シアトルのこだわり書店5選 <br>おしゃれな本を探索したり、併設カフェでゆったりと

Elliott Bay Book Company（エリオット・ベイ・ブックカンパニー）

全米の優れた書店リストに含まれることも多く、シアトルでは独立系書店の代表として認識されている「エリオットベイ・ブックカンパニー」。もともとエリオット湾に近いパイオニア・スクエアにあったが、2010年にキャピトル・ヒルに移転した。一般良書、自然アウトドア、アート、料理、児童書など、シアトル読者の興味を反映するテーマ別に書籍が並び、店内を巡ってお気に入りになりそうな本を発見できるようなレイアウトになっている。本に精通した従業員による推薦コーナーは定評あり。著者朗読会などのイベントも多く、過去には村上春樹や桐野夏生を含む世界各国の著名作家が訪れている。ノースウエストのカレンダーや写真集、絵本、パズル、ギフト小物など、シアトルらしいお土産も。2015年8月に併設カフェ「Little Oddfellows」がオープンしたばかり。

University Book Store（ユニバーシティ・ブック・ストア）

シアトルで最も長い歴史を持つ書店「ユニバーシティ・ブックストア」は、1900年のオープン以来、市民の知識の源として絶大なる役割を果たしている。特に学術書の充実と文具画材などを含む教材の品揃えに関しては、他書店の追従を許さない。大学書店として、ワシントン大学の学生・教授・研究員をサポートをしており、大学テキストの古本販売やレンタルサービス、地元高校テキストやアップル製品を含むハイテク機器の販売もしている。もちろん一般書籍の取り扱い点数も独立系書店としてはシアトル最大。著者朗読や読書クラブなど、年間450以上のイベントが行われている。ワシントン大学マスコットのハスキーグッツ、文房具、雑貨、アクセサリ、バッグなどは、お土産やギフトに。ギフトラッピングは無料。ベルビュー市やタコマ市にも店舗あり。

Ravenna Third Place Books（ラベンナ・サード・プレース・ブックス）

大きな窓に高い天井、ウッドフロアの心地よいスペースが魅力の「サードプレイス・ブックス」。店名は、「自宅と職場のほかに社会的に重要な役割を担う『第三の場所』が必要」という、社会学者レイ・オルデンバーグの主張にちなんでいる。店内に本の買い取りデスクを備えた古本屋ではあるが、新書も扱っており、書棚には古本も新書も混合して並んでいる。併設の「Vios Cafe」は Wi-Fi 完備で、子どもが遊べるスペースがあり、午後3時以降はドラフトビールやワインが楽しめるパブにもなる。パブでのサイエンス講座や子どものためのマジック・パフォーマンスなど、ユニークなイベントも人気。

Phinney Books（フィニー・ブックス）

2014年6月にオープンしたばかりの「フィニー・ブックス」。民家サイズのこじんまりとしたスペースに、フィクション、エッセイ、児童書、レシピ本、グラフィックノベルなどが並んでいるが、一番の特徴は、本棚のあちこちに書評や推薦文など生の声が書かれたポップが散りばめられていること。オーナーが Amazon.com で10年にわたり書評を担当していたというのもうなずける。顧客が手書きで書いたポップもあり、近所でおすすめ本の情報を共有する場になっているのもいい。ブッククラブやシアトル発の食べ物のテイスティング・イベントなど、ユニークなイベントを開催している。ローカルブランドであるビニール製ハンドバック「Glittersweet」の取扱本店でもある。

Secret Garden Books（シークレットガーデン・ブックス）

1977年より営業、こじんまりとした「近所の本屋さん」としては長い歴史を持つ。その理由は、フレンドリーなスペースを維持し、コミュニティに密着した良書を厳選していること。特に絵本からティーン対象の児童書に関する品揃えとスタッフの知識には定評があり、子どもに贈る本を見つける手助けをしてもらえるのが嬉しい。ギフトラッピングは無料。ティーンや大人のためのブッククラブもある。バラードの目抜き通りにあり、近隣には、カフェ、ギャラリー、ブディックなどが並んでいるので、あわせて散策してみよう。

掲載：2015年9月　取材・文：渡辺菜穂子