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  ジャングルの記念すべき21世紀の門出とともに、私のささやかなエッセイをスタートさせて頂くことになりました。留学という形でシアトルにやって来て、言葉、文化の大障壁と闘うこと1年と3ヶ月。その間には、誰でも陥るようなどん底ホームシック、なにもかもが楽しいふわふわ状態、言葉のフラストレーション大爆発、など山あり谷あり。森や丘、海や湖に囲まれながらシアトルで生活していると、日本では思いもしなかったようなことについてゆっくりと考える時間があります。そんなシアトルで考えたこと、体験したことをみなさんに毎月お届けしていきます。    
       


第6回 : アメリカの結婚式


先月、カリフォルニアで行われる結婚式に出席する機会がありました。結婚したのは私のボーイフレンドのお姉さん(デビー:仮名)。離婚社会のアメリカで結婚する人は、結婚式でいったい本当に「この人と一生を共にする」と心から誓っているのだろうか…? だいたい彼のお父さんだって4回も結婚しているし…他のお姉さんだって離婚経験者。アメリカ人なんてみんな、結婚したって上手くいかなければ離婚すればいい、程度に考えているのではないか…?そんなふうに疑いを持つ意地悪な私が見た、アメリカの結婚式をレポートします。

結婚式(wedding ceremony)と披露宴(reception)は、サンフランシスコから南へ約4時間、サーファーのメッカでワイン・カントリーでもあるケンブリア(Cambria)で行われました(シアトルから約2時間弱のフライトでサンフランシスコへ、さらにレンタカーで約4時間で到着)。デビーとフィアンセのマイクは、一緒に暮らして既に7年。1年半前に婚約し、婚約期間中には結婚式について念入りなリサーチと準備を重ねてきたそう。結婚式の前々日、はじめてデビーの家を訪れた時、写真で1度見たことのあるデビーがいないので「あれ?」と思っていると、"Hi, kakao."と、疲れた顔をした女性が自己紹介。実はこの女性がデビーだったのですが、写真よりずっと痩せて、顔がこけ、目の下が紫色になっています。結婚式の準備で、すごいストレスが溜まっていた、と後からききました。7年も一緒に暮らし、入籍だけでもすませられそうなものなのに、1年半も前から準備し100名以上を招待したデビーは、結婚に対してかなり「真剣」な態度なのではないか?と分析。「結婚式なんて、しなくていいや〜」と思っているめんどうくさがりの私からすれば、賞賛ものです。

そして、結婚式の前々日。新郎の母親の自宅で"Bridal Shower"(ブライダル・シャワー)というパーティが行われました。ブライダル・シャワーとは、結婚式の前、新婦の家族、友人や親戚など女性ばかりが、新婦へのプレゼントを持って集まるパーティのこと。ゲームなどをすることもあるそうですが、デビーのブライダル・シャワーでは、まず、軽くスナックやカリフォルニア・ワインを頂きながら談笑、次いで各自から集められたプレゼントを新婦(になる予定の)のデビーが皆の前で1つずづ開け、「まあ、すてきな色のキャミソールね!ありがとう」などと言っていくものでした。実はブライダル・レジストリ(結婚予定者が、結婚のお祝いとして欲しいものを店に登録し、招待客はプレゼントをそのリストの中から選ぶ、というアメリカ独特の合理的なシステム)ならぬブライダル・シャワーのギフト・レジストリで、私のボーイフレンドが既にインターネットで適当に選んで送っておいてくれたので、私はいったい何をプレゼントしたのかも分からず、「あなたのプレゼントは何かしら」なんて言われたときには「内緒よ」なんてドキっとしながら答える始末。心のこもっていないプレゼントをしたことにちょっと反省。でも、プレゼントをもらうデビーだって、もらうものを自分ですでに選んでいるのに、「あらすてき!」などと言っているのがよくわからない。レジストリのシステム自体はとても合理的。私がもらう立場であれば欲しいものがもらえて大歓迎ですが、「何をあげたら喜ぶかしら?」と心を悩ませながら選ぶプレゼントとは気持ちの入り方が違うのも事実。つまり、このシステムは、日本やアジアで行われるお祝い金システムの合理性と、「プレゼントをもらう」喜びを味わいたい、という点を無理に両方実現しようとしたシステムでは?などと思ったりしました。

結婚式は正午から開始。曇り空もつかの間、昼近くにはさんさんと太陽が照り始めました。会場は屋外のガーデンで、芝生の緑が美しく、花壇には色とりどりの花が咲き、正面にあるガゼボでは、牧師が挙式を執り行うよう準備がなされています。このガゼボを正面とし、中央に通路を開けて白い椅子が並べられ、各椅子の上には私もリボン結びを手伝わされた、白とラベンダー色の手作りプログラムが置かれています。通路の両側は花で飾られ、座席の並ぶ一帯より後方は、レセプション会場として白いテーブルクロスとパラソル、花でデコレーションされた9つほどの丸テーブルが並んでいます。入り口で記帳し、タキシード姿のアシャー(Usher:Groom’s menとも言い、結婚式の際新郎の付き添いをする3〜4名の男性。通常、兄弟や親友などがなる)役のボーイフレンドにエスコートされながら着席。新郎新婦の親などは参列者の最後に入場し、最前列に着席。全員が着席し終わると、まず新郎とグルームズメンが前方右側に並び、ブライズ・メイド(Bride’s maids:新婦の付き添い役の女性で、通常、親友や姉妹など3〜4名がなる)が1人づつブーケを手に登場し前方左側へ。そして、新婦が母親、父親と腕を組み入場。牧師により誓いの儀式と指輪の交換が行なわれました。式が終了し、"Mr. and Mrs. Jewell"と新夫婦の2人がみなに紹介されるまで、ものの30分だったでしょうか。短い式だったので退屈せず、また毎回他人の結婚式で泣く私も、カリフォルニアの空がカラッとしているので、じめっと涙することもありませんでした。

続いてレセプション。関係者が会場正面の長いテーブルにずらっと並んで座り(日本の新郎新婦と仲人が座る席が長くなったような感じ)、日本と同じように、出席者は大きい丸テーブルのあらかじめ決められた席に座りました。しかし、日本と違うところは、スピーチやカラオケなど、順にこなすべきプログラムがなく、多くの人がテーブル間を歩きまわり他のテーブルの人と交流したりいるところ。カジュアルで楽そうだな、と羨ましくもありました。食べ物も運ばれてくるのではなく、自分で食べ物の置いてあるテーブルから好きなものをとってくるビュッフェ形式。生バンド演奏があり、新郎新婦をはじめ、カップル達がダンスをはじめ、私もボーイフレンドのお父さんに誘われダンス。ダンス中は「早く終われ―」と心の中で祈りながら作り笑いを浮かべていました。アメリカ人とは、よくぞこんな気恥ずかしいことを恥ずかしがらずできるものだ…と感心。一方、太陽の光はますます輝きを増して暑くなり、昼間のガーデン・ウェディングには日焼け止めとサングラスが必需品だということに気付きました。頭の肌も焼けるので、ドレッシーな帽子があれば完璧です。日焼け止めも帽子もなかった私が、真っ赤に日焼けしてしまったのは言うまでもありません。

初対面では眼の下にくまのあったデビーも、当日は美しいウェディング・ドレス姿でとても幸せそう。どうか離婚せず死ぬまで結婚していてほしい…と願わずにはいられませんでした。


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