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リラクゼーションから治療まで、さまざまなマッサージを受けることができるシアトル。一念発起してマッサージ・セラピストになり、日本人にも高い評価を得ている由樹子・ハルバーソンさんにお話を伺いました。
マッサージ・セラピスト

マッサージ・セラピストになろうと思われたきっかけを教えてください。

結婚を機に渡米しましたが、結婚生活がうまく行っていなかったことから、「将来何かあった時に手に職があるといい」と思ったことが、マッサージ・セラピストを目指すきっかけになりました。マッサージ・セラピストを選んだのは、幼い頃から両親によくマッサージをしてあげては誉められていたこと、そして自分もマッサージを受けるのが好きなことが、大きな理由ですね。また、もう1つの大きな理由は、言葉にハンデがあったこと。「マッサージ・セラピストなら、しゃべらなくてもいいだろう」「手だけ動かしていればいいだろう」と。でも、マッサージ・セラピスト養成学校に通い始めてから先生にそう言ったところ、"You are wrong"(あなたは間違っている)と、はっきり言われました。確かに、マッサージ・セラピストとクライアントとのコミュニケーションはとても大事です。特に、初めての患者さんの場合はよくお話を聞き、「腰が痛い」と言っても、「腰のどこがどう痛いのか」を会話を通して把握しなければなりません。ですから、「あの頃は変なことを言ってしまったな」と思いかえしています。


マッサージ・セラピスト養成学校ではどのようなことを学ばれたのですか。

私はシアトル・マッサージ・スクール(現Ashmead College)を選びましたが、それはその頃住んでいた家の近くにあったからです。マッサージ・セラピスト養成プログラムは1年で終了するように構成されていましたが、その1年が4学期に分割されており、学費は約1万ドルだったでしょうか。マッサージ・セラピストになるための勉強は、解剖学(anatomy)・運動学(kinematics)・実地訓練・道徳学と、大きく4つに分かれています。運動学では筋肉の名前はもちろん、その動きや働きなどを学びますが、そういった勉強と実地訓練が同時進行するので、勉強したことを実地ですぐに生かせるという良さがあります。


実地訓練はどのようにやるのですか。

生徒同士がお互いにマッサージをしあって勉強します。リラクゼーションのマッサージから始め、最後は事故などで体を痛めたクライアントの治療の仕方などを学びました。最初は体重をうまく使ってマッサージをすることができなかったため、最初の5分間で腰が痛くなり、クラス中で悲鳴が上がりました。私の場合、実地訓練の成績はトップでしたが、他の授業の成績がそれほど良くなかったので、実地訓練でそれをカバーしないといけない状態にあったことは事実です。でも、今では長時間のマッサージも問題なく、今日は7人のクライアントをそれぞれ1時間ずつマッサージしましたが、まだまだできますよ(笑)。


最も苦労された点は何でしょう。

アメリカで学校に行ったのはこれが初めてでしたから、教科書などを読んでレポートを書くことにとても苦労しました。アメリカ人の中には落第して学期をやり直す人もいましたが、英語にハンデがあった私が無事に1年で卒業することができたのは、「1年後にはマッサージ・セラピストになる」という以外に選択がなかったからです。それだけに、必死でがんばることができました。


卒業後、実際にプロとして勤務を始められた時のことを教えてください。

卒業後1ヶ月でワシントン州発行の免許を取得し、偶然見つけたエリート・カイロプラクティックのベルビュー・オフィスで勤務を始めたのは1999年10月ごろでした。最初の頃はクライアントに会うことにとても緊張してしまい、トリートメント室に行く前はオフィスで深呼吸をしてから・・・という状態でした。逆にクライアントから "Smile"(笑って)と言われていたので、顔がかなり硬直していたようです(笑)。


クライアントに対する際に気をつけておられることは何ですか。

リラクゼーションではなく、何らかの治療を目的としたクライアントが多いですね。痛みを背負って来られている方はふさぎがちな状態になっていますので、治療している時も「筋肉が硬い」などの事実は伝えますが、「私はこのまま一生こうなのか」と悩んでおられる方もいますので、「水を飲んでストレッチをきっちりすれば、大丈夫ですよ」と話してあげることが大切です。治療をする立場にある人間の言葉の責任は大きいです。気持ちと体はつながっていますので、やはりネガティブなことを考えると体に出てきてしまいます。

また、患者さんの状態によってやり方を変えることが必要です。そこでコミュニケーションが必要になりますね。日本人の痩せた女性は、「かなり力をこめてやってほしい」という方が多いです。日本のマッサージに慣れておられるのかもしれません。逆に、アメリカ人で体の大きい方は、「柔らかくやってくれ」という方が多いようです。


健康を保つために、どのようなことを勧められていますか。

コンピュータ関係の職業に就いておられる方は、首・肩・腰に問題が多いですね。1日中同じ姿勢でいて筋肉を十分に動かさないでいると、血の流れが悪くなり、筋肉同士がくっついてしまってほぐれていません。ですから、気がついた時に首をぐるぐる回し、血のめぐりをよくさせるだけでもいいでしょう。血には酸素と栄養が入っているので、それだけでも体の調子が違ってくるはずです。また、ストレッチを取り入れた運動も大切ですね。私も定期的にジムに通うようになりましたが、仕事を終えて子供を迎えに行くまでの1時間あるかないかの時間に少し運動するだけでも違いがあります。やはり、自分で時間を見つける必要がありますね。また、新陳代謝を良くするために、とにかく水を飲むことが重要です。新しい物を入れて古い物を出すのが基本ですので、1日に2リットルが理想。カフェインが入ったお茶やコーヒーはこれにカウントされません。食生活に関しては、よく言われることですが、野菜をたくさん食べることが重要です。


今後の抱負を教えてください。

自分で技術を持ってるからにはゆくゆくは独立できればと思いますが、それは当分先の話になるでしょう。また、今までは治療だけだったので、今後はマッサージの境地を少し広げていきたいと思います。それがまだ何なのかわかりませんが、新しいことを勉強するのは楽しいですね。


ありがとうございました。


 
1997年
シアトルへ

1998年3月
シアトル・マッサージ・スクール(現Ashmead College)入学

1999年2月
卒業と同時にプロフェッショナルとしての勤務を開始、現在に至る

>> クリニックの連絡先


丁寧なマッサージには定評がある



Ashmead College

American Massage Therapy Association


ご自身についてはとても控えめに話をされる由樹子さん。でも、人生の軌道修正を成功させるのは並大抵の努力ではできなかっただろうとお察しします。人間が精神的・肉体的な不具合から回復するのを助ける仕事は、自分の中にある "正" のエネルギーを与えることを通して相手が持つ本来の治癒力を引き出すような部分があります。きっと、そのすばらしい技術はもちろんのこと、由樹子さんが発している自然な "正" のエネルギーも、マッサージ・セラピストとしての高い評価につながっているのではないでしょうか。これからもたくさんの人の支えになってあげてください。


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