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ちゃんぽんカルチャ〜ショ〜ック
ちゃんぽんカルチャ〜ショ〜ック
    
 1996年にシアトルに引っ越してきたが、まだ「アメリカはこれだから・・・」と、外からアメリカを見ている。アメリカ人の夫も、「日本だとこうなのに〜」という妻の愚痴にも慣れた様子。もちろん、たまには家庭内日米摩擦が生じることもあるが、能天気で幸せな、2児の母である。  
    


第15回 : 結婚式とお葬式


1週間のうちに、夫の親族側で結婚式とお葬式の両方が執り行われました。こういった式ではまた、日本とアメリカの違いにびっくりさせられるもんです。

1番びっくりしたのは、昔の話になるんですけど、アメリカで初めて参列したお葬式でした。黒い服が常識と思っていた私の目に飛び込んできたのは、燃えるような赤のドレスを着たアメリカ人のおばさま。「もしかしてこの人は、亡くなった人が大嫌いで、葬式を喜んでるんやろか!?」と勘ぐってしまいましたが、いい意味でお葬式を明るく楽しいものにしようと思う人は意外に多いらしいことが、後から分かりました。

考えてみれば、私自身のお葬式でも、家族や友達が真っ黒な服に身を包み、私の魂が浮かばれずにドロドロしていそうな雰囲気をかもし出されるより、お気に入りの服で気楽に参列してくれた方が嬉しいやろうと思います。それがビキニであっても(おぉ)、私との思い出がある服を着てくれるとなおさらええですねぇ。でも日本なら大ひんしゅくですかね。

日本のお葬式では、会場が爆笑の渦で包まれるようなことはまずあらへんと思いますけど、そこはユーモアのセンス抜群のアメリカ人。上手に笑いも取り入れて、参列者も「ええ式やった。亡くなった人も喜んでくれてはるやろう」と思いながら帰路につけることがあります。どんな場にも笑い(ジョーク)って大切なんやなって思う私は、やっぱり関西系です。

今回はどちらも親族として参列させてもらったので実感したのですが、結婚式にしてもお葬式にしても、家族が主賓になっているのが、アメリカ式のええところです。例えば日本の披露宴では、新郎新婦と仲人が金屏風の前に並び、両親始め親族は部屋の端っこで控えめに存在し、上司などゲストが特等席で偉そうにするというのが一般的だと思います。それがアメリカでは、新郎新婦と家族が特等席を占め、食事だって新婦が1番に食べ始めます(むっちゃずるい)。私は日本でいわゆる典型的な披露宴をさせてもらったので、ご飯をまともに食べられませんでした。盆と正月がいっぺんに来たような豪勢な食事を前に、食いしん坊万歳の私がガツガツ食べられないのは、はっきり言っていじめです。もったいないので半額返してもらうか、タッパーを持参すれば良かった。恥じらいが減ってきた今ならできるんですけど、ウブで日本人だった当時の私。「これが披露宴というもの」と信じて、疑いもせえへんかったですね。

結婚祝いとして、アメリカでは新婚夫妻が欲しい物をおねだりできるレジストリーというシステムがあります。現金でいやらしいシステムやと最初は思いましたけど、今ではお祝い欲しさに「離婚して、再婚せえへん?」ともっと現金なことを夫に言ってます。「え、誰と再婚すんの?」と返してくる夫も負けてませんけど。

私の好きな冗談に、「どっちかが死ぬとしたら、私はハワイで暮らそうかな」というのがあるんですけど(つまりどっちが先死ぬって言うてるか分かりますね)、結婚式とお葬式に立て続けに参列すると、そんな冗談も半分笑えません。どちらも究極に感情的になる式なんで、感動または悲しみでとめどなく泣き、疲労困憊し、そんな疲れた脳みそで最後にこういった結論を出すのです。
「この人と結婚して良かった。そんで、できるだけ長いこと一緒におりたい」
結婚式でもお葬式でも、お互いの愛を再確認しているカップルを何組も見かけました。みんな同じようなことを思うんやね。結婚式は、人生において幸せの絶頂期の1つ。でもそれは一生続かない、とお葬式で気付かされるのです。そして、隣にすわるパートナーが、そして今ある人生そのものが、とてもとても崇高に感じられて。それは、アメリカだろうが日本だろうが、変わらへんもんですよね。

病気と闘い疲れたおばちゃんが、今では苦しみから開放されて幸せになっていますように・・・
みんなの前で誓ったいとこの愛が、ずっと燃え続けますように ・・・
そして、このエッセイを読んでくれたみなさんと私達の人生も、愛と幸せに満ち溢れ、長く長く続きますように・・・


(2006年6月)


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最終回 さらばシアトル!
第16回 アメリカの長〜い夏休み
第15回 結婚式とお葬式
第14回 観光したい!
第13回 泥棒御用
第12回 アメリカのタブー、夫婦のタブー
第11回 アメリカのトイレ分析
第10回 カミングアウトしまっせ
第 9回 私の決意−人種差別を体験して
第 8回 薬と予防接種はスーパーで
第 7回 何かをかき立ててしまう男
第 6回 すっぽんぽん
第 5回 ヘルメットをかぶるバックシート・ドライバー
第 4回 食文化ショック
第 3回 作法と習慣 - ご飯は左?それとも右?
第 2回 言語習得法
第 1回 初めてのアメリカの味
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