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今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。
第51回 : 家を買うことにした: 3度目のオファー・2度目のインスペクション
ようやく気に入った家を見つけすぐにでもオファーを入れよう、と意気込んだその日の午後、フリーモントに気になる物件を見つけてしまった。どうしよう、早くオファーを入れなきゃ他の人に先を越されちゃうけど、どうしてもその物件も気になる。とりあえず実物を見れば良くも悪くも気がおさまるだろう、という決意をもとに、うだうだ調子のダンナを車に押し込んでイーストサイドからシアトルへと車を走らせた。
いつも見学する物件の鍵を開けてくれるリアルターが一緒じゃないし、なにしろアポなしなので中には入れないが、外観や立地条件など大まかなことから好き嫌いは感じることができるかもしれない。日が暮れかけ、あたりは薄暗く、家の窓から黄色い明かり光々と溢れていた。外からのぞき見る限りでは、天井が高く趣味のよいインテリアであった。
「ちょっとこの家いいわねえ〜」
と物件に興味のあるバイヤーが何となく家を物色している、という設定であったが、窓から首を思いっきり延ばして中を覗き込んだり、家の周囲をグルグルと歩き回っては屋根や軒下を必死に凝視し、
「屋根は大丈夫そうだ」
「中も結構新しいそうだ。あっ、天井が高いね」
とささやき合う私たちの姿はどうみても怪しかったことだろう。警察が偶然通りかからなくて本当によかった。
私たちの野次馬的な素人調査の結果、やはりこの物件はやめておくことにした。なぜかというと、繁華街に近すぎて、夕方8時も近いというのに人があちこちにウロウロしているのである。その物件の3軒隣の家では今にもパーティーが始まろうとしており、表玄関のデッキに半分腰掛けた上半身裸の兄さんたちが、ビール片手にデカイ声で談笑している。フレンドリーなお隣さんは歓迎だが、度の過ぎる乱痴気騒ぎはたまらん。得体の知れない酔っぱらいがウロついた挙げ句、家の庭にバーンとビールの空き瓶を捨てられるのはいやじゃ。
学生の頃だったらこういう地域のアパートでもよかったかもしれない。それなりに便利でヒッピーで楽しいところだ。でも、こりゃー家を買って住むところじゃないね、とダンナも判断したらしく、早速携帯電話からリアルターに連絡し、その日の午前中に見た物件にオファーを入れる書類を揃えてもらうように頼んだ。
次の日の朝早く、オファーの書類にサインをするためリアルターのオフィスへ出向いた。3回目ともなると調子良くホイホイとサインして、後はよろしく、と慣れたものである。もちろん今回も提示された通りの価格で買うから Closing cost は負担してね、というセコい戦略である。今思えば、アパート契約終了まで残り約1ヶ月という押し迫った状況で、何と緊張感のない態度だったことか。
その後リアルターから、
「"今回は3回目のオファーなんです。ご主人はその地域で育っていて、ぜひその辺りに住みたいと言っているし、とってもいいカップルなんです。よろしくお願いします" と向こうのエージェントにアピールしておきました」
と電話が入った。そんなお願いが通用したのかどうかしれないが、他のライバル達を蹴散らし、私たちは買い手に気に入ってもらえたのだった。他のオファーは売り手の提示した金額より高いオファーを出していたと聞いたが、売り手のエージェントが言っていたことなので真偽のほどは不明である。どうして私たちのようなセコいカップルが選ばれたのか未だもって謎である。本当にリアルターのアピールに心を動かされたのであろうか。
家の売買というのはビジネスライクで、売り手は単純に一番高い金額を提示した人を選ぶものだと思っていた。もちろんそれが基本だと思うが、個人的好み・感情もかなり関係してくるのかな、と感じた。自分が手間ひまかけて改築し、そこに住んでいる間いろんな出来事が起こり、人生の一部を共に過ごした愛着のある家だから、できれば次もいい人に住んでもらいたい、というのが売り主の気持ちなのかもしれない。
これは家を買った後に地元コミュニティ新聞で読んだ話だが、ある人が家を売りに出したところ、その家にオファーが殺到し、何と入札者の中にはカードや花を個人的に送って来た人もいたそうだ。おお、世の中のバイヤーはアノ手コノ手で必死なのだ。それに比べ私たちは呑気なものだった。でも私が売り手側だったら、そんな小賢しい贈り物をされたら、まるで賄賂みたいで狼狽してしまうかもしれない。
そして建物調査、再び、である。前回と同じ方にお願いした。ボロい家を買う側としてはここが一番重要なところである。にもかかわらず、これが2回目だから割引して、とダンナは図々しくもお願いしたらしいが、穏やかな彼は無言だったらしい。そう、彼の重箱の隅を突くような調査ぶりは、私たち買い手にとっては実にありがたい。それだけに他のインスペクターよりも高かったんだよね・・・。425ドル也。
そんな彼は私たちの期待に答え、今回もありとあらゆる問題を白日のもとにさらしてくれた。小さな問題は後で自分たちでどうにかできるのでよい。ただ、大きな問題はぜひ修理してもらうべく交渉しなければならない(リアルターが、ね)。今回のメジャーな故障・修繕必要ヵ所は、
1.ガレージの車が出入りするシャッターが開かない。
2.Heat Exchanger (熱交換器)に亀裂が入っている。
などであった。実際はもっとあったが、売り手が強気であることを2回目のオファーから学んだので、たくさんある中から6項目だけ選んで修理をお願いした。特に熱交換器の亀裂の修理は切実で、これは地下室にあるファーネス(furnace) の中にある装置の1つだが、有害な一酸化炭素が家の外へ排出されず、この亀裂から家の中へ漏れる恐れがあり、人体に有害であるどころか死に至らしめることもあるという。調査結果によると、熱交換器を交換、又はファーネスそのものを新しいものに換える必要があるという。
