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  今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。    
       


第12回 : 2人でカウンセリングに行きました


早いもので、このコラムも今回で12回目となりました。こんなぐちぐちした私の不満炸裂コラムを読んで下さったあなた様、本当にありがとう!きっとあなたも同じような経験に悶え苦しんだことがあるのだとお察しいたします。

ところで、10月に書いた「人の嫌がることはしないようにね」でチラッと書いたカウ ンセリングの件ですが、ふふふ、ダンナ共々行ってきましたわよ。今回はいつもよりも長いぞ。

何が問題だったのかを簡単に整理しよう。
  1. ダンナのステップファーザーが、私の仕草にいちいち、"You are cute!"を連発するのだが、ありがたさを通り越してうざい。

  2. そこでとうとう堪忍の緒が切れ、「やめてくれ」と真剣に申し込んだところ、「僕は心から"cute"だと思っているのに、それを嫌がるのが理解できない。それは、君が自分自身に自信がないからだ。カウンセリングに行った方がいい」

  3. おいおい、いくらあんたが本心からcuteだと言っていても、あたしがいやがるんだからやめるべきじゃないの?しかも全部をあたしの「自信のなさ」のせいにして、カウンセリングに送り込もうとするのは何事? まず、お前の性格をどうにかしろー!!
大雑把に書くとこんなもんだが、ひとつのことがいやになると他のことまでいやになってしまうもので、ここから派生してドロドロのキモチがさらにグレービー状態へと変化していったのだ。最終的には、ダンナの両親に会いに行くのをやめてしまった。だって腹立たしいんだもん。あたしのせいばっかりにするな!だいたいねー、おい、うちのダンナ、あんたも両親がカウンセラーだからっていちいち夫婦のことを相談すんのはやめんかい。子供じゃないんだからさ・・・・。

カウンセリングに行くにあたって、実は抵抗があった。なんであたしばっかり問題があるとみなされなきゃなんないのようっ!という気持ちが強かったからである。しかし、今回は私の「自信回復」のカウンセリングではなく結婚カウンセリングという形で、2人で行くことになったので、まあ、ちょっとだけ納得しつつ期待もあった。日本人のカウンセラーだったら、絶対あたしの気持ちがわかってくれるはずよー、ヤツらへのうまい説明の仕方もわかるかも、と。よく言われる、「お互いの文化の違い」っつーやつに逃げるのは大っキライだけれど、こりゃ絶対考え方が違うわ、と感じたのは事実。

カウンセリングは1回目は2人で行って、1人別々に1時間ずつ、2回目は私だけ、3回目はダンナだけ、4回目は2人で、という形で進んだ。1回目で、この胸の内の悔しさを切々と語らせて頂き、はあ、途中で不覚にも涙しながら訴えたのだった。だって悔しかったんだもん。カウンセラー曰く、「どうして私がそんなに"cute"の連発を嫌うのか」という理由は、こんな感じだった。
  1. 白人にとってはアジア人(男女含めて)の仕草は新鮮でかわいらしく見える。だから思わずcute!と言ってしまう。

  2. しかし、あまりしつこく言われると、まるで外見だけがかわいくて中身のない人間とみられているように感じる。まるでペット扱いされているかのように。つまりは、その人間に対する尊敬に欠ける。

  3. その人は悪気なく誉めつづけているだけかもしれないが、相手が嫌がるならやめるべき。さらに続けるなら、それは単なるセクシャルハラスメントだ。
おおー、なるほど。こういうわけであたしはいやなのよ、とダンナに説明してみたけれど、どうやら納得いかない様子。どうしても「文化の違い」っつーものに逃げてるという疑惑が消えないらしい。しかし、すばらしいことに、これ以後、ダンナのステップファーザーは、"cute"連発をやめたのだ!わー、パチパチ!ま、納得はしてない様子はありありだけれど、どっちかというと、カウンセリングにまでいってとりあえず努力している、という姿勢を評価したような気がするんだよなあ。ま、やめてくれたんだから、いいとするか。

