 |
 |
イタリアはウンブリア州の州都ペルージャ出身のエマニュエル・ビザーリ氏が、1992年に設立したコーヒー豆焙煎会社
『カフェ・ウンブリア』。シアトル発祥の地、パイオニア・スクエアのプラタナス並木が美しいオクシデンタル・アベニューに2005年12月5日に開店したカフェは、本場イタリアのバールを模した長いカウンターが特徴で、シアトルの人気カフェの1つとなっている。
まだ手作業でコーヒー豆を焙煎していた1940年代にペルージャで創業した祖父オルネロさんを、エマニュエルさんの父ウンベルトさんが手伝うというコーヒー一家に生まれたエマニュエルさんは、幼いころからコーヒーと共に育った3代目。1986年にウンベルトさんがシアトルのパイオニア・スクエアで
『Torrefazione(トレファチオーネ)』という焙煎業・カフェ経営を始めた2年後、エマニュエルさんもシアトルへ移り、店の経営から焙煎までビジネスのすべての面に携わるようになった。ウンベルトさんのコーヒー豆はその味の良さから人気を呼び、多数のレストランや他のカフェから引きが来て事業が拡大。しかし、ウンベルトさんは1998年に
『Torrefazione』 をシカゴに本社を持つ AFC 社に売却し、エマニュエルさんを伴ってイタリアへ帰国してしまう。エマニュエルさんは当時を振り返りながら、「今やワインとオリーブの産地として知られているウンブリア州に住む家族が、順調なワインとオリーブ・オイルのビジネスに集中することを提案したことが、父と帰国した理由だった」と語る。しかし、やはりコーヒー・ビジネスを忘れられなかったエマニュエルさんは、「コーヒーは私の人生であり、情熱」と、2002年に単身シアトルに戻り、焙煎会社を創業したのである。
「シアトルで成功すれば、どこでも通用する」
エマニュエルさんが自分のコーヒー豆焙煎会社を設立する場所としてシアトルを選んだのは、自分が最もよく知る町がシアトルであり、トレファチオーネ時代に築いたネットワークがあるというのが大きな理由。さらに、数年間のブランクの後にシアトルに戻ってきてみると、アメリカの他都市では見られないほど大小さまざまなコーヒー企業があり、市場がとても洗練されてきていたこともあって、「シアトルで成功すれば、どこでも通用する」と思ったそうだ。「今では米国内の主要都市をビジネスで頻繁に訪れますが、シアトルほど多くの焙煎業者やインディペンデント系カフェがあるところはありません。西海岸にしても、ポートランドには少しありますが、サンフランシスコ、ロサンゼルスと、南へ行くに従ってその数は激減します。もちろん、自分の店しかない過疎地でビジネスをすれば、自分のところにしかお客さんは来ないかもしれません。でもそれではビジネスとして成功しているとは言えないでしょう」。
|

創業者のエマニュエル・ビザーリ氏。ジョージタウンの焙煎工場にて。

カウンターを広くとった本場イタリアのバールをシアトルのパイオニア・スクエアで再現 |
「トレファチオーネ」1号店の場所に「カフェ・ウンブリア」をオープン
創業後約3年間は卸売りを専門とし、北アメリカではラスベガスのベラージオやナパのキュリナリー・インスティチュート・オブ・アメリカを含む数百軒ものカフェ・レストラン・ホテル・料理学校でサーブされるまでに成長。良いマーケティング・ツールになるカフェの開店も視野に入れていたそうだが、父親のウンベルトさんが
AFC 社に売却した 『トレファチオーネ』 を買収したスターバックス社がそのブランド自体を打ち切ることを発表したことが、カフェを開店するきっかけとなったという。「トレファチオーネ1号店の場所は、私の家族にとって歴史的な意味を持つ場所。その場所を守りたくて、建物の所有主にすぐに連絡を取り、無事に店舗スペースを確保することができました」。こうして2005年12月、『トレファチオーネ1号店』は、『カフェ・ウンブリア1号店』
として生まれ変わり、エマニュエルさんは家族の歴史を保存することができたのである。
これからのシアトル
大小さまざまな焙煎業者やカフェが存在する "コーヒー・キャピタル" シアトル。常に新しいカフェがオープンするこの町で、今後のコーヒー・ビジネスはどのようになっていくのだろう。エマニュエルさんの意見を求めてみた。
消費者の二極化:
「小さな焙煎業者が巨大企業と異なるのは、我々は毎日焙煎し、顧客には少なくとも1週間に1度はコーヒー豆を配達・送付し、豆の鮮度を維持しているという点です。我々の豆を使うインディペンデント系のカフェ、ベーカリー、レストランなどでは、店頭でお客さんにドリンクの注文を受けてから豆を挽くのが当然で、それだけの手間をかけたおいしいドリンクを作る技術がバリスタに要求されます。一方、大企業のチェーンでは鮮度が落ちますし、バリスタもインディペンデント系のカフェの良いバリスタと同じ技術を習得していません。コーヒーにそこまでの味を求めていない人たちが集まるチェーンでは、その必要がないのでしょう。したがって、より良い味を求める人はインディペンデント系、そうでない人はチェーン、今のシアトルではそういった二極化が進んでいると思います」
洗練された市場では本当においしいものを作るのが成功の秘訣:
「しかし、これだけカフェが多い街で「じゃあ、カフェをやれば儲かる」と思うのは非常に短絡的。"チョイスがたくさんあるということは、また、おいしいものが知られているところでは、まず味が良くなければすぐに淘汰されてしまう"
ということを意味しているからです。例えば、日本なら米、イタリアならパスタです。本当においしい米、本当においしいパスタを体で知っている国に「この米を買いなさい」「このパスタを買いなさい」と、米もパスタもわかっていない国が強制しても、ビジネスとして成功しないでしょう。体は正直ですし、誰しもおいしいものを飲み食いしたいですからね。長い歴史を通して培われた
"主食" がある国には、そういったすばらしさがあります。ですから、味が良く、さらに他の人と違うことをやらなければ成功しない。シアトルでこういったコーヒー文化が始まったことは、やはりシアトルが歴史が非常に浅く、コーヒーの歴史もない、新しい町であったことが影響していると思います。例えばニューオリンズのようにチコリ・コーヒーが根付いている町では、シアトルのような新しいコーヒー文化が始まることは非常に難しいですね」。 |
|
 |


Caffe Umbria
320 Occidental Avenue South
Seattle, WA 98104
>> Map
>> バス路線(Metro's Trip Planner)
Phone: (206) 624-5847
【営業時間】
月〜金 6am-6pm
土 7am-6pm
日 8am-5pm
【公式サイト】
www.caffeumbria.com
(2008年2月現在)
※掲載した情報は予告なく変更される場合があります。 |
 |
 |