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今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。 |
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第45回 :
家を買うことにした "初めてのオファー"
1軒目の物件を見学した後、もしかしたら事は意外と簡単に進むかも、と思ったが甘かった。予算と立地条件、3ベットルームで検索し、毎週のように物件探しに出かけたが、これよ〜、この家にしよう、というような家にはなかなか出会わなかった。主な理由は以下の通り。
1.暖房が電気
場所よし、建物の状態もよさそう!と期待が膨らんだところでよくぶちあったのがこの問題。都市ガスに比べ2〜3倍割高なので、冬季の暖房代を考えるとなるべく避けたいところである。
2.2階の天井が低い
シアトル市内の古い家には、身長の高いダンナの頭がつっかえるほど2階の天井が低い家が多かった。チビの私にはもちろん何の問題はない。背が低い、っていいこともあるのね。
3.壁の色が奇抜な家
場所がいい割には何ヶ月も売れ残ってるわね、どうしてかな、と不思議に思いつつ実際に出かけてみると、あらま、内・外壁共に鮮やかなピンクと紫。売主がヒッピー系の人なのかどうか定かではないが、芸術的過ぎるカラーリングの建物も考えものである。60年代風のサイケデリックな赤・黄色・紫の壁色も、インテリアやそれ風の家具とコーディネートすればお洒落だが、私たちの簡素な好みとは程遠い。買った後に塗り直せばいいとは言うものの、それなりに出費も考えなければならない。
4.変な間取り
キッチンからつながる車庫をオフィス、又はテレビの部屋として改装したのはいいが、つまりは車庫がない。クロゼットをぶち抜いて2つの部屋を合体したのはいいが、使い勝手が悪そう。売主の必要性からそのような改装をしたのだろうが、潜在的買主からすると単に変な間取りにしか見えない。もしその家を購入した場合、どうやって家具を配置するかちっとも浮かんでこない。
5.建物のお手入れの手抜き
立地条件がよくても極端に価格が低すぎる家は、必ずと言っていいほど建物に欠陥があった。屋根が古い、土台が腐りかけている、配管が古い、などなど。物件情報のアピールポイントに、「建物の土台の修理が必要だけど、日曜大工が得意の方にはお買い得!」と記されているは正直でよろしい。住宅の基礎工事ができる人なんてそんなにいないと思うけどね・・・。
売物件をいろいろ見て歩き感じたのは、売主は完全に家を修理してから売りに出す、というわけではないということだ。もし私が売主なら、買主から難癖つけられるのがいやなので、建物検査(inspection)をし、直すところは直してから売りに出したい、と思う。しかしリアルターによると、たいていの売主はそこまでしないらしい。買主が修理して、と言ってくるまでは知らんふりのようだ。まあ、交渉次第と言えば聞こえはいい。
リアルターは、
「今は買い手市場です。いくらでも売主と交渉できます。買い手は強いですよ〜、ホントに」
と言う。ふーん、そんなもんか。
あ、そう言えば、契約の内容にもよるが、家にくっついているものは家と一緒に買い主の物になるそうだ。例えば、冷蔵庫・洗濯機・乾燥機・ブラインド・庭に植えてある植物などだ。いいねえ。それらが新しければもっとうれしいわ。
とにかくいろいろ見ていけばそのうちピンとくる家も見つかるだろう、と私たちは毎週のようにリアルターと出かけた。その日出かけたのは、ダンナの友達の家の近くで、ちょくちょく遊びに行ったことのある地域だった。小学校の校庭のすぐ隣に面した平屋で、私はとっさに、
「子供の声がうるさいかもしれない」
と思ったが、私よりも騒音に神経質なはずのダンナはちっとも気にしていない様子だった。2ベットルームのこじんまりした家だったが、フェンスで囲まれた庭も広すぎず、リビングルームには太陽の光が入り明るく小奇麗。キッチンのタイルの色は品のよい薄い水色で統一。商店街的な小さな個人商店や、スーパーマーケットへのアクセスもよい。
唯一気になったのは、絨毯敷きだったことだ。私たちは猫を飼っているので、できれば床の方が掃除がラクだからいいな、と思っていたが、妥協できないこともない。お〜、これは結構イケるのではないか!ダンナもまんざらでもなさそうだった。私たちの他にもう一組、リアルターとこの家を見学に来ている女性がいた。
この日は他に何軒か見て回ったが、やはりその家に勝る物件には出会わなかった。ダンナもその家はとても気に入っていたようだったが、今ひとつオファーに踏み切れない理由があった。それは壁の薄さと暖房設備である。
「えっ?壁が薄いってなんでわかったの?」
と不思議がる私に、何で気付かなかったの?とでもいうようにため息をつくダンナ。私が趣味の悪い壁色だの、部屋の間取りだの、庭が広すぎるだの、と文句をタレているその一方で、彼は建物の構造についてチェックしていたのである。まあ、私たち、違う得意分野をカバーしているのね。すばらしいチームワークだわ。
もうひとつ彼が心配している理由は、"Radiant Heating"と呼ばれる輻射熱暖についてであった。どういうシステムかというと、床下のコンクリートに配管を埋設し、そこからの熱で家を暖める、というものだそうだ。問題は、配管が古くなった場合、床も含めコンクリートを掘り起こし、すべての配管を取り替えなければならないので、現在一般的に普及している強制空気式(Forced
Air System)に比べ、後々費用がかかる、ということだった。個人的には床暖って暖かそうで好きなんだけどなあ。ちなみに"Forced
Air System"とは、地下室にある暖炉 (furnace) でガスを燃やして暖めた空気を家中に送るシステムである。
リアルターは"Radiant Heating"についてはそんなに心配することはないが、心配なのは私たちの他にもう1組見学にきていたので、彼らが私たちより先にオファーを出すことであった。もし出遅れて2番手にまわることを考えると、1番手のオファーよりも売り手に有利な条件を提示しなければならず、交渉上こちらが多少不利な立場になる可能性がある。
「もしあの家が気になるのなら、オファーを出すだけ出してみたらどうですか?それでもやはり暖房について心配ならやめればいいことですし」
えっ?一度だしたオファーを辞退するってそんなに簡単なの?相手を期待させといて、
「やっぱりやめます」
っていうのはアリなのね?それだったらとりあえずオファー出しておこうかしら。
急遽書類が用意され、リアルターの立会いのもと、次々と書類にサインしていった。この書類にはこういう趣意が記述されている、と説明がありちゃんと目を通していたものの、最後の方になるとダンナと私の間で流れ作業的に、ホイホイ、とペンを走らせた。
後は売主からの返事を寝て待つのみ。大丈夫かなあ。
次の日、リアルターから電話が入った。
「昨日のオファーの件でお話したいことがあるので、ご自宅にお伺いしたのですが・・・」
ど、どういう返事がきたんだろう。私たち1番手になれたのかしら。気になる・・・。
(つづく)
注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
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