しました。全国ランキングで言えばトップ10から20の間ぐらいです。ハーバードやスタンフォードのような特別な集団ではありませんが、まあ普通の秀才が集まる学校といってよいでしょう。振り返るとやはりこの学校に行かないで起業をすることはなかったように思います。

以前にも書きましたが、最初の頃は学校のコンピュータ・ルームをオフィス代わりにしていました。ビジネス・プランを練ったり、ホームページを作成したり、さまざまな会社に手紙を書いたりしていたのです。教授に相談したり、仲の良いアメリカ人学生にメンターになってもらったりしました。そういったことができる雰囲気があったのです。そして彼らのアドバイスが実際的に有効であったかどうかは別として、「いざとなれば彼らに相談できる」という環境が大きかったと思います。

ビジネス・スクールで習った科目内容については、あまり憶えていません。特に会計や統計・数量分析といった数字を使う科目はほとんど忘れてしまいました。案外、今になって役に立っているのは法律の授業です。法律というのはその国の常識が集約されているところがありますから、アメリカの会社と交渉する時にその常識を常に心の片隅に置くようにしています。といっても、下手に交渉で相手をだまそうとすると大変な結果を招く恐れがあるので、基本的には "Honesty is the best policy" で行くべき、といった簡単な心構えでしかありませんが・・・。

カーネギーメロンはコンピュータ教育で有名でした。学生も理数系の経歴を持った人が多かったのですが、起業のクラスではコンピュータへの依存を強く戒められました。「コンピューターはどんな数字でも作れる。それよりも業界の人に会って意見を聞け」という教えは、今も強く心に残っています。その起業のクラスで「ピッツバーグ市内を循環する観光バスを走らせる」といった事業計画を発表しているモーリーという女性がいました。卒業後、1年もたたないうちにモーリーの観光バスが本当にピッツバーグの町を走り出したのにはビックリしました。ベンチャー・キャピタルから出資を受けたのだそうです。そういった同級生からも大きな影響を受けました。

MBA は立派に見える学位ですから、人様に「私は MBA を持っています」と言えるメリットもあります。特にコンサルティングの仕事は経験・知識を買ってもらうようなものですから、資格があることも大事です。しかし、卒業証書よりも重要と思うのは、勉強する習慣が少し身についたこと。ビジネス・スクールの2年間とその前の準備の1年間の計3年ぐらいは非常によく勉強しました。そのおかげで少しづつでも勉強せねば、という心構えだけは今もあります。

「MBA を取るべきですか?」という質問には、「その人が置かれた環境によってケース・バイ・ケースです」としか答えられませんが、専門・関連分野の勉強だけは続けるべきとインターン生にも勧め、自分にも戒めています。

(2007年10月)



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