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  今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。    
       


第24回 : お金に対する感覚


私は3ヶ月に1度くらいしか日本に電話しないのだが、母親と話すたびに決まって言われることがある。
「現金はいつも持ちあるぎへぇ〜。何か起こった時、困るっきゃ〜」
「飛行機代くらいはいつでもヘソくっておけへ〜」
ということである。

私は現在働いていない学生の身なので、自分が稼ぎのない役立たずの気がしてならない時がある。今のところは我が家の大蔵大臣(ダンナ)に出資してもらって学校に行っている、という状況で、私自身の稼ぎは、ゼロ。というわけで、母は私が普段も全然お金を持たせてもらっていない、と思っているようだ。実際には共同アカウントのデビットカードを持ち歩いているので、QFCで食事の買い物もできるし、何かほしいものがあれば買えるのだ。母には電話をするたびに説明しているのだが、どういうわけか毎回同じことを言う。ただ、さすがに稼ぎのない身では好きなものをダンナの金で買う、というのは気がひけるので、対処策として、なるべく欲しくなるようなモノを見ないことにしているのである・・・。

自分で金を稼いでないのでちょっと肩身が狭いけど、まあ、しょうがないな、と思うその一方で、アメリカにきてからびっくりしたことがある。それは、気軽に知らない人から、
「お金ちょーだい」
と言われることである。

この間、スーパーで買い物をしていたとき、6、7歳くらいの男の子が駆け寄ってきて、
「quarter(25セント)持ってない?おかーさんから1ドルもらってお菓子を買おうとしたんだけど、税金を払うとあと少し足りないんだ。おかーさんはどこかに行っちゃって見つからないし・・・」
と言うではないか。私は、ふーん、そーなの、と特に深く考えずにポケットの中の25セント硬貨を彼に渡した。彼はお礼をいうと、遠くから交渉の様子を見守っていた仲間のところに走って行き、嬉々と結果報告をしていた。その様子を見ていて、ハタッ、と気がついた。
「金が足りないなら、安い菓子選べばいいのに。知らない人から金もらってまで買い物すんなよ〜」
そのことを家に帰ってからダンナに話すと、
"Who cares? Just a little money. Give it to him."
と、何でそんなことに大騒ぎしてんの?25セントくらい大したことないんじゃない?という様子であった。でも、金額の問題じゃないんだよなあ。もし、自分の子供が将来同じように、知らない人に堂々とお金をもらうようなことをしたら嫌だなあ、と思ったのだ。

ガソリンスタンドでも時々、金くれー、と頼まれることがある。私はダンナである大蔵大臣の裁量におまかせするが、観察してみると、ポケットにたまたま小銭が入っていればあげているようだ。ただ、去年の夏、ガソリンスタンドで金を催促してきた2人組のおねーちゃんにはダンナも閉口していた。なぜかというと、彼女たちの態度がかなりデカかったのだ。コンサートに行く途中でガソリン代が足りなくなった、という彼女たちであったが、あまりにも、
「ケチくさいこと言わないで、早く金ちょーだいよー」
という態度だったので、ダンナはのらりくらりと断っていたが、そんなこともものともせず食い下がっていた。人に頼むにも態度ってモノがあるでしょうよ。

本当に小銭が足りないこともあるし、その時に持ち合わせがあったらちょいと助けることはいい。私が「それでいいのか?」と思うのは、見ず知らずの人に罪悪感もなく「金くれ」と頼むことである。あたしって、単にケチなのかなあ、といやな気分になるときがある。ホームレスの人たちも金くれ〜、とよく聞いてくるが、彼らに断るときもちょっと自分が心の狭い人間のような気がしていやなのだ。もしあたしがお金をあげたとしても、彼らは稼いだお金を明日のために残しておく、ということができず、その日に持っているお金はすべてその日に遣ってしまうだろう。彼らを支える団体があり、私がお金をあげなくても生きていけるのだから気にすることはないのだけれど。

私が働いて自分で稼げるようになったら、もっとおおらかに対応できるのかもしれないなあ。自分の裁量で何でもできるし。がんばって日々働いているアメリカの人たちはどう思っているのだろう。うちのダンナみたく少額のことにクヨクヨすんな、と思っているのかなあ。彼らのことだから、
「他人は他人。自分の生活の向上に努めるのみ」
というところなのだろうか。

さあー、まずFinalのプロジェクト、がんばって片付けよう・・・。


■ ■ ■

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最終回 ふと気がつけば5年目
第53回 家を買うことにした "買った後の修理費"
第52回 家を買うことにした "もうこれでいいや"
第51回 家を買うことにした "3度目のオファー・2度目のインスペクション"
第50回 家を買うことにした "3回目のオファーを出す前に"
第49回 家を買うことにした "迷い"
第48回 家を買うことにした "強気な売り手"
第47回 家を買うことにした "2度目のオファー・初めてのインスペクション"
第46回 家を買うことにした "ふりだしに戻る"
第45回 家を買うことにした "初めてのオファー"
第44回 家を買うことにした "住みたい場所、見つけた"
第43回 家を買うことにした "物件を探し始める"
第42回 家を買うことにした "序章"
第41回 「2人単位」
第40回 「人の話を聞いてるの?」 (後編)
第39回 「人の話を聞いてるの?」 (前編)
第38回 「効率的」と「がさつ」の境界線
第37回 要はしつけ次第
第36回 新年の抱負は達成されるか?
第35回 ガイジンの私と移民局(その2)
第34回 ガイジンの私と移民局
第33回 里帰り
第32回 服を買いに行こう
第31回 ケーキ作りへのあくなき挑戦
第30回 I'm honest, but I'm not popular.
第29回 ダブルカヤック
第28回 イベント
第27回 オリンピック
第26回 これは・・・使えるな
第25回 今年の正月
第24回 お金に対する感覚
第23回 Pink slip
第22回 嫌われる国際結婚女
第21回 言い訳できないアメリカ
第20回 夏の生活
第19回 親知らずを4本抜いた
第18回 ライバル登場
第17回 アメリカのOtakuたち
第16回 ハイキング
第15回 シアトル化
第14回 私の家族との初対面
第13回 今年の正月は日本に行ってやるぞ
第12回 2人でカウンセリングに行きました
第11回 日本ぽい料理
第10回 人の嫌がることはしないようにね
第 9回 カタカナと正しい発音
第 8回 それ恥ずかしくない?
第 7回 良いサービス?悪いサービス?
第 6回 コミュニケーションのデジタル化
第 5回 Rob the cradle
第 4回 We are in the same boat
第 3回 言葉摩擦
第 2回 気遣いスイッチ
第 1回 国際結婚、はじまりはじまり・・・
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