ワシントン州は、ビールの主な材料であるホップの全米最大の産地。クラフトビール産業も成長し続けており、現在ワシントン州には420軒を超えるブルワリーがあります。
そこで、シアトル訪問者やクラフトビール初心者にもわかりやすく、シアトルの定番クラフトビール10選をタイプ別にご紹介します。定番ビールで自分の好みのタイプがわかったら、新銘柄や個性的なビールにもどんどん挑戦してみてください。
アメリカのクラフトビール
アメリカのクラフトビールの歴史は、1960年代に西海岸で始まりました。1970年代後半に自家製ビールが合法化されると、それまで主流だった大企業の軽いラガービールとは違う、個性的な味わいのビールの人気が高まり、クラフトビールの市場が形成されていきます。
1990年代にはアメリカンペールエールやIPA(インディア・ペール・エール)といった、アメリカのクラフトビールの代表的なスタイルが誕生。今やクラフトビールの本場となったアメリカには9100軒を超えるブルワリーがあり、その数は現在も増え続けています(Brewers Association 2021年調べ)。
ペールエール(Pale Ale)
クラフトビール初心者がまず試したい基本のタイプ。モルトの味をしっかり出しながらもホップの香りが高く、飲みやすいビールです。
Manny’s Pale Ale @ Georgetown Brewing Company
マニーズ・ペールエール(ジョージタウン・ブルーイング・カンパニー)
【公式サイト】 georgetownbeer.com
2002年創業。数あるペールエールの中で、シアトルで最も好まれているのは、ジョージタウン・ブルーイング・カンパニーの『マニーズ・ペールエール』。深みのある複雑な味に、ほのかなシトラスの香りが、幅広い層に好まれる理由と言えます。
ブルワリーは、シアトル市内の工業地帯ジョージタウンにあり、テイスティングができるようになっています。生ビールのみの製造なので、地元のバーやレストランでしか飲めませんが、取り扱っている店は多いです。
インディア・ペールエール(IPA)
ペールエールの強化版で、ホップの香りを際立てアルコール度を高めたタイプ。クラフトビールの代名詞的タイプと言えますが、特にシアトルは IPA(アイ・ピー・エー)へのこだわりの強さで知られており、IPA オタクや IPA のみのタップバーなどもあります。
The Immortal @ Elysian Brewing Company
ザ・イモータル(エリシアン・ブルーイング・カンパニー)
【公式サイト】 www.elysianbrewing.com
1996年創業。ノースウエストの IPA の代表的な味なら、これ。クラシックな英国スタイルを、ノースウェスト風にアレンジしたもので、ミディアムボディの明るい色に、地元産ホップの味と香りを存分に味わえます。創業者ディック・キャントウェル氏が執筆した著書 『Brewing Eclectic IPA: Pushing the Boundaries of India Pale Ale』(Amazon.com)は、クラフトビール業界の教科書的存在にもなっています。
Interurban IPA @ Fremont Brewing Company
インターアーバン IPA(フリーモント・ブルーイング・カンパニー)
【公式サイト】 www.fremontbrewing.com
2009年創業。フリーモント・ブルーイング・カンパニーの看板銘柄 『インターアーバン IPA』。缶ビールのデザインがおしゃれ。地元スーパーマーケットでも売られているので、お土産にもおススメです。
African Amber @ Mac & Jack’s Brewing Company
アフリカン・アンバー (マック&ジャック・ブルーイング・カンパニー)
【公式サイト】 www.macandjacks.com
1993年創業。ローストした麦を使って、琥珀色を出した「アンバー・エール」。ワシントン州レドモンドにあるマック&ジャック・ブルーイング・カンパニーの代表的銘柄。苦味とコクと旨味のバランスが絶妙で、料理にも合わせやすいため、地元レストランでもよく見かけます。
ポーター(Porter)
黒ビールの一種。焙煎した麦芽の焦がした風味とホップの苦味の両方を際立たせています。一日の最後の一杯、または食後のデザートとして飲まれます。