ガレージのドアのドアも修理したら500ドル以上かかるであろうし、配管設備も古いので水道が2カ所同時に使えないなど不便なところもあったが、一酸化炭素を吸って死ぬことに比べれば大したことではない。きっと売り手だって事態の深刻さ、修理の必要性の重要度は理解してくれるだろう。
と思ったら、相手は
「直さない」
とすべての要求を突っぱねて来た。
なにぃ〜、なんで売り手ってこんなに強気なんだよう〜。
(またもや、つづく)
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最終回
ふと気がつけば5年目
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第53回
家を買うことにした "買った後の修理費"
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第52回
家を買うことにした "もうこれでいいや"
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第51回
家を買うことにした "3度目のオファー・2度目のインスペクション"
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第50回
家を買うことにした "3回目のオファーを出す前に"
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第49回
家を買うことにした "迷い"
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第48回
家を買うことにした "強気な売り手"
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第47回
家を買うことにした "2度目のオファー・初めてのインスペクション"
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第46回
家を買うことにした "ふりだしに戻る"
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第45回
家を買うことにした "初めてのオファー"
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第44回
家を買うことにした "住みたい場所、見つけた"
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第43回
家を買うことにした "物件を探し始める"
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第42回
家を買うことにした "序章"
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第41回
「2人単位」
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第40回
「人の話を聞いてるの?」 (後編)
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第39回
「人の話を聞いてるの?」 (前編)
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第38回
「効率的」と「がさつ」の境界線
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第37回
要はしつけ次第
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第36回
新年の抱負は達成されるか?
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第35回
ガイジンの私と移民局(その2)
■
第34回
ガイジンの私と移民局
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第33回
里帰り
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第32回
服を買いに行こう
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第31回
ケーキ作りへのあくなき挑戦
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第30回
I'm honest, but I'm not popular.
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第29回
ダブルカヤック
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第 9回
カタカナと正しい発音
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第 6回
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第 4回
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第 3回
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第 2回
気遣いスイッチ
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第 1回
国際結婚、はじまりはじまり・・・
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