4回目の2人の時に、「自分の両親の好きだったところ、きらいだったところ」「自分のパートナーの好きなところ、きらいなところ」とひとりずつ話した。そこで判明したことが以下のとおり。
  1. うちのダンナは、自分のやったことに興味を示してもらい、誉めてほしいタイプで、そういう家庭に育った。
  2. 一方、私の両親は特に勉強しろとしつこくいうタイプではなかった。特に誉めることもあまりなく、私も誉められたい、と思ったことがなかった。それは両親が私を信じていた(言わなくても自分でやるだろう)と感じていたので、彼らが私に興味がない、と感じたことは一度もなかった。
  3. そういうわけで、私があまり「わーすごい!」と感動をあらわにしないとき、彼は私が彼のことに興味がない、どーでもいいわそんなこと、と思っていると感じ、非常に寂しく、また不安。
まあ、この違いについてはちゃんと気づいていた。 ダンナは、"I'll show you."と言って、自分の成果を見せるのが好きなのだ。私もきちんと誉めてあげなきゃ、とわかっていても、実は時々メンドクサイ。自分が「人に誉めてもらわなくても結構」というタイプなので、私が何かに取り組んでいる時もお構いなく何かを見せようとする彼がうざったく感じるのだ。私はひねくれている人間なので、あまりに称えられると「なーんかウソくさいな」と思ってしまう。

また、家族との付き合い方についてもかなり大きな違いがある。私はあまり日本の家族と電話のやりとりをしないし、母も英語を怖がって国際電話をかけてこない(ま、ダンナは日本語がわかるけど、最初は英語で電話にでるから)。でも電話をしないのも今に始まったことではなく、日本で一人暮らししていた時もそうだったし、帰省は年2回だった。だから不仲というわけでもないし、私は母親に嫌われているとも思わない。
「あんたが選んだ道なんだから、勝手にやれば」
その言葉の裏に潜む「娘が遠くに行っちゃった寂しさ」まで感じてしまう。 それがダンナにとっては不思議でたまらないらしい。密に連絡をとりあわないので、どうみても相当仲の悪い親子関係にみえるというのだ。彼は毎日のようにステップファーザーとEメールのやりとりをし、本当なら毎週でも会いに行きたいらしい。彼のお姉さんが入院した時、彼は花を贈らなかったので、「あんたってヒドイ弟ね!」と彼女に怒られていたところをみると、「愛してるわー」と毎日確認しあって生きてきた人たちなんだなあと感じる。私にしてみれば、そっちの方がキモチワルイよ。何でそんなに確認しあわなきゃならないのよ。どうしてそんなに愛されている自信がないの?

しかし、「どうして?どうして??」と言ってもしょうがない。そうやって育ってきたのだから。要は、そういう環境の人を選んじゃったんだから、どうやったらうまく一緒に生活して行けるか、である。私は彼の見せたがり行動に興味を示すことはできるし、彼は私をむやみやたらに"cute"だと言わなければ良い(実はステップファーザーだけでなく、ダンナ自身もしつこく言うのだ)。それだけ。それでお互いに幸せになれるなら、お安いご用だ。

今までちゃんと気づいていた私たちの違いだったが、第3者が客観的に整理するということは、予想以上に効果的なことだった。私の中では夫婦のことを他人に相談に行くのは自分たち自身での解決を放棄したように思えて嫌だなという面もあったけれど、ダンナがモロにそういう背景(両親)を持って育ってきたきたのだから、その方法でいってみるかと決心したのだった。

シアトルに住んで1年半、ウエイトレスから始め、この秋からはようやく学校で好きなことも勉強し始めている。苦しかったけど、途中であきらめなくてよかったという気持ちが、少しだけ私に自信をつけ、そして周りに対する余裕も生まれた。今までは自分のことで精一杯で、周りのことまで気遣う余裕なんてなかったし、「英語がへたくそ」「日本だったらもっと違う仕事ができたのに」という劣 等感から、ほんの小さなことにも過敏に苛立っていた。今まで私のイライラ虐待に耐え続けたうちのダンナってえらいよなあ。気づいていたことだけど、余裕のある今だから感謝できる。

ああ、これで幸せなお正月を迎えられれば、いろいろあった今年の苦しみ、悲しみも報われるというもんだ。その前にクリスマスかな。Happy Holidays!


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最終回 ふと気がつけば5年目
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