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今のダンナが日本に留学していた時、度重なる「アメリカにおいでー」攻撃にまんまとひっかかって、1999年6月、シアトルの土を踏む。「英語ができない」「友達もいない」と、うだうだ悲しい気分が続いていたものの、どうにか自分が幸せになる道を作らねば、と奮闘中。苦しまぎれに「つまんなーい!日本に帰る−(T_T)」と半泣きになってもびくともしないダンナ相手に、悔しいのであれやこれやと作戦を練る毎日を送っている。
第11回 : 日本ぽい料理
うちのダンナは「日本ぽい食べ物」「アジア風の食べ物」にめっぽう弱い。1年しか日本に住んでなかったくせに、レストランに行くと、
「ああー、これはホンモノのJapanese Foodじゃない」
などとほざき、自分の友達に日本料理についてせつせつと語っている。当たり前だよ。ここはアメリカ人がお客さんなんだから、彼らに合わせないと商売にならないでしょうが。うどんにブロッコリーが入ってようが、『TERIYAKI』という甘いたれをぶっかけた鶏肉であろうが、のり巻きの中にアボガドが入っていようが、お客さんがおいしいと言えばそれでいいのだ。逆に、日本のマクドナルドやピザハットが、小さかろうが、ギトギト感が少なかろうが、日本人が食べるのだからそれでよいのだ。日本に滞在するアメリカ人には申し訳ないが、『インチキアメリカンスタイル』に寛大に接して欲しいものだ。
でも・・・・確かに時々、
「日本人はTERIYAKIを食べてるわけじゃないのよう!」
と叫びばずにいられない時もあるのも事実。
私が初めて暮らしたアメリカがシアトルである。日本料理を含め、アジア料理がとても人気があるのに最初はとても驚いた。
「日本人は毎日SUSHIを食べてるの?」
という超初歩的な質問を期待していたのだが、そんなことを聞かれたことは一度もない。刺身なんて生物は気持ち悪くて食べないのかしら、と思いきや、日本人以外の人もレストランでバクバク食べてるではないですか。アメリカ人の他文化を積極的に搾取、いやいや、取り入れていく情熱にはすごいものがある。なぜか『平』『福』という漢字が入っている雑貨があちこ ちに氾濫し、JAPANESEスタイルと呼ばれるインテリアもよく見かける。「これはイケてる!」 と感じるものをどこの国のものであろうが自分のスタイルの一部にしてしまう柔軟さはすばらしい。
特にダイエットブームがアジア料理の人気を後押ししているように思える。「健康的」なものにめっぽう弱いようだ。アジア料理は野菜が多いので、例え油がギトギトしている炒め物もヘルシーに見えるのだろう。TERIYAKIがヘルシーかどうかは個人的に疑問が残るところだが、まあFish & Chipsを食べるよりは健康的な食事をした、という多少の気休めにはなるだろう。
小さい頃からピザだのハンバーガーだのグレービーたっぷりのターキーに親しんで育ってしまったアメリカ人は、悲しいかな、やはりその味が体の芯から染み付いている。だから、疲れた時や、へこたれた時に行きつく味がそこにあるのだと思う。どんなにダイエットに励んでも、その人の根底に流れる食べ物の好みがすでに健康的でないだけに、自分をコントロールしていくのがアジア人よりも難しいのだ。サラダバーで野菜たっぷりのランチを心がけても、ドレッシングをどっぷりとかけてしまう光景を目にするたびに、私はちょっとした悲哀を感じる。そのオイルが一番対ダイエットの敵なんじゃないのかい?と。
それに比べると、アジア人系は小さい頃から野菜の多い食生活で育っているので、大人になってから不健康な食事に走ろうが、ハンバーガー生活になろうが、アメリカの料理で育った人に比べて軌道修正が簡単なように思う。なつかしいと感じる料理、小さい時に食べて育った料理が幸運なことに比較的健康的な食べ物だからだ。まあ、例え日本人でも小さい頃からマクドナルドとコンビニ弁当を与えられて育った子供は、それが好みの基本になってしまうので、将来ダイエットに目覚めてもアメリカ人の苦悩を同じようなものを味わうことになるのだろうなあ。
そういうわけで実はうちのダンナも私の『ニセJapanese料理』に、まんまと騙されている。特に野菜が多く入っていると『健康的』な感じがして気が休まるようだ。
「やっぱりJapanese Foodはおいしい」
と満足気にばくばくと食べている姿を眺めながら、私は心の中で、うーん、と唸る。
「日本料理ねえ・・・ホントはそれ、だたの野菜炒めなんだけどなあ・・・・」
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