Robust Porter @ Reuben’s Brews
ロバスト・ポーター(ルーベンズ・ブルー)
【公式サイト】 www.reubensbrews.com/beers
2012年創業。クオリティの高さが評価され、大人気のブルワリーの一つに急成長したルーベンズ・ブルー。8種類のモルトを使い、コーヒーやチョコレートの香りと、カラメルの風味が秀逸な 『ロバスト・ポーター』 は、創業時から人気のビール。2015年のワシントン・ビール・アワードとワールド・ビール・チャンピオンシップのダブル金賞、2018年のヨーロピアン・ビール・スターの銅賞など、数々の賞を受賞しています。
Robust Porter @ Stoup Brewing
ロバスト・ポーター(ストゥープ・ブルーイング)
【公式サイト】 www.stoupbrewing.com
2013年創業。色も個性も豊かで、チョコレートモルト、ローストした麦とライ麦などの複雑なモルトの組み合わせから生み出された、ダークチョコレート、ローストしたコーヒー、軽いモルトの甘味が味わえます。
スタウト(Stout)
ポーターよりコクがあり、アルコール度の高い黒ビール。ローストした麦芽の香ばしさとどっしりとした飲みごたえが特徴。雨の降る冬の夜にチビチビ飲んだり、食後のデザートドリンクとして飲みたくなります。
Pike 5X Stout @ The Pike Brewing Co
パイク 5X スタウト(パイク・ブルーイング)
【公式サイト】 pikebrewing.com
1989年創業。地元素材を使った多くのビールを醸造しており、『パイク XXXXX スタウト』も数々のビールアワードを受賞している伝統的銘柄。バーリー、チョコレート、コーヒー、ホップが絡み合う複雑で深みのある味。
ラガービール
上記にあげたビール(エール)とは異なり、下面発酵され、大量生産に向いているのが、ラガービール。大手ブランドのビールはほぼラガーなので、日本の大手ブランドビール好きの人にはなじみ深い味。ホップの香りが効いて爽快な喉越し、暑い夏にゴクゴク飲みたくなります。
一口にラガーと言ってもさまざまな種類がありますが、シアトルで飲むなら、大手ブランドを避けて、あくまでもクラフトビールにこだわりたいですね。
Chuckanut Helles Lager @ Chuckanut Breweries
チャカナット・ヘレス・ラガー(チャカナット・ブルワリー)
【公式サイト】 www.chuckanutbreweryandkitchen.com
発祥地ドイツでは朝食に「飲むパン」として飲用されるヘレス・ラガー。麦芽の風味が効いた飲みやすいビールです。ワシントン州ベリンハムにあるチャカナット・ブルワリーの本銘柄は、2015年のワシントンビールアワードの銅賞を含む多くの賞を受賞しています。
ヴァイツェン(Weizen)
小麦から作られたやや不透明のビール。最初の一杯としてよく飲まれます。フルーティーでまろやかな味なので、ビールの苦味が苦手な人でもトライする価値あり。
Hefeweizen @ Pyramid Breweries
ヘーフェヴァイツェン(ピラミッド・ブルワリー)
【公式サイト】 www.pyramidbrew.com/our-brews/hefeweizen
マリナーズの本拠地 T-Mobile Park 前にエールハウスがあった(2020年春に閉店)ピラミッド・ブルワリーによるアメリカン・スタイル・ヘーフェヴァイツェン。同ブルワリーの看板ビールでもあり、数々の賞を受賞したクオリティの高い逸品です。エールハウスはもうありませんが、ビールの製造は続けられており、スーパーマーケットなどで購入できます。
おまけのビール
少量生産が魅力のクラフトビールの唯一の難点は、価格がやや高めなこと。それでも、大手ブランドの銘柄ではなく、ローカル商品を選ぶのが「シアトル・スタイル」。地元ヒップスターや学生たちの御用達、低価格の地ビールは、いったい何でしょう?
Rainier Beer
レーニア・ビール
【公式サイト】 rainierbeer.com
1878年に創業した伝統ある地元ブランド。アルコール分も苦味も少ないので、エールビールのコクが苦手な人にもオススメ。現在は売却されてロサンゼルスのブルワリーが製造していますが、ワシントン州最高峰のマウント・レーニアの姿を描いた缶デザインはそのまま。今でもシアトライトには馴染み深いブランドとして好まれています。