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もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

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もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

シアトル美術館(SAM)が、シアトル・アジア美術館オリンピック彫刻公園を含めた今後2018年までの21の展示をメディア向けに発表しました。そのうち、ジャングルシティの読者向けに、見逃したくない展示を6つ厳選してご紹介します。

オリンピック彫刻公園に、近未来の植物が現れる

タミコ・ティール:人新世のガーデン
Tamiko Thiel: Gardens of the Anthropocene(公式サイト
2016年6月25日~2016年9月30日(オリンピック彫刻公園)

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

Anthropocene Gardens, 2016, Tamiko Thiel, American, b. 1957.
Seattle Art Museum. ©Tamiko Thiel.

オリンピック彫刻公園でタブレットを通して周辺の植物を見ると、近未来の草花が現れる・・・。シアトルで育ち、現在はドイツを拠点として活躍している日系アメリカ人アーティスト、タミコ・ティールの作品。人類が地球の生態系や気候に大きな影響を与え、「人新世」(じんしんせい:anthropocene)という新たな時代に突入する、そんな地球の近未来を想定し、公園内に自生する植物が突然変異し、進化(変化)した形を作り上げた。タブレットを通して公園を鑑賞するという新しい試みに、SAM が挑む。

アートで世界がつながる時を感じる

ビッグ・ピクチャ:1945年以降のアート
Big Picture: Art After 1945(公式サイト
2016年7月23日~(シアトル美術館)

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

Octave, 1960, Robert Rauschenberg, American, 1925 – 2008,
Oil on canvas with assemblage (oil, paper, fabric),
77 1/2 x 42 1/4 in. (196.9 x 107.3cm), Seattle Art Museum,
Gift of the Virginia and Bagley Wright Collection,
in honor of the 75th Anniversary of the Seattle Art Museum, 2014.25.62,
©Robert Rauschenberg Foundation, Photo: Paul Macapia.

現代アートの全体像に触れられる。第二次世界大戦後、アートの世界もグローバル化が進み、世界各地の技術や表現法がそれまでとは異なる規模で互いに影響を及ぼしあうようになった。大胆な抽象化が主流となり、豪華な色彩表現、装飾を削ぎ落としたミニマル化、新聞紙や廃材の利用など、さまざまな表現法が一堂に会する。また、大戦の心の傷から近年の社会問題まで、扱っているテーマも現在に生きる私たちになじみ深い。2015年にその大規模な寄贈で話題となった、シアトルの実業家 Bagley Wright Collections が常設展としてお目見えする。

華やかなファッション界に浸る

イヴ・サンローラン:完璧なスタイル
Yves Saint Laurent: The Perfection of Style(公式サイト
2016年10月11日~2017年1月8日(シアトル美術館)

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

写真左:Yves Saint Laurent, Cocktail dress. Homage to Piet Mondrian.
Fall-Winter 1965 haute couture collection,
©Fondation Pierre Bergé – Yves Saint Laurent, Paris / Alexandre Guirkinger
写真右:Yves Saint Laurent, Evening gown,
Fall-Winter 1994, haute couture collection,
©Fondation Pierre Bergé – Yves Saint Laurent / Guy Marineau.

「もはや革新やセンセーションは必要なく、自分のスタイルの完成形を追求する」。モードの帝王、イブ・サン=ローランの44年のキャリアとそのスタイルを再現する「イブ・サン=ローラン」展。オートクチュール・ドレス100着をはじめ、プレタポルテ(既製服)、アクセサリー、写真、生地見本付きスケッチ、マルチメディア作品など、ピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団のコレクションから、これまで世に出たことのない作品も含めて公開される。オートクチュールから大量生産に移行するファッション界への功績も語られる。

アーティスト束芋が作り出す空間を体験

束芋
Tabaimo
2016年11月11日~2017年2月26日(シアトルアジア美術館)

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選
もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

public conVENience, 2006, Tabaimo, Japanese, b. 1975, video installation, 6 min. 5 sec.,
©Tabaimo / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo: Takahiro Yonekura.

今世界で輝いている日本人アーティスト「束芋」(たばいも)。その体験型ビデオ・インスタレーションは、シュールで楽しく、そして、見る人の心に余韻を残す。そんな束芋が、自身の新旧作品を展示するとともに、シアトル・アジア美術館所蔵作品に斬新な味付けを施すキュレーションに挑戦する。コンセプトは「うつし」。アジアの伝統アートに敬意を払い、しかし、その時代の差を埋めるような、新しい鑑賞体験ができる。

風景を楽しむように、アートを鑑賞する

自然鑑賞:ポール・アレン家コレクションから風景画の名作
Seeing Nature: Landscape Masterworks from the Paul G. Allen Family Collection(公式サイト
2017年2月16日~2017年5月23日(シアトル美術館)

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

Claude Monet, Le bassin aux nymphéas, 1919, Oil on canvas, 39 1/2 x 79 inches

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

David Hockney, The Grand Canyon, 1998, Oil on canvas, 48 1/2 x 169 1/2 inches

近現代の「風景画」が、館内に別世界を作り上げる。展示は、ヤン・ブリューゲル(子)による「五感の寓話」シリーズで始まり、訪問者の視覚、触覚、臭覚、聴覚、味覚を刺激する。さらに、風景画によって、その時代のその場所にいるような錯覚に陥るような演出がなされ、最後に、グランドキャニオンなど欧米の代表的な風景を切り取った20世紀の作品が並ぶ。常設展「ビックピクチャ」の抽象画と同時代に描かれた風景画との比較ができるのも興味深い。マイクロソフトの共同創業者であるポール・アレンの収集品を、シアトル美術館とポートランド美術館が共同で企画展示する。

草間彌生の世界が無限に広がる

草間彌生
Yayoi Kusama: Infinity Mirrors
2017年6月29日~2017年9月10日(シアトル美術館)

もっとアートを! シアトル美術館 今後注目の展示6選

Installation view of Infinity Mirror Room—Phalli’s Field, 1965, Yayoi Kusama, Japanese,
b. 1929, in Floor Show, Castellane Gallery, New York, 1965,
sewn stuffed cotton fabric, board, and mirrors,
Courtesy of Ota Fine Arts, Tokyo/Singapore; Victoria Miro, London;
David Zwirner, New York, ©Yayoi Kusama, Photo: Eikoh Hosoe.

前衛芸術家として世界に名高い草間彌生の、西海岸では初となる大規模な個展。2013年にニューヨークで行われた個展は、連日長蛇の列ができる記録的大成功を収めた。本展示では、合わせ鏡を使った無限に広がる部屋「Infinity Mirrors」シリーズに焦点を当て、訪問者は、作品の中に入り込み、永遠に続く空間や自己消滅感など、さまざまな体感ができる。その他にも、草間のトレードマークでもある水玉模様や新旧インスタレーションなど多くの作品が展示され、シアトル美術館の特別展示スペースが草間ワールドに染まる。

掲載:2016年6月  文:渡辺菜穂子

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