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今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。
第43回 : 家を買うことにした "物件を探し始める"
ダンナは次のアパートの契約更新はしないで家を買う、とは言うものの、アパートの契約更新まで残り3ヶ月。本当に買う気があるのかい?買う家が決まれば1ヶ月もあれば余裕だ、というけれど、家を買うってそんなに簡単なのか?
だいたいね、頭金はおそらく3%くらいしか用意できない。頭金0%ローンがあるこのご時世、私たちだってローンは組めるとは思うけど、毎月今の家賃の2倍から2.5倍のローンを払うことは必須。その上、今まで家賃に含まれていた水道代、ごみ・リサイクル代などもろもろの管理費も自分たちで払わなきゃいけない。管理人さんがやってくれた庭のお手入れも建物の修繕も自分でやるんだよ。それでも家を買うってお得なのかな?
しかも予算があまりないっていうのにダンナは絶対一軒家しか買う気がないという。なぜならコンドミニアムやタウンハウスに住んだ場合、ローンとは別に管理組合に月々管理費を支払わなければならないからだそうだ。その他、隣人が騒々しい、または建物のケアを全然しないタイプの人である場合が最悪。毎日壁を隔てたお隣さんが容赦なくガンガン騒いでも、嗚呼、ローンは残り30年。共用している建物を修理したい場合、協力はまず望めない。なるほどねえ。運がいいかどうかはお隣さんの良し悪しにかかっているというわけね。そう考えると高くてもやっぱり一軒家の方がいいかもしれない。
また住む場所も決めかねていた。彼の通勤を考えると断然イーストサイドが便利。ただ2人ともシアトル市内に住みたい、という希望もあった。なにしろ2人ともチャリンコ生活、または歩いて行ける距離にレストラン・スーパーがある生活が大好きなのだ。イーストサイドはどちらかというと新興郊外型住宅地という雰囲気で車生活が中心になってしまう。
とにかく悩む前にリアルター(realtor)という不動産仲介業者に頼んで物件を見に連れて行ってもらえ、とダンナの両親が言う。しかし営業タイプの押しの強いセールスが苦手な私たちは、リアルターにコンタクトを取るのが億劫だった。もちろんすべてのリアルターがそういうタイプの人間ではないことはわかっていたが、気の弱い夫婦は躊躇していた。・・・情けない。
うだうだしていても仕方がないので、インターネットで検索するとやさしそうな笑顔のリアルターを発見。ダンナにその写真を見せると、
"She is cute."
とGOサインが出たので早速Eメールを送ることにした。こんなことで初めての家購入という大冒険の舵取りを任せる人を選ぶ私たちって一体・・・というわずかな疑問を抱きつつ、とにかく初めの一歩を踏み出すことが大切なのだ、と無理やり納得する私。Eメールには、予算・頭金・住みたい地域・バス停から徒歩10分以内、Park & Rideなら車で10分以内、一軒家希望(タウンハウス・コンドミニアム不可)と好き勝手な条件を書いて送った。理想は持とうではないか。でも「現実を知らない客だ」と思われるのも困るので、「この予算で条件ぴったりの物件を見つけるのは難しいとは思いますが、とりあえずお願いします」と書き加えておいた。
家見学ツアー、ということで私たち夫婦ともう1人の男性の3人で物件を見て回ることになった。彼が、
「どれくらい頭金を用意していますか?日本ではだいたい家の価格の20%くらいが目安ですよね」
と言う。うわー、言いたくないなー、そんなすずめの涙程度の頭金で家を買おうとしてるなんてあんた正気か?と思われるのもいやだなあ、と思ったが、お茶を濁すのもナンなので正直に答えた。
「いや〜、ウチは頭金3%くらいなんですよ〜。ハハハ」
予想通り彼は驚きの表情と共に、
「えっ、それでも家が買えるんですか?」
と聞いてくる。知らん!こっちが知りたいくらいだわ。うーん、と曖昧な笑顔で唸っているとリアルターがすかさず、
「10%あれば優秀です。大抵は皆さん3%から5%くらいですよ」
と言うではないか。へー、そーなんだ。ローンが低金利だから頭金はないけど買ってしまえ〜、という人が多いのだろうか。そんな私たちもその勢いにのってしまった小市民の一部であるから人のことは言えない。
物件はダンナの会社から近いイーストサイドの地域を中心に見てまわった。予算が予算なので、大きな道路に近かったり壁の素材が雨に弱いものだったり、はたまた、ある物件はトイレが昔なつかしの汲み取り便所であった。正直な感想は、まあそんなもんでしょう、という感じ。ただどのうちもなんだか違和感があった。なんだろう。自分がアメリカに住んでおきながらこういう言い方も変だが、とっても「外国のお家」という感じがした。どの家も比較的広くてきれい。高い天井と開放感、白い壁に緑の芝の庭。女優の家?と思うほど広いウェーキングクローゼット、カウンターを隔て、家族団らんを重視したダイニングルームとキッチン。どの家もパーフェクト、という訳ではなくどこかしら問題はあった。でもこの予算でこんな大きな家が買えるのねえ。日本にいた時は、この私に20代で家を買う機会が訪れようとは思ってもみなかった。いや、今だに実感がないなあ。ホントに私たち家を買うのかしら・・・。
ダンナに、
「どう思う?」
と聞いてみると、
"It's okay."
と何がオーケーなんだかわからない、煮え切らない返事が返ってきた。どうやら今日見た物件は彼にもしっくりとこないらしい。ただ彼の通勤の条件としては悪くないはずだ。
「来週この地域の違うツアーがありますので参加してみませんか?」
あまりうれしそうな反応のない私たちにリアルターからのお誘いがあったので、早速次のツアーに申し込むことにした。いろいろと見て回るうちにきっと「これだ」と思うような家に出会うに違いない。恋人探しと同じようなもんだ。気の会う人なんてそう簡単には見つからないさ。気長に行こう。
(つづく)
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最終回
ふと気がつけば5年目
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第53回
家を買うことにした "買った後の修理費"
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第52回
家を買うことにした "もうこれでいいや"
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第51回
家を買うことにした "3度目のオファー・2度目のインスペクション"
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第50回
家を買うことにした "3回目のオファーを出す前に"
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第49回
家を買うことにした "迷い"
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第48回
家を買うことにした "強気な売り手"
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第47回
家を買うことにした "2度目のオファー・初めてのインスペクション"
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第46回
家を買うことにした "ふりだしに戻る"
■
第45回
家を買うことにした "初めてのオファー"
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第44回
家を買うことにした "住みたい場所、見つけた"
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第43回
家を買うことにした "物件を探し始める"
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第42回
家を買うことにした "序章"
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第41回
「2人単位」
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第40回
「人の話を聞いてるの?」 (後編)
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第39回
「人の話を聞いてるの?」 (前編)
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第38回
「効率的」と「がさつ」の境界線
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第37回
要はしつけ次第
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第36回
新年の抱負は達成されるか?
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第35回
ガイジンの私と移民局(その2)
■
第34回
ガイジンの私と移民局
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第33回
里帰り
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第32回
服を買いに行こう
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第31回
ケーキ作りへのあくなき挑戦
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第30回
I'm honest, but I'm not popular.
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第29回
ダブルカヤック
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第28回
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これは・・・使えるな
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第 9回
カタカナと正しい発音
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第 6回
コミュニケーションのデジタル化
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第 5回
Rob the cradle
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第 4回
We are in the same boat
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第 3回
言葉摩擦
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第 2回
気遣いスイッチ
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第 1回
国際結婚、はじまりはじまり・・・
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