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今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。
第2回 : 気遣い神経スイッチ
だんなのおかーさんの叫びにいちいち反応して疲れちゃう、ということは前回も書いたが、言葉がわからない分、勝手に想像しては、「あ、何か手伝わなきゃ」「何かして欲しいのかな」と、常時待機状態にあったので本当に疲れていた。だんな本人はもう慣れっこなので、なにが起ころうとマイペース。彼女は手伝いが必要だったらはっきり言うし、そんなに気にする必要はないのだが、私はいつもそわそわしていた。
それにしても、日本は本当に「気遣い」の文化が良くも悪くも発達していると思う。 私は、日本で仕事をしていたとき、酒の席で、「君、気がきくねえー」とうれしそうにいう奴がきらいだった。あまのじゃくの私は 「そんなの自分でやればいーじゃん。面倒くさいからやらせて、褒めておけばいいや、なーんて思ってんじゃねー!こっちは犬じゃないんだぜ」確かにそういうお褒めの言葉で満足しちゃう方々も大勢いて、それこそが女の道、と、「あなた気がきかないわねー」と他人に強要しちゃう人もいる。私は強要されると反抗したくなる性質なので、そういう信念を持っている人は、自分がそうすればいいだけであって、他人に強要しないでほしい、と思うのだが。
そのうえ、酒の席だけではなく、仕事でも、こっちが先に気がついて「気をきかせて」、何かすることには確かに神経を使う。仕事をすばやく、円滑に進めるためにも先読みの「心遣い」は非常に有効だ。なーんてかっこいいこと言っても、もともと私はそんな細かい神経は持ち合わせておらず、そういう「女らしさ」は美しいなあ、とは思ったけれど、実際はまず自分に余裕を持たなければその他に神経を遣うことは不可能というわけで、トロトロした私には難しい技だったのだが。
というわけで、ほんのちょっとだけ「気遣い神経」を持ち合わせていた私は、「勝手に」に気を遣って疲れ果てていた。そしてある日、決心した。 「気遣い神経を切ってしまおう!」これは、日本人女性にとっては致命的であるかもしれないが、今の自分の精神状態を破壊しつつあるこの状況を脱するにはとらねばならぬ最終手段だった。かくして、
「あ、何か手伝わなきゃ」
「何かして欲しいのかな」
と考える代わりに、
「必要があれば呼んでくれるからいいさ」
と考え、 下手な英語を話して、
「ハア?」
と、あたかも
「何言ってんだかゼーンゼンわかん ないわよ、アンタ」
という態度が返ってきても、
「これはこの人たちに染み着いた態度の悪さであって、悪意は全然ないんだ」
と自分に言い聞かせるようにした。すると、あーら不思議、いままでうじうじと悩んでいたのがうそのよう、すっきり、気分爽快、極楽気分に達したのである。
しかしこの作戦にはおもわぬ落し穴があった。 最近は日本人のお友達もできて、一緒にご飯を食べたりする機会も増えてきた。そこで、私はハッと気づいたのだ。「気遣い神経」を切ってしまった自分が、あまりにも「気がきかない」人で、ぼーっとしたでくのぼーと化してしまったことに!他の日本人の方々はなんと細やかな心づかいを持っているのだろう。う、美しい.......。これではまるで、初めて日本人の文化を目の当たりにした外人さんのようではないか。いかーん!私は貧乏性である。で、あるからして、アメリカに住んでいるからといって、今まで培ってきた日本の文化を捨てるなんてもったいなくてできない。
そこで、次の目標はこれ。 「気遣い神経スイッチ化」計画。つまり、カチッ、とスイッチをいれるかのごとくすばやく、状況に応じて、ささっ、と必要な時に細やかな気遣いを発揮するのだ。アメリカに住んでる日本人でこの技を修得している人は割と多いのではないか?と私はにらんでいる。私も早くその仲間入りをしたいものだ。
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ガイジンの私と移民局(その2)
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