| 第1章:
ニューヨーク土産話 |
| ライザ | おかえり〜 |
| マチルダ | ただいま〜 |
| ノン | どこかに行ってたの? |
| マチルダ | うん、ニューヨーク。 |
| ノン | ええっ!
いいなぁ〜。なにしに? |
| マチルダ | 最初はね、うちのお団子ちゃんのお母さんのお誕生日をお祝いするためにコネチカット州だけに行く予定だったんだけど、航空券の価格を調べてみたら、なんとシアトルからニューヨークの直行便が往復で210ドルだったの。それでニューヨークへ飛んでからコネチカットへ行くことにしたのよ。 |
| ノン | ニューヨークではどこに泊まったの? |
| マチルダ | 昔、うちのお団子ちゃんが牧師として働いていた時にアルター・ボーイ(※1)をしていたジョンのおうち。彼自身も牧師になったんだけど、4〜5年前にゲイだっていうことがばれて、解雇されてしまったのね。で、そのジョンがパートナーのマイケルとコミットメント・セレモニー(※2)をすることに決めて、お団子ちゃんに「式を実行してくれない?」って言ってきたの。あたしはゲイの結婚式って見たことがなかったから、どんなもんかなって思ってたけど、やっぱりね、すごく良かった。このセレモニーは表立ってはできないから、決まった流れに沿った式を牧師が内緒でやってあげることもあるんだけど、ジョンとマイケルは聖書からいろんなを言葉を採り入れて、オリジナルっぽくしたのよ。
※1 アルター・ボーイ: "Altar Boy" 。ミサの侍者。 ※2 コミットメント・セレモニー: 伴侶となることを誓う儀式。 |
| ノン | セレモニーはどのぐらいの時間がかかるもんなの? |
| マチルダ | セレモニー自体は1時間ぐらいだったかしら。だけどね、ニューヨークだからかわからないけど、最初は参加者同士でちょっとぎこちないところがあったの。でもセレモニーが終わる頃には、今まで乗り越えられなかったことを乗り越えて、新しい
"Extended Family"(拡大家族)になったような、そんな感じがしたわ。昔、ジョンは結婚してたから子供が2人いるんだけど、そのうちの1人で来年結婚するミッシェルが婚約者と一緒に出席したの。その婚約者は、義父になるジョンとは初対面よ。そしてその婚約者の両親もミッシェルの父親に会いたいってことで、このセレモニーに出席したの。 |
| ライザ | まるで映画の
『Birdcage』 みたい! |
| マチルダ | まだあるのよ〜。ジョンのパートナーのマイケルはそのセレモニーで初めてジョンの両親に会ったの。でね、マイケル自身も不思議な人なのよ。彼の元妻はレズビアンなの。 |
| ノン | マイケルと離婚してから、レズビアンになったの? |
| マチルダ | ううん、彼女は婚前からレズビアンだったんだけど、「家族が欲しい」ってことで、マイケルと結婚したらしいのね。それに加えてマイケルはレズビアンの芸術家カップルに育てられた人なの。その頃はレズビアンの女性同士で結婚なんて考えられなかったでしょう?マイケルの母親達はそういった社会の冷たい風を乗り越えて、彼を一生懸命育ててきたのね。そんな彼女達ももちろん今回の式に出席してたわ。 |
| ノン | すごいねー。そんなシチュエーション、アメリカでしか見られないんじゃない? |
| ライザ | いや、アメリカでもあまりないんじゃない? |
| マチルダ | こんな短期間に、まったく知らなかった人同士が出会って、これから家族っていう強い認識を持って生きていくのよね。"Extended
Family" ってこういうふうに増えていくのかしらって思った。 |