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第23回 : 新しい友達、アロマテラピーに守られて こんにちは。先日ね、アタシの会社の上司が社員達に小さな植木を配っていたの。どういう風の吹き回しなのかしらと思ったら、なんとそれは今年の春夏に向けてガーデンに植えようと買ったものらしい。いろいろな種類の中でアタシにまわってきたのがラベンダーだった。以前からラベンダーの匂いがとても好きなもんだから、真っ先にラベンダーに手が出たの。 家に連れて帰ろうかと思ったのだけど、日差しが良いオフィスで育てるのもいいかしらっとも思って会社のあたしの机の上で生活をしてもらうことに。はじめの挨拶が肝心よと、「こんなアタクシですが、どうぞよろしくお願いします」と、勝手に植木に自己紹介しているアタシを見て、上司のイメルダはアタシのことを笑っていたわん。 植物を育てるのって数年ぶり。アタシとうちのお団子は植木を鑑賞するのは好きなんだけど、育てるのはとても苦手。ある時は水をあげすぎたり、また他の時には干からびさせてしまったりと、いつもあまりうまくいかないのね。うちのお団子は毎年春になると店で売られている植物を見て 「スウィーティ (sweety)、これはどうだい?」と言ってあたかもアタシに勧めているような口をきいているけど、実はこのお団語を翻訳すると、「スウィーディ、この植木買ってぇ〜」ということ。そう、彼ったらお肉売り場でカートを押しながら買い物をしているアタシのところにきて誘惑するの。以前、知人が言っていた、どんなに貧乏になっても花を愛し、鑑賞することができるくらいの心の余裕はいつも持っていたいねって。植木に興味を持つのは構わないけど、でもどうせ世話をできないだろうと思って、アタシはボス猿となって「ノーゥ、スウィーティ、また枯らしてしまうんだからだめよ。がまんしなさい。ちゃんとあったところに戻してきてちょうだい」といった具合に、無駄買い星人お団子の誘惑と戦っているの。子供が玩具をレジの前に持ってきて、母親がだめよって言う光景ととても近いものがあるかしらん。 さて、お団子はさておき、アタシの会社のデスクにはその小さなラベンダーの植木が置いてあるの。皆さん、実際に生えているラベンダーの香りを嗅いだことってあるかしら?アタシこの匂い、大好きなのよね。この食物はアロマテラピーでもっとも頻繁に使われていて、万能精油と呼ばれるくらい幅広く活躍しているの。特にストレスや不安などを解消するのにもってこいらしい。道理で会社の机の上で育てることを決意したわけだわ。 前述のとおり、アタシ、植物を育てるのって本当に苦手なの。本当は上手になりたいのよ。でも、アタシに買われて家に連れて行かれた植物達は、最初こそ「初めての留学・ホームステイでわくわくしている留学生」みたいに元気にしていても、数週間後には「ホストファミリーとあわなくなって、そろそろアパートで1人暮らしを希望していますぅ」状態の、昔のアタシのように黙って虫の息になっている。「水が足りなくて、喉が渇いたのかしら?それとも水分が多すぎて、体がふやけているのかしら?そう言えば別の知人が植物に話しかけると元気になるって以前言ってたかしらん。アタシが植物達に喋りかけることなく無言でほうっているから、寂しくて枯れてしまっているのかしら?」でもアタシ、誰もいなくても日頃から1人でずぅっとペラペラ喋ってるから、アタシのリサイタルがあまりにもうるさくてノイローゼになって枯れていくことはあっても、寂しくてバイバイってことはきっとないと思うわん。 またこのラベンダーとそんなさよならする羽目になるのかしらそんな不安と共に新しい友達、ラベンダーとの会社生活が始まった。あれは生活をし始めて2週間目くらい経ったある月曜日は、出勤直後に上司イメルダの嫌味な一言から始まった。 "You forgot to water them Fri night, didn't you?" こんなにすがすがしい月曜日の朝からこのおばはん、何言っているのかしらん?半分聞いたふりをしてコーヒーを注ぎにキッチンへ向かったアタシ。もしかしてっ。そんな不安ともに朝のコーヒーを一口飲んで自分のデスクに戻ると、なっなんとアタシのラベンダーが虫の息になってるじゃない。あんなに元気良く「マチルダ、また来週!」っていってバイバイしたラベンダー、今日のあなたはとても萎えているわ。一体どうしたのかしら?水、水なの?週末天気が良かったからオフィスの窓からの日照りが強くて日焼けしたのかしら?ラベンダーちゃんがか細い声で何を訴えているのかを聞いてあげたい。アタシの気持ちの中では、その場はすでにERしていた。でも以前から植物とは縁がまったくないアタシにはどうもしようがなく、「先生、うちの人は、うちの人は・・・!」とテレビドラマでよく見る、緊急治療室で医者にすがりついて親族の安否を聞く女のようになっていた。 「水をあげて、その後にビニール袋を被せなさい」 アタシの横で手馴れた調子でアドバイスをしてきたイメルダ。いつもあなたなのね、アタシを救ってくれるのは。Dr. イメルダの指示を受け、早速アタシは水分補給のためにキッチンへ戻る事に。ごめんなさい、ラベンダー。アタシったら自分の朝のコーヒーばかりに気をとられてお水のことすっかり忘れてた。水分を補給した後は、言われたとおりに透明のビニールを被せた。お願いラベンダー、戻ってきてちょうだい。ナイチンゲール・マチルダはそう願いながらラベンダーの葉をあたかも患者の脈を計るかのように触っていた。その日は1日中5分置きにラベンダーの入った ICU を覗き込んで仕事にもならない状態。Dr. イメルダにも「先生、脈拍ほにゃらか、呼吸ほにゃらかです。先生、汗」といった具合に報告。さすがの Dr. イメルダもアタシを睨んで、お願いだから仕事をしてくれと言わんばかりの表情。ビニール袋の中がだんだんと曇ってくる。呼吸をしているのだわ。 「オフィスの中は空気が乾いているから、週末前には水をあげておくといいよ」 さすが Dr. イメルダ。彼女によると、どうやら脱水状態に陥っていたらしい。そして数時間後、アタシのラベンダーは見事に元気を取り戻した。 それからは毎朝 Dr. イメルダの診断を受け、育て方などを教わっているの。そう言えば、昨年うちの上司の家で焼肉をしたことがあったけど、観葉植物がとても元気良く、そしてきれいに礼儀正しく並んでいたわ。水をあげすぎてもだめ、土を乾かしすぎても駄目、ラベンダーったらアタシ以上にケアが必要なのね。どうりであんないい香りプンプンさせるわけなんだわね。アタシの机の上に住んでいるラベンダーは、今日もアタシの仕事の緊迫感を和らげてくれてる。プ〜ンとね、プ〜ンと。もう春なのねぇ。ではまた来月! マチルダ 注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。 |
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