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今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。
第41回 : 「2人単位」
アメリカはカップル単位で行動することが多い、と聞いてはいたが、まさか自分のダンナがアメリカ人になるとは思わず、気にも留めなかった。今、プロムと呼ばれる卒業パーティーの時期真っ盛りで、あちこちでドレスやタキシードを着た高校生たちのパーティーを見かける。どうやらパートナーを同伴することになっているようだ。きっと彼らはこの日のために目を血眼にし、汗と涙と根性でパートナー捜しをしたに違いない。ああ、なんて壮絶な光景なのかしら。そこまでしてパーティーに出席したいか?どうして高校の卒業パーティーなのにカップル単位じゃなきゃだめなのか?私にはよくわからんよ。あ、まずい。まるで年寄りの独り言みたい。
よくある話だが、私たちは日本で出会った。毎週木曜日になると決まって彼は、
「今週末は何をしようか?」
という質問を私に投げかけた。これが私にはウザくてしょうがなかった。疲れ果てた一人暮らし社会人には、週末にやらねばならぬ使命があるのだ。それは部屋の掃除と洗濯。週末に遊びに行くのは楽しいが金がかかる。平日の疲れを癒すためにぼんやりと過ごしたい、と私は主張したが、彼には通用しなかった。週末にどこにも出かける予定がない、誰にも誘われない、ということは彼自身が相当つまらない人間である、と自尊心を傷つけるほど重要な問題へと発展するようであった。
別に予定がなくても死にやしないわよ、と内心毒づいていた私であったが、毎週水曜日になると今週末は何をしようか、また質問してくるよなあ、と頭を痛めていた。ああ、アメリカ人ってめんどくさいわ。何で毎週遊ばなくちゃいけないのかしら?
と、思っていたのに、そんな男と結婚してしまった。
案の定アメリカに来てからというもの、週末はやれハイキングだ、やれカヤックだ、と何かしらの予定があった。もちろん私はそういったアクティビティは大好きで、晴れた日には外に出たくてしょうがない。特にシアトルの冬のどんよりした天気を知った後は、太陽を見たら何かしなければ、という衝動が私をかき立てる。それでもたまには家でぼんやり、のんびりしたい週末もあるのだ。
将来もし子供を産んだら毎日母親として忙しくなるだろう。だからその時が来るまで、罪悪感なく怠ける時間が欲しいのだ。そのことをお義母さんに話したら、
「一緒に遊びに行きたい時だけ行けばいいのよ。気分が乗らないときは断ればいい」
と言うではないか。おお、そうか。行きたくない時は断わってもいいのか。目からウロコが落ちたわ。無理して相手に合わせた結果、2人でいつも一緒のことに疲れるのが一番よくないのだ
問題は、彼は「2人で」何かすることが好きなのだ。これは私にとっても意外だった。なぜなら彼は性格的にもプログラマーという職業的にも1人でコツコツとやるタイプである。知らない人ばかりのパーティーにあえて行くこともない。だからどこかに出かけたいのなら1人で行ってくれるだろう、と思っていたのだが、実際はかなりしつこく誘ってくる。
「別に行きたくないならいいよ。僕1人で行くから」
と一見理解あるような発言をしておきながら、その後何度も何度も、
「本当に行かないの?楽しいよ〜、きっと」
という具合に誘ってくるのである。もう、さっさと1人で行ってくれ、あたしは本当に行きたくないんだってば、とイライラが増幅。
その他、私にしてみればどうして「2人」でやらなきゃいけないのよ、ということがいくつかある。例えば、夜寝るときは一緒の時間でなければ我慢ならないらしい。私の方が早く寝るのは問題ないのだが、彼より遅くベットに入るのが気に入らないようだ。理由は、
「後からベットに入られるとうるさくて目が覚めるから」
と彼は言うが、朝型人間の私が毎朝5時に目覚まし時計を鳴らすのは問題ないという。ちなみに彼は8時すぎまで寝ている。目覚まし時計の方があたしより騒々しいと思うけどなあ。
そして、夕食は一緒に食べ始めないとだめだそうだ。夕食の準備が出来た後、私が緊急で1分ほどEメールを書いているものならば、彼の空腹度・イラツキ度は共に100パーセント急上昇。「ご飯食べないのか!」と怒り心頭。まだ若いのにまるで頑固親父そのものである。そんなに腹が減っているなら、先に食べ始めればいいのに・・・。
こんなにグチグチ言っているが、実際はカヤックも映画もパーティーも、気がつけばいつも2人で出かけている。結婚する前は、そんなに夫婦いつも一緒にいたらすぐ相手に飽きてしまうのではないか、と思っていた。街でおじいちゃん・おばあちゃんカップルを見かけると、そんなに長く共に生活し、それでもまだ一緒にいたいと思うのはどうしてだろう、と不思議だった。理想としては一生に一度の結婚で済ませたいので、今の相手にあっさり飽き、見切りをつけたくなるようでは困るのだ。
最近彼の誕生日があった。結婚する前より今の方が理解度・協力度共によくなった、とリップサービスをしてみた。本当にそう思っているが、彼の誕生日なので何か褒めておかないとね。しかし、
"That's your imagination. You are just used to me."
と、あっさりかわされた。慣れても飽きないのはどうしてだろう?「慣れ」た後「飽きる」に移行する要因はなんだろう?こう考えると「2人単位」でいるって奥が深いのね、とひとり空を見上げる、春の終わりの今日この頃である。
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最終回
ふと気がつけば5年目
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第53回
家を買うことにした "買った後の修理費"
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第52回
家を買うことにした "もうこれでいいや"
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第51回
家を買うことにした "3度目のオファー・2度目のインスペクション"
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第50回
家を買うことにした "3回目のオファーを出す前に"
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第49回
家を買うことにした "迷い"
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第48回
家を買うことにした "強気な売り手"
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第47回
家を買うことにした "2度目のオファー・初めてのインスペクション"
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第46回
家を買うことにした "ふりだしに戻る"
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第45回
家を買うことにした "初めてのオファー"
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第44回
家を買うことにした "住みたい場所、見つけた"
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第43回
家を買うことにした "物件を探し始める"
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第42回
家を買うことにした "序章"
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第41回
「2人単位」
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第40回
「人の話を聞いてるの?」 (後編)
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第39回
「人の話を聞いてるの?」 (前編)
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第38回
「効率的」と「がさつ」の境界線
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第37回
要はしつけ次第
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第36回
新年の抱負は達成されるか?
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第35回
ガイジンの私と移民局(その2)
■
第34回
ガイジンの私と移民局
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第33回
里帰り
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第32回
服を買いに行こう
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第31回
ケーキ作りへのあくなき挑戦
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第30回
I'm honest, but I'm not popular.
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