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  ジャングルの記念すべき21世紀の門出とともに、私のささやかなエッセイをスタートさせて頂くことになりました。留学という形でシアトルにやって来て、言葉、文化の大障壁と闘うこと1年と3ヶ月。その間には、誰でも陥るようなどん底ホームシック、なにもかもが楽しいふわふわ状態、言葉のフラストレーション大爆発、など山あり谷あり。森や丘、海や湖に囲まれながらシアトルで生活していると、日本では思いもしなかったようなことについてゆっくりと考える時間があります。そんなシアトルで考えたこと、体験したことをみなさんに毎月お届けしていきます。    
       


第7回 : シアトルによくいる種類の人たち


クイーン・アンに住む知人・クリスとその妻のモリーンに赤ちゃんが生まれたので一度見に来てくれと招待され、6月末の日曜日、クイーン・アン・ヒルにあるお宅にボーイフレンドと2人でおじゃましました。クイーン・アン・ヒルはその名のとおり丘になっているので、ダウンタウン・シアトルやスペース・ニードルなどが一望できます。また、日本領事公邸などのある由緒正しい閑静な住宅街でもありますが、メイン・ストリートのQueen Anne Avenue にはおしゃれなカフェやレストランが立ち並び、地元住民の御用達といった感じ。

クリスとモリーンの家は小じんまりとした2階建てで、アメリカの家にしては小さめ。表に「Sale」の看板が建てられています。中に入ると、アンティークの食器棚や広いテーブル、黒の背もたれの高い椅子など、かなりデコレーションが凝っていて、Pottery Barn(おしゃれでクラシックなインテリア雑貨やキッチン・スタッフなどがおいてあるチェーン店。お値段はちょっと高め)な雰囲気。お金もたっぷりかけているようです。また、キッチンはすべて白にまとめられ、パンをいれる籠からパスタ入れの容器まで、完璧にかっこいい。「表で看板を見たけど、家を売り出しているの?」と尋ねると、「そうだよ」と言って、家を見に来た人に渡すちらしを見せてくれました。

$449,950

目を引いたのは価格。というのは、彼らはこの家を$250,000で買ったと言っていたからです。この家が売れたら、クリスはマグノリアに新しい家を買う予定にしているとのこと。マグノリアはお金持ちが住む超高級住宅街として知られています。私たちは、「壁やキッチン、ベースメントなど、内装にはかなり手を加えていると見られるので、その分に使ったお金を差し引いたとしても、少なくとも約$189,000の儲けがあるな・・・」などと、頭を勝手に回転させていました。

クリスはハイテク企業のセールスをする30歳で、モリーンは専業主婦の28歳。どうして若い彼らがクイーン・アンに家を買えたのか・・・理由は、クリスが1999年のハイテク景気まっさかりの年、大きなコミッションを上げて大もうけしたことにあるよう。そのおかげで頭金を多く作り出すことができ、彼らは今「ヤッピー」な生活を送っているのです。ちなみに、シアトルにはこんなハイテク・ヤッピーがたくさんいるといいます(シアトルでは去年からの景気スローダウンにより、レイオフなどでもろに影響を受けている人もたくさんいますが)。

この日、同じく招待されてやって来たご近所の夫婦の夫の方がリアル・ネットワークスに勤めているところをみると、どうやら彼らも同じように若くして大金を手に入れた口のよう。彼らは熱心にクイーン・アン界隈のご近所の話題を始めました。

「ほら、この辺ってやっぱりヤッピー多いわよね。なんだかみんなつんつんしててさ、通りを歩くときは必ず携帯で話しながらだし。みんなマテリアリスティックよね、ほんと。そこのすし屋なんかそんな人ばっかり集まってるから、私嫌いなのよ」
「そうそう、僕もあのすし屋はいやだよ。僕らと違う人たちがいるからね」
「私はToyodaが好きなのよ。あそこの寿司はかなりいけてるわね。日光もいいけど」
「そうだね、日光は僕も好きだよ。寿司ランチは食べ放題だし。Saito’sもいいね」
「そう、このあいだWasabi に行ったのよ。行ったことある?あそこいいわよ。ちょっと普通の寿司とは違うんだけど、変わったものが入ってておいしいわよ。私、ほーんと寿司が好きなのよね。もう、寿司がない世界なんて考えられないわ」

いつの間にか会話は寿司談義に。だいたい、ここ5年ほどでお寿司はヤッピーの間でとてもトレンディーな話題になっているそう。ご近所の話題にも寿司談義にも、当然私は興味がないわけで、彼らだけがどんどん盛り上がっています。私は「今、寿司談義をしてヤッピーを気取ってたのはどこの誰なのかしらねー?」などと思いながらいつ話題を変えるのかしらと話を聞いていましたが、あまりにもつまらない寿司の話が続くので、彼に「帰ろー」と目で合図し、早々に引き上げてしまいました。

帰りの車の中で私が、「あの人たちあんな事ばっか言ってて、自分たちだって十分マテリアリスティックじゃない?自分たちがそうじゃないっていうならなんでマグノリアに家買うわけ?なんでモリーンはアウディに乗ってるわけ?私はマテリアリスティックなのが悪いって言ってるんじゃないのよ。ただ、あの人たちちょっと偽善者じゃない?」などと嫉妬まじりに文句を言っていると、彼が言いました。「みんなそうなんだよ。みんな自分はそうじゃないって思ってるんだよ。多分気がついてないんだよね」と。

今回はなんだか悪口が多くなってしまいました。でも私、本当は彼らのことが大好きなのです。ただちょっぴり羨ましかっただけなのです。クリス、モリーン、許してね。


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第 7回 シアトルによくいる種類の人たち
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