それから私はしつけ作戦を開始した。リサイクリングと夕食の後片付けの習慣は子供の頃からのものなので、できないわけがない。ただ、私がさっさとやってしまうと味をしめてこの次からやらなくなる恐れがあるので、リサイクリングが溢れようと食器が台所に翌朝まで散らかろうと放置した。そしてさりげなく、
「リサイクリングたまってるよ〜」
と注意を促す。しかし、この声には、
「ちゃんとやれよ〜」
と脅迫メッセージが含まれているのを彼は受け取っていたはずだ。彼側のベットサイドに洗濯物の山が出来ても、洗濯籠に入ってなければ洗わない。掃除機もその山を避けてかける。
「あれ、ベットのそっち側に正体不明の山ができてる」
“Oh! Where is it?"
わざとらしく驚きながら、
“That’s not so big."
と、とぼけるのも憎らしい。キレイ好きな人にはこういった過程は苦痛だろう。私は怒りながら片付け役にまわってガミガミパワーを使うより、散らかし具合を放っておくほうが精神衛生上ラクなのでラッキーである。本人にやってもらうことが肝心で、私がいつもやっていたら、最終的にすべて私の担当になってしまうに違いない。忍耐と継続がものを言うのだ。でも、きちんと役目を果たしてくれた際には、大げさに褒めたたえ感謝することを忘れてはいけない。内心ではふと、猫のしつけに似てるよなあ、と思うこともあるのだが、敢えて口に出して言わない。
そんなある日、ダンナは言った。なんだか、私が彼をコントールしているみたいだ、と。
「違うよ。"Control “でも"Manipulate"でもなく、ただ正しい道に導いているだけだよ。強いていえば、"lead" だよ」
“That’s the same thing